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【あたらしい一日】
ところで
どこともなく金木犀の香りがして
新しい季節の梢で すずむしが
昨日より すこしスローな音色の 今日を謳う
ところてんしきに
としごろてきに ....
【わすれがたみ】
ある夏の日
百合の花柱を
みつけました
薄紅に透ける花弁には
まっすぐな いのちの
いとなみが ありました
それは
ふと おもいだしたくなる
この夏の わすれがたみ ....
黒鍵みたい
しっぽでおへんじするよ
謳ってみて
葡萄色のゼリーのような海と空は
きっと絵のように美しい
いいえ きっと海の ほんとうは 絵なんかでは 表わせない
憶万の色と光と影を 海と空は もっているのだろうから
けれど わ ....
【昼間の星】
こんにちは 昼間の星々
雲の姿は無いというのに、私たちには お互いの姿すら見えない
腐りやすい私たちのこの身体よりも もっと高い深みに
あなたと私の心 ....
【飛行模型】
露草の花は ひかりをうけて翼のようだから
おだやかな 面もちで 飛び石を踏み外さないように歩く
縁側で 竹ひごが 飛行機雲のように しなやかにのびている
そのなかでも ....
お洒落な 満月なんて要らない
雨が降りそうだし ブルームーンなんて お洒落な言葉は要らない
青い満月をみたら 幸せになれるなんていう 言葉は要らない
要らない言葉は 小鳥にしか読めないほ ....
【暮れかねる】
ある日 冷蔵庫の中のものが
すべて 薔薇の花になってしまった
五月が さえざえと冷蔵庫の中で咲いていた
ばら肉は どこへいったのだ
薔薇が ここにはあるだけ ....
【 桜の散った街を往く 】
立ち止まるしかない 踏切では
たちどころに 遮断機がおりて
多くの人の思いが 通り過ぎる
伝えようとした言葉が
伝えられないときは
立ち止ま ....
潮
明るすぎる崖
やけに落ち着いた たたずまいで立つ
青すぎる空が 海の照り返しで
光が私に立ち上ってくる
憎悪 わたしの憎悪
おもいだせない
憎悪から ここまで ....
【くちなしの実】
夏のわたしの 誕生日、その朝 発した言葉は
おはようでも こんにちわでもなく
「くちなし」 だった
喋れなくなるほどに
薫る高貴な色彩の白
雫 ....