すべてのおすすめ
人には見えて
自分には見えないもの
それは
自分の幸せなのかもしれない
自分では
不幸なことが多いと思うけど
人から見れば
幸せの方が多いらしい
いつも困ったことばかりだから
....
ふうと一息
空に向かって
シャボン玉が膨らんでゆく
光に照らされて
青くなり
赤くなり
くるくる回る
たくさん飛ばして
気づけば
シャボン玉の空
地上では
アジサイが ....
満員電車の中のつり革を
片腕を伸ばしたまま
必死になって握り締め
このつり革は自分ものだと
態度で主張する
そんなわずかな場所が
そんなに欲しいのかい
数分後にはみんな降りてしまうよ
....
駅までは歩いて十数分
雨の日は五分も待てばバスが来る
車と人の道も分けられて
目的地までは
黙ってまっすぐ進めばよい
この道は
多くの人のために作られた
そしてこの道には
多くの人 ....
ぎらぎらとした太陽の光を
何も遮るものもなく
そのまま受けながら
アスファルトの道を
ひたすらと歩き続ける
たらたらと頭から汗が落ち
体がべとべとする
道からはむらむらとした熱が
浮き ....
ある日の夏
空にできた波紋は
地上のあらゆるものを揺らした
緑豊かな森も
氷で覆われている山頂も
果てしなく続く海も
一日を必死で生き抜く動物も
せわしく生きる人間も
その波紋に包まれ ....
工事現場に置かれた
大きな平面板は
空に流れる白い雲を見ながら
あの雲のように
自由に流れたいと思った
平らに寝そべっている自分では
風に相手にされなかった
起き上がれば
風を跳ね返し ....
雨が降ってきた
そんな空にイライラしたのだろうか
家に置いてある
どうでもいいコップを
庭の真ん中においてみた
少しずつ
コップの中に水が溜まってくる
少しずつ
コップの中で雨が揺れて ....
笑う鳥を見たくて
空を見上げてみました
けれどもそこには
白い雲しかありませんでした
誰かが言っていました
笑う鳥は
うれしいときには鳴き
哀しいときに笑うのだと
だから
笑 ....
かつて昔
どんなことをするにせよ
不便な世の中では
一つのことを身につけるのに
長い努力を必要とした
そこには根気と忍耐があり
常に自分と向き合い
他人とのふれあいもあった
手放すこと ....
雨降る夏の若き葉に
雫結びて一つ落ち
下の葉受けてまた落ちる
その{ルビ音=ね}はまさに時のよう
雨降る夏の黒き地に
蛙這い出て一つ鳴き
雨水打たれまた当たる
その絵はまさに歌のよう ....
その本には
わずかな言葉しか
書かれていない
けれども
見えない言葉が見えてくる
それは
未来への希望であり
人生への疲れでもあり
恋する人への思いでもある
同時にそれは
読む人が ....
雨の向こうにも
空がある
きっと青くて
鳥が羽ばたいているに違いない
雨の向こうにも
森がある
きっとさわやかに
風が吹いているに違いない
雨の向こうにも
星がある
きっと ....
海からやってきたその風は
夏を通り抜けてゆく
海辺の松林をさっと過ぎ
細い坂道を力強く上ってゆく
木造立ての駅が見える
自動販売機で飲み物を買う人に
あいさつをする
言葉は出せないけれど ....
大きな葉の下から
そっと空を見上げると
とても薄い緑色が輝いている
そろそろ夏が生まれる
風が吹くと
きららとした緑色は
暗くなるけれど
遠くで流れている川の水のように
他の場所で光り ....
最初に雨を見たのは
ぼくだった
みんなはそのとき知らなかった
窓に一筋の雫が流れて
静かに落ちていったのを
最初に雨を見たのは
ぼくだった
風はなかったのかもしれない
ただ水が ....
その夢は終着駅から始まる
分厚い切符を駅員に渡し
改札を出ると
そこから終わりのない物語の
第一章がある
駅前広場から
右の道を上れば山があり
左の道を下れば海に着く
今は左の道に菜の ....
春の海はやわらかい
海と空との
地平線は線ではなく
ぼんやりとしている
春の空はやさしい
山と空との
地平線は線ではなく
崩れた帯のよう
近くで波の音がする
何度も繰り返すも ....
空が揺れている
だから
風が吹いている
その風はとても暖かい
どこまでも翔けて行けそうだ
空が揺れている
だから
心が浮いている
その心はとても明るい
どこまでも飛んで行けそうだ ....
春を作ろう
土しかない心の中に
春を作ろう
伸び始めた草を
小枝の先に開き始めた葉を
かわいい小さな花を
入れてみよう
ほら
もう蝶が飛んでいる
春を作ろう
土しかない心の ....
木の葉が開き始める頃
言葉も広がり始めます
光が当たるように
大きく伸びてゆきます
そっと行ってごらん
風が葉を揺らし
言葉が鳴っています
木の葉が開き始める頃
心も広がり始めます ....