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うららかな春の日は
たおやかに花も咲く
吹く風に窓辺はふくらみ
まどろみをさます冷ややかさ
夢見るような空気の揺らぎ
闇をもはらむ光にあふれる
沈黙が
しなやかに這うようで
....
静寂の中
聞こえぬ音が
漂っている
リアルな凹凸
まだ見ぬ実体
見はなされ
おびやかされ
晒された者の
裏返る脳裡
粘液質のものが痛々しく
外気に触れられてゆく
これ ....
切迫した最期の
夏の到来は
記憶の中でぶよぶよしつつあって
ゆっくり弛緩しつづける
こよりみたい
つづく夏を重ねるたび
もはや静止でも
昂ぶりでもなく
無為のまま指先にふれ ....
ひとつ
ひとつ
やっつけ
やっつけ一日終わる
わずかな笑い
流れぬ涙
熱くも飽きて
乾く悲しみ
荷を負う匂いは
海馬を駆けて
記憶の奥底
脳みその溝
ひねもす捻 ....
悲しみよ腕の中へ
ぼくは
手首をかき切る覚悟で
彼らを
自分の腕の中へ
つかまえよう
悲しみよ腕の中へ
ぼくは
どんな人との関わりに対しても
独りをおそれたことはなかった ....