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 いつかのふゆのはじまりの日
 一人 漂うような面持ちの彼女は
 白く塗られた、どこでもない場所に立ち
 満月の空が落ちるのを、待っていた。
      (雪が、
      (降っていたか .... 
{引用=
水面の瞳の
 オクターブが
月面の波に
 揺れる頃
}
「携帯電話は
 もう、鳴らないよ。」
 君の唇が
 そう告げたのを、見た。
 朝に鈍く輝いている
 鏡の .... 
 ひんやりとした湖の底で
 青を反射しているハートの指輪
 の持ち主など、はじめから居なかった
(その周りで
 目を濁らせ漂う魚たち
 は、
 宛ら、雑踏でせめぎ合っている
 吐き出され .... 
 人形が、腐敗しかけている。
 鏡像の中に冷たい朝を探す
 体温の染みついた仮面は
 もう、いらない。
  若い頃の、母の口紅のように赤く
   水面に広がる
    正夢 .... 
{引用=
 浅い夢に色を塗って
 コバルトブルーの空にして。
}
 辛いことがあったとき
 一人心の中だけで
 泣けるような大人になるには
 まだ、時間がかかりそうです。
 .... 
 わたしの書く詩に
 あなたは似合わない
           わたしの髪もついさっき
           栞に代わって役目を果たす
 ゆるさないでいて
 わたしは" .... 
 硝子の靴の落ちる音。
 振り返った君の瞳に
 今は、悲しみが見えない
  ・・・安堵するにはまだ早いけれど。
 朝日の落ちたリヴィング・ルームは
 持ち主のいないティーカップを浮き .... 
 ひどく僕の指先が透明になる気がした
 記憶の中の君は後ろ姿ばかりで
 どんな表情だったかも思い出せない
 ぼくは少しぬるくなったコーヒーを飲みながら
 君がいつ帰ってくるのか、こっそ ....