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海だった
湿度百十五パーセント
水蒸気の飽和したの六月の風
ビルに囲まれた灰色の世界に
潮騒と潮の匂いを届ける
風が吹き抜けるこの街は
海だった
気付いた君
ぬめつ ....
見上げれば透明なアクリル
水色の水彩絵の具
四時間後の空
連れてきたアキアカネ
薄く積もった白
描くのは乙女の髪を梳く風
乗せられてきたあえかな鈴の音
今や懐かし夏の日 ....
手を赤く染める雨を一粒。
摘んで捕まえた。
つぶしてしまわないようにそうっと。
空に泳ぐ寸前の雫の形のまま。
目の前にぶら下げる。
「こんにちは」
(こ ....