すべてのおすすめ
机の上に散らばった
散らかしたチョコレート
抹茶と苺とミルクと
たまにラムネ
鞄の中に散らばった
散らかしたキャンディー
ヨーグルトとバニラと
たまにボンタンアメ
ゴミ箱の外に ....
夕闇、空色の風の中に、秋が香る
湿った土を踏みしめて、葉の枯れゆく帰り道を思う
郷愁、夢色の記憶の中に、君が香る
泣いた土を踏みしめて、涙の凍りゆく冬の日を願う
冷えた空を溶かすような、ほんのり柔らかい日差しを浴びて、通りすがりの駅のホームは、閑散とした微睡みの中にいた。緩やかに電車は走り続け、人々の頭も規則的に、右に左に動いている。
夏の濃い緑の匂 ....
朝は怖くて歩けなくって
昼はため息堪えるばかり
夜はひとり明日に脅える
そんな毎日が続いていっても
春はほろ酔い桜を見上げ
夏は木陰でひと息ついて
秋は紅葉の手のひら繋ぎ
冬は柔 ....
ビニール傘がぶら下がっていた。
レンガ模様の歩道は車道より一段高くなっていて、
車道に面した側に、等間隔に木が植えられている。
そしてその木々を支えるように柵が各々に作られており、
そのう ....
雲に乗って東へ流れ
風に吹かれて西へ流れ
人波に乗って南へ来たら
巨大なネオンに食べられた
大きな口をポッカリあけて
私をまんまと呑み込んだ
星の隠れた夏の夜は
そっちへ行っちゃあいけな ....
食べたい食べたい
我が儘な大食漢
種も雑草も卵の殻まで
シェフには不本意な味付けでも
加工前の葛藤まで全部
足りない足りない
無自覚な中毒者
馬鹿騒ぎ ....
マルゲリータ
シーザーサラダ
マンゴープリン
おそろいの指輪
おなかいっぱい、やわらかな夜
*
女に頼る男ほど不甲斐ないものはない。
女に甘える女ほど不細工なものはない。
*
暖房の効きすぎた車内に長居することは
濃厚なガトーショコラをワンホール食べることに似ている。
もたれ ....
大きな電気自動車に轢かれそうになりました。
凶暴な蛇に丸呑みされそうになりました。
太陽に炙られ干からびそうにもなりました。
昔物知りなトノサマじーちゃんが言ってたように
外の世界は危険が ....
覆い尽くそうとするビルに負けず
ただ泰然と空はあった
眩しい交差点を抜けると再び
空は切り取られてしまうけれど
工場の音さえ微笑ましく
あるいは無表情に
空はそこにあるだけだっ ....
不可視の波動を遠くへ飛ばす
(波動は見えると彼は云ふ)
石に触れると暖かい
(無機物にこそ宿ると云ふ)
電車は今日も軋んでいる
(ヒトには向かぬと彼は云ふ)
頭上を無尽に飛び交 ....
乾いたガラスの向こう側。
バイクが通って水がはねる。
はねる。
どこか遠くで救急車。
道を急いで水がはねる。
はねる。
白い空の下
黒い道で
踏みつぶされた水がはねる。
....
夜が西へ消えた。
待って欲しいと祈ったけれど、
太陽は容赦なく私の影を伸ばした。
どこか遠くでカラスが鳴き、
人々が目覚め始める。
みなそれぞれに思いを抱きながら、
今日も電車 ....
夜と朝の狭間に
私はひとり。
薄紫の空を見上げ
深く息を吐いてふわり。
月は薄く、儚く遠く
今にも消えてしまいそうにひらり。
夕方と夜の間に、いるよりもっと
....
たとえば、
精密に作られたメトロノーム。
大きく右へ、大きく左へ。
素早く右へ、素早く左へ。
常に同じリズムを刻むために、
右へ振れたのと同じ分、左にも振れる。
ゼンマイが切れるまで、ずっ ....
アンテナをセットして
あなたに送る。
『元気ですか?』
見上げた夜空に
ぼんやり三日月。
『いま、何してますか?』
風が大きな音を立て
私の髪がバサリと揺れる。
『 ....
まっしろなノートを脳内に広げ
インクの切れたペンを端に置く
そしてそうっと目を閉じた僕は
誰かが喋ってくれるのを待つの
僕の中には何人かが住んでいて
僕はオンボロのアパー ....
運転間隔調整のため、少々停車致します。
後続電車が遅れているため。
前の電車が止まっているため。
早くおいで。待ってる間に。
早くおいで。追いつかないと。
早くおいき。待ってる間 ....
泣かないで。私がいるよ。
怯えないで。大丈夫だよ。
一生、なんて、軽々しく誓わない。
けれど、あと50年くらいは、一緒にいたいな。
俯かないで。良い天気だよ。
閉じこもらないで。出かけよ ....
シュワシュワと無音の時計の一秒一分一時間を
見ていた
見ていた
見ていた
奇声と罵声といくつかの睦言をすり抜けていく十字路で
見ていた
見ていた
見ていた
耳の奥に響く ....
雨雲の上には、大空があること
大気の外には、宇宙があること
太陽系の向こうには、銀河系があることを
いつどんな時でも忘れぬように
まぶたに落ちた雨粒ひとつも
そっと、 ....