風が走っている、この胸の中で
指先で奏でてゆく夜の心音
私を呼んでいる遠い声が
耳もとでこだまするたまゆら
そっと指をのばす、頬に触れたなら
夜明けのはじめの光が胸へと届く


あなた ....
砂浜になぜか
まるのまま打ち上げられたりんご
いつからあるのか
りんごはなかば透き通っている


食べたらひどくだめそうなのに
僕はそれを舌にのせる
のを逐一 想像する ....
絶望からは少し違う此処で
頭を垂れてぽつりと咲いた
誰にも気付かれないような色で
僕にも気付かれないような色で
普通すぎる僕にはあまりにも
それは不気味で心地よい季節だった

夢を見なが ....
生き残った耳に
今も聞こえてくるのは
見下ろした小さな林から
厳かに流れてくるリズム
目を覚ますと
ぼくは丘の上で
膝から下を切り取られて
地面に突き刺されて
両腕を磔になったイエ ....
はい、どなた?
玄関のドアを開けてみる
ツルツルの警察官が立っていた
まことに申し上げにくいのですが
近所の公園のかたすみに
あなたの遺体が見つかりました
と言うので
下半身ですか上半身 ....
{引用=――淋しい鳥の夢をみた、
  あなたは一体誰ですか}

シーガル 夢をみたの
お前の心臓はとても温かかった
わたしとあわせるとちょうどぴったりして
シーガル 夢だと知りながら
お ....
くるくるまわる
風ぐるま
くるくるまわる季節の風
目の前にないにしても
鈍くちらちら光る
まわる羽の色
あのやすっぽさに感じいる

匂いたつ沈丁花の
垣根の道を
するする進み
 ....
月や空や星々
どれもぜんぶ違うとそう思いながら
夜空を見上げて街を歩いていた

同じなのは風だけだ
風だけが同じ
心と同じなのはただ風だけだ

凍えるように冷たい風や
生温かく鬱陶し ....
三日月に座って唄うあの子は誰
透明な声を響かせてレースのカーテンが揺れている


水のような夜の音が
静かにささやいた声は夢
世界の半分を包む蒼く澄んだ暗闇を
君の眠りの中へ
そっと解 ....
眠い
眠い

とろとろと

こんな時
脳は

あちら の
世界と
相談をしている


残酷なのに
血の赤が見えない
モノクロームな夢ばかり
見続ける


都下の森 ....
誰も批判しない箱の中
ぬくぬくしていて気持ちがいいよ
でもね、世界は
箱の外でまわっているの

  天の川は決壊しました
  あふれた星屑は
  流れて地上へ旅に出ます
  口を開ける ....
彼や彼らが死んで
しばらく経ってから
君は埋葬する
そして理解する
人は死んでも星になんかならない
人は死んだら死体になる
そして記憶になり
いずれ忘れ去られる
埋葬される者はまだ幸運 ....
整えられた部屋のなかで
足をそろえて座っている
でもつま先が冷えるのは
仕方のないこと

海や山や空をゆめみて
窓の近くに立っている
ほそい雨が降り出して
つま先が冷える

た ....
足りないものを
埋め合わせるために
ぼくはきみと
折り重なって
土を被って
ゆっくりとひとつに
混ざり合う


きみに足りなかったものを
ぼくが持っていて
ぼくが望んだも ....
どこまでも続く白い平面
凹凸は強い直射で覆われ
青空に浮かぶ太陽は
硬調なハレーションをおこす
サングラスをかけなおし
緑灰色に変わった景色を見回すと
平板な順光線の姿と
影絵のような逆 ....
                110306





はなことばはボノボ
巧みにすくい
木の実をたべる
器用な手つきと
比較され
拗ねるのが
消化不良の源泉徴収証明書
切り ....
降りつづいては
落ち着いてゆく
肌の裏側
こがねの腺


無い手を透り
こぼれるもの
失くした姿を
響かせるもの


夜の土の上
たくさんの色が話している ....
木馬が回転する荒野
芝生の丈は坊やの前髪
風が吹いても揺れやしない
朝の光を忘れた頃に
夕暮れ、赤い日が落ちる
白いタテガミ、回転木馬、揺れぬ緑の草の上

空から降るのは億千の星の粒とか ....
夜明けの人よ
この胸の彼方の青い丘に立ち
おそらくは私を待っているのであろう
夜明けの人よ

あなたのもとへと
私は行きたい
けれどそれにはまだ
私が過ぎ去らねばならぬもの
私を過ぎ ....
時がすぎる
ひらり 舞い踊るように
いくつもの掌から巧みにのがれて
はやすぎる
スピードで通りすぎていく


