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ここに、
確かにあなたはいた。
そのとなりに、
確かに私はいた。
ふたりはずっとこの町にいた。
けれども今では、
誰もあなたを知らないという。
私たちはこの町の片隅の
ちいさなマンシ ....
針を指先に刺して、
血の花を咲かせるように、
ことばを呼ぼう。
浮かんでは消えていく気配が、
幻聴によく似た囁きに呼応する。
 ....
夜が皮を剥いで、
真っ赤な朝を迎えたような傷が、
手のひらに滲んでいる。
あなたは見えないナイフを手に私を傷つけた。
 ....
(あれは、何だったか)

火竜になって飛んでいった私の分身が見たものは。
食いちぎられた街、
灰になった街路樹、
口の中が埃臭い。  ....
私はあらゆるものを切り裂く。
カッターを片手に、
自分の顔が描かれたダンボールを切り裂く。
ダンボールから血が流れる。
 ....
鏡のなかの、
少女のままの彼女に
メールをする。
液晶の水面は、
音もたてずに目を閉じる。
鏡のなかの少女は私だ。  ....
手のひらに、
とぎれとぎれの物語がまじわるように、
とぎれとぎれの時間のなかを旅している。
風は、
私にまとわりつく
薄い襞を食んでいく。
一衣も纏わぬ身体になった私の心は、  ....
私は緩やかに束縛されている。
色々なものを見ながら聴きながら、
色々なものを見ぬように聴かぬように。
穏やかな強烈さで
目隠しをしている{ルビ腕=かいな}は誰なのか。

私の中心 ....
肉を食べたはずなのに、
私はさかなを吐く。
さかなたちは私の咽喉から、
ぴしゃぴしゃ、
躍り出て、
シンクの ....
静寂のなかで、
何かが明滅する。
明滅は赤い、
悪魔の囁きだ。

(おまえは何が欲しい?)
(おまえは何が欲しい?) ....
風の車内に、
弾丸が飛び交っている。
女の鋭い視線に、
私の眉間は打ち負かされる。
ここでは、
誰もが皆、
小さなスライド硝子のなかに弾丸を隠している。
ある男は弾丸を飼っ ....
私はさかなをかく。
私はさかなはかかない。
さかなのなかを私はかく。
さかなを支える骨の内部を流れる
熱い海の流れを。



塩焼きにされた秋刀魚にかぶりつく、
がり ....
(さびしいと思うこと)

それももうなくなった。
皆、鏡の向こうにいってしまった。
だから、
 ....
(世界は、針の骨を隠して生きている)
その身にさくり、
前歯を立てる。
雪のような淡白な
甘味のある肉の味が
春の風を呼んでくる。

けれどもその下で
支えている鋭い骨は ....
空になった孔の底から、
風が吹き抜ける声が聴こえる。
喉の奥が苦しくて、手を伸ばす。

(届かない、でも感じる)  ....
(声をきかせてくれないか)

誰かがこの肩に息を吹き掛ける。
鳴らないはずの電話が点滅する。
見えないナイフが
手のひらを追 ....
両手で掴みとった羽根が、
灰になって消えていく。
白い大地に佇む夢で目が覚めた。

(もう、約束はしない)  ....
(誰かが見ている)

そんな気配で
窓を振り返ると
一匹のしらすの目があった。
思い出した、
弁当箱いっぱいの
ぎ ....
(鍵はどこだ、鍵はどこだ、)

誰かが後ろをついてくる。

(鍵はどこだ、鍵はどこだ、)

何かが握られている気配 ....
目を開いて感じてください。
同じことばは二度と書けない私の
たったひとつのことばを。
目を閉じて委ねてください。  ....
私から、
なにかが抜け落ちている。
そんな気配がして
足元を見ると、
枯れたことばの欠片たちが
犇め ....
ことばの奥底にある
私の声が聴きたい。
そう扉を開く時にいつもあなたはいない。

なかないで、
なかないで、
あなたはいつ ....
ししゅう、
死臭を漂わせることばを、
書いてみたいと、
手を伸ばしたそこは
暗闇が続いていた。
私たちは一列になって、  ....
服を脱ぎ捨てて、
皮膚を剥いで、
すべて剥ぎとる。

まだだ、
核心に触れるまでは遠すぎる。
いったいどこまで
いったいいつまで
続くのだろうか。

魂は太陽に比例 ....
皮を剥くことばかり求めて、
実の味を忘れた
林檎みたいな私の肌に、
あなたは歯をがりり立てました。
私はその痛みに歓喜し
ちいさな翼を羽ばたかせ
あなたの心のなかの
小さな ....
ことばを吸い込むと、
身体中の血管が弾けて、
なみだになって流れていく。
そのなみだが、
地に落ちて、
灰色のキャンバスの上に落ちていく。
キャンバスの頬に
薄桃色の赤みが ....
私がいないなら、
あなたがいる。
あなたがいないから、
私がいる。
いつも時計のように
交わっては消えていった、
数秒の肌の記憶。

何度生まれ変わっても
告げられな ....
夕方、
車中で左隣に座った老人に、
肩で殴られた。
私のなかで何かがメラッと揺れて、
痛い!
と両手一杯に 石をぶつけだが ....
剣のような針が
私の背中を追いかけてくる。
私は追いやられている。

70年前に首都や広島、
長崎をめちゃくちゃにした、
機銃掃射もこんな風に逃げ惑う人々を
追いやったに違い ....
私が私にできることは、
私が私を私からぬきとること。
肉をぬきとって血を降らせて、
骨をぬきとって風を吹かせて、  ....
殿上 童さんのあおい満月さんおすすめリスト(164)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
- あおい満 ...自由詩6*15-12-3
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フロント硝子- あおい満 ...自由詩8*15-11-11
火竜- あおい満 ...自由詩3*15-11-11
- あおい満 ...自由詩5*15-11-3
体温- あおい満 ...自由詩715-11-3
放流- あおい満 ...自由詩5*15-10-28
ガム- あおい満 ...自由詩715-10-27
人魚- あおい満 ...自由詩615-10-25
ささくれ- あおい満 ...自由詩6*15-10-22
もえるうみ- あおい満 ...自由詩19*15-10-20
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