すべてのおすすめ
あの日
あっというまに難破した僕らは
流木にもなれずに
世界中の海に散らばった
絶え間なく打ち寄せるくらやみの音色に
安心してしまいそうな
ちいさな木片
ほんの少しの誤り
いく ....
何を植えるかなんて
考えもなしに
掘りおこした
庭のすみ
やわらかい土の頂きに
雀が降りて
ころころと、まろび遊ぶから
つい、嬉しく振り返って
あの人の面影を探してしまう
幸 ....
ほとんどの人は、もう
溺れているの
誰も気づいていないだけ
澄んだ指さきが
アルカディア、と答えて
空の一角をさす
新しい風景、新しい秩序
それは
見たことのない宇宙
(行け ....
耳から
抹茶がこぼれてしまうという
朝になるとシーツは
たっぷり緑を含んでいて
洗うたびに
深みを増していくのだという
(この時期だけなんですの
と
さして困ったふうでもなく
さらさ ....
えのぐのあじがする
と、遠ざけられた皿には
白いドレッシングのかかった
シーザーサラダが
盛られたかたちのままだ
野菜も食べないと大きくなれません
と云われて
娘はふくれている
....