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あなたは帰還した
本能ではなく
知識によって
懐かしい海　
夕日に染まる
新しい血液
骨のあなたに 風のなかで風を探して
気が付けばもう
誰も居ない
原っぱでひとり
終わることのない
鬼ごっこをつづけていた
少年はいつしか
風によく似た季節に
連れ去られ
四月になれば
アネモネと　.... 鳥が散っていく
春の風が吹くたびに
周囲の木から
ぽとりぽとりと
しずかに散っていく
その下で
人々は今日も
失うものを
探すことに忙しい
百年もすれば
鳥も人も
すべてが土に還　.... お母さんが種を蒔いた庭の土を
小さな女の子が
一生懸命踏み固めています
そんなに強く踏まなくてもいいのよ
なんて言いながら
お母さんは女の子の様子を
やさしく見守っています
やや離れた場　.... 爆発する
夕日
の上を
駆け抜けていく走者
の影を
追いかけて
いく轍
に足をとられて
転びそうになる走者
の右手に
握られている
バトン
は理由のように
あやふや
だから　.... 足を拾いに行きました
海の匂いのする街でしたが
この街に海はありませんでした
足を拾いに行きました
この街にも海があればいいと
子供の頃から思っていました
父に海をねだったこともありました　.... 群青の森から
逃げてきたものたちを
ひとつずつ捕まえる
白くやわらかい部分に
サインペンで名前を書き込み
（神聖なものはすべてＫではじまる）
ありふれた雑踏の中へと
放り投げていく
グ　.... いくつもの停留場が
いっせいに
羽を広げ
南の方へ渡って行った
停まるべき場所を
失ったバスは
大人たちの口から口へと
走り続けている
高層ビルが突き刺さった
地平線の向こう側
　.... 〈海辺にて〉
水平線に帽子を被せている人を見た
世界と対等に向き合うということは
それほど
難しいことではないのかもしれない
子供たちに蹴飛ばされた波が
海の向こうで
砂浜に描かれた絵を　.... 水平線に帽子を被せている人を見た
世界と対等に向き合うということは
それほど
難しいことではないのかもしれない
子供たちに蹴飛ばされた波が
海の向こうで
砂浜に描かれた絵を消している
　.... 庭の土を耕して
人差し指で穴を掘り
ヒマワリの種を植えたのが五月

まいにち
土の湿り具合に神経を尖らせ
やがて
いくつかの芽が出ると
お気に入りの芽を一つ残して
あとは全部引っこ抜　.... エレベーターの中で
「開」というボタンを押すと
涙が止まらなくあふれ出た
何かを受け入れるということは
何かを拒絶することと同じくらい難しい
一人またひとりと乗り込む人を
か細い指で支えな　.... いっぱい掴もうと

目一杯、手を広げたら

指の間から

ボロボロと

涙がこぼれていきました

小川 葉さんのTsu-Yoさんおすすめリスト（13）
タイトル	投稿者	カテゴリ	Point	日付
帰還	- Tsu-Yo	自由詩	3	08-6-9
アネモネ	- Tsu-Yo	自由詩	6	08-4-3
喪失	- Tsu-Yo	自由詩	3	08-4-1
種蒔き	- Tsu-Yo	自由詩	3	08-2-26
走者	- Tsu-Yo	自由詩	4	08-1-6
帰郷	- Tsu-Yo	自由詩	11	08-1-4
Ｋ	- Tsu-Yo	自由詩	4	07-8-27
のまど	- Tsu-Yo	自由詩	4	07-8-7
考察	- Tsu-Yo	自由詩	5*	07-7-29
考察_〈海辺にて〉	- Tsu-Yo	自由詩	20	07-6-4
バス停	- Tsu-Yo	自由詩	13	07-5-28
エレベーター係	- Tsu-Yo	自由詩	18	07-2-9
手づかみ	- Tsu-Yo	自由詩	4	04-12-23

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