再び口を開いて何事かを囁く
すぎさったはずの君の傷
ゆっくりと
おそす ....
トントントントン
包丁の音がする
君は手際よくテーブルの上に出来あがった料理を並べていく


 いめぇじの世界で
 ダンスを踊る人たちが
 手を繋いでは千切れて


あら、忘 ....
封筒に花をつめて贈る
もう届くはずのない海の底
砂とコンクリートで満たされた場所で
白骨化した魚類たちと眠っている
赤いポストに届けたい

気取るつもりはないけれど
想いを物に変えて何か ....
時間が揺れるのは
重力の影響によるものです

人生が悲しみばかりだと思うのは
幸せがすぐそばにずっとあるからです

身体の外には未来があって
身体の中には過去があります

生まれた事 ....
締めきった部屋の中にいて
小さな風を感じる
どこからきたのか
あたりをみまわす

ベッドで寝ているぼくの胸を
よぎる小さな影
どこからきたのか
窓に仕切られた空を見る

独りのとき ....
 仏間に坐って
 うなだれ
 首を
 さしだしていたことがある


 白刃の前に


 ながれる水音に
 耳を澄ませていたことがある


 客観的なまでに静まった ....
うすあかるい
海風が流す真昼
爪のように剥がれ落ちた
湿った雪がすべてを埋め尽くそうと
降りしきっています

  昨夜の暗い雪雲の切れ目に凍えた
  遠い闇に抱かれた青白い星が寂しすぎて ....
視ること超えて
見える闇
聴くこと超えて
聞こえる沈黙
言うこと超えて
云われる言葉

もはや
見も聞きもしない
言葉が造る
虚構の世界を

観念のお化けに
呪われて
 ....
雲ひとつない空の青が眩しい
どこに太陽があるのかもわからないくらい
水色がひたひたと目に入ってくる
校長先生と呼べる人がいる場所を遠い昔に離れ
気だるい朝「今日は雲ひとつない晴天です」と
快 ....
野生の鶏が森に溶ける朝
立ちのぼる夜の残り香
白く踊る靄
女たちのはごろもの袖が
空に還るよう
斜めに抜ける鉄道の跡地に
芽吹く春を見守っている
私の肩に麦をふりかける人よ
瞳は黄金を ....
私という人間は、一冊の本なのです。 

四角いからだに手足を生やし 
不恰好に揺れながら 
人々の間を往くのです 

私が通り過ぎる時 
誰もが振り返り 
「何だい奴は」と{ルビ嗤=わ ....
三条麗菜さんのおすすめリスト(392)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
Nocturne- 石瀬琳々自由詩7*11-5-12
殺伐にいたる病- フユナ自由詩10*11-4-25
幽霊- 智鶴自由詩511-4-25
願望- 寒雪自由詩211-4-20
植えられる- リンネ自由詩911-4-14
シーガル- 石瀬琳々自由詩9*11-4-13
春の嵐- シホ.N自由詩211-4-11
同じなのは風だけ- あらら自由詩311-4-3
水夜- 村上 和自由詩611-4-2
モノクローム- 森の猫自由詩9*11-4-2
私たちの世界- 百瀬朝子自由詩9*11-3-31
Doors_close_soon_after_the_mel ...- カワグチ ...自由詩1911-3-13
つま先が冷える- はるな自由詩611-3-10
混ざり合う- 寒雪自由詩211-3-7
雪原の中心- hossy自由詩111-3-7
吾亦紅- あおば自由詩3*11-3-6
白と歩み- 木立 悟自由詩811-3-6
夜に遊ぶ- 木屋 亞 ...自由詩3*11-3-6
夜明けの人- 塔野夏子自由詩9*11-3-3
すぎる傷口- 自由詩3*11-3-3
じゃあ- 相田 九 ...自由詩711-3-2
なんという幸運- 木屋 亞 ...自由詩4*11-3-2
死なない蛸の殺し方- 村上 和自由詩911-3-1
どこからか- 殿岡秀秋自由詩611-3-1
タタミのうえの椿ふたつ- 石川敬大自由詩23*11-2-28
まひるのりんかく- たりぽん ...自由詩411-2-27
感覚世界- シホ.N自由詩2*11-2-26
空の青さが眩しくて支えきれずに- 木屋 亞 ...自由詩4*11-2-26
鶏の香り- たちばな ...自由詩15*11-2-25
幸福の本_- 服部 剛自由詩811-2-24

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