何が正しいのか判らなくなってきました
優しい夫――
柔らかな笑顔で陰りもなく
底なしに優しい彼
手を繋いで買い物するのが楽しくて。
ギャンブルに興じる夫――
パチンコが大好きで
....
一人ぼっちに なりたい なりたいって言ってた
私がついに一人ぼっちになった
二人でいることのわずらわしさばっかり
わかったつもりでいた私が一人ぼっちになった
そう思うとこの町は ....
何かが頭に激しく打つかって
視界が歪みます
(激しく、弱く、横に)
目の前が何も映さなく為ってから
僕の目蓋はゆっくり閉じられ
睫に蝶が止まります
違和感を覚える土の味
錆び付いた螺 ....
テレビの音が消えた時間に
アイロンをかけている
母親のすがたを見るのが好きだった
折りたたんだ洋服を
きれいに積み上げてゆく
母はやさしくて
いろんな話を聞かせてくれた
母は成人式の ....
星も出ない夜、
寒さに静まり返り
冷たさだけが
消えた街灯の下に
佇んでいる
よる、
眠りに付こうとする
皺だらけの手が
手を伸ばすと
両の肢がでる
大地は俟っている
....
哲学者は手首を折った
色という概念を忘れようとして
僕は我慢する
排他的なその花瓶の輪郭は
多大なる想像を用いてぼくに砕かれる
涙せよ
涙せよ、と繰り返す脳内の信号は
僕の思うすべて ....
*AM4:00
朝が早い
青い鳥は見付からなかった
いつもそうだった
*AM3:00
戸締まりの仕方が分からない
声だけが湖になる
....
君はミルクを温めていた
空白の時間を縫うように
冷えたキッチンをほんの少し
人の心に近づけようとするみたいに
昨日(一昨日かもしれない)、タクシーを盗ん ....
朝起きて僕はまず
鳥かごのひよちゃんとちよちゃんにあいさつをする
(おはよう
(ひょひょ
(ちょちょ
今日は曇り空だ
傘を持って家を出る
(いってきます
(ひょひょ
(ちょちょ
....
このごろ冷えますね
もう冬なのでしょうか
此処は
相変わらず昼夜問わず暗いです
枷も冷えて痛いくらいなのです
けれど、
打たれた刺激で腫れ上がって
言うほど寒くもないのです
傷口が ....
小学生の時
わたしは薄水色だった
黄色のハンカチ
黄色の傘
黄色のお気に入りの服
だけど、わたしは
小学生の時
薄水色だった
黄色の長靴で
水溜まりに入るのが大好きだった
....
*シアター
エンドロールが終わらない
私は世界史を勉強していて
あなたはきっと誰かを抱いていて
この子はたんぽぽの夢を見ているのに
*レストルーム
....
生前、親友が書いた遺書には
「私が死んだときには、以前購入した白いドレスを着せて埋葬して下さい」
と、ある
何年か前に出された捜索願。むなしく過ぎた日々
ある日の報道で
“以 ....
君の瞳を見つめられるのも
これが最後なんじゃないかと思った
怖かった
子供みたいにぺろぺろあめを舐めて
笑っている君はこれでおしまいなんじゃないかと思った
怖かった
泣いて ....
あなたは教室で
いつも頬杖をついていた
窓から外の景色ばかりを眺め
それ以外はすべて
無関心のように
頬杖をつくあなたは
とても大人びて見えた
同い年ということが
信じられぬく ....
あなたがあなたであるために
あなたがあなたであることを
あなたの限り、
生きぬいてください
おめでとうございます。
永い道のりだったでしょう。大変ご苦労様でした。
この壮絶な死闘に見事、勝ち残ったあなた様には
新しい生命が授けられる権利を与えられました。
しかしまだそれが約束された訳 ....
幸せになれる
誰だって
願い続ければ
いつか
叶うんだ
僕は不幸の仔
じゃない
願いが有るから
暗い夜も
いつか朝が
心にも
訪れるから
針のな ....
真っ白に傾く汚い空
僕は乾いた影響を受けている この詩もほら
身の間から 爪のあいだから なにかを求めている なにかを抑えている
真っ白にゆます空
僕は乾いた影響を受けている こ ....
しまい忘れた風鈴が
スズムシみたいに鳴いている
次に子孫を残すため
切なく鳴いている
また、巡り来るとは
確証を得られない不安
不安を希望に変えるかのように
....
ずいぶんと歩いていた
ぼんやりとそれだけはわかる
ふくらはぎの痛みの感覚は通り越して
いつか読んだ本の陳腐なストーリーのセリフみたいに
「それでも行きたい先がある限り歩くんだ」 ....
あの虹を掴み
僕が先に走りだそう
疑いながら
わからなくなって
疎外された心は置き去りに。
自分だけが知っている
過去を暴き出し
無くしたものを
忘れないために。
止 ....
なんだい、俺が今まで一度だってペシミストでなかったことがあったとでもいうのか君は。
たださっさと楽に死にたいだけだと言えば君は満足するのかね、なあオイ。 違うだろう。
....
男は
働く
金を稼ぐために
男は
金を稼ぐ
遊ぶために
男は
遊ぶ
女を楽しませるために
男は
女を楽しませる
女を幸せにするために
男は
女を幸せにする
....
最近妻がビヨンドになってきている
40過ぎだというのに
髪をピンピカリンの金髪にして
耳は穴だらけ
いくつもピアスをつけて
じゃらじゃらと音をたてている
夏だというのに
わざわざ ....
「モナとウルリカ」
わたしたちは
洞窟でのくらしを捨てて
草原へ歩いた
ひとたび外へ出ると
外は夏で
緑色が輝いて輝いて
目を瞑っても
しばらくまぶたの ....
一時でも愛し合った日々をも
嘘だと言うのならば
私は何処へ還ればいいの
あの時の誓いも偽りだとしたら
何故に私を求めてみせたの
呪いを掛けたいの
この心を奪い傷付けた
あの人に
同 ....
電源 誕生
再生 生活
早送り 倦怠
一時停止 岐路
スロー 苦悩
巻戻し 懐古
停止 病身
録画 愛する人
電源 死
....
経験値が足りない
敵を倒せない
経験値が足りない
呪文を唱えられない
経験値が足りない
宝箱が開かない
経験値が足りない
海を渡れない
経験値が足りない
あなたを守れない
....
夜の終わりを感じない日は
どうしても あなたの声を聞きたい
じゃなきゃ アタシの存在価値は
もう、見失うほどちっぽけで。
強く望んでいたことさえも
目前で恐がるなんて
アタシは弱かった ....
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