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 カンパネッラ、君は今頃、
 あの青白く光る星の裏側を、
 旅している頃でしょうか
 
 そこから見ればこの星で、
 炭酸ガスの割合や、窒素や燐の配合や
 地割れや雪崩や日照りに寒さ、おお ....
 あら、また来たの、と祖母は言う。
 ああまた来たよと私は答える。そうは言うものの、彼女が孫である私のことなどこれっぽっちも覚えてやしないので、私はまたいつものように自己紹介をした。
 それが ....
コスモスできらいすきすきだいきらい

赤とんぼフレフレ赤勝て白が勝て

今秋も流行りは赤だと鷹の爪

本年の出来はどうだと柿に聞き

もう少し渋いようだと鵯が鳴く

火恋し抱えて帰 ....
首を吊るには低すぎる木の下で
少女は一人
空を睨んでいた。
役場から聞こえるサイレンが
夕焼け色ににじんで消える頃
やかましかったセミももういない。

――もういいかい

アジサイの ....
「僕等は何処に行くのでせうね」

 始発のホームで誰かがそう呟く。
 電車の行き先は決まっている。
 けれども誰かがそう呟く。

「僕等は何処にいくのでせうね」

 病院の屋上で誰かが ....
白いスカートにコーヒーのシミをつけて
笑う少女の無邪気さを
貴方はそうやって嗤いますけれど
残念ですね
口の端にケチャップがついてますよ。

文学少年気取りの
私たちのエスプリなんて
 ....
サハラ砂漠に
たまごが一つ。
砂に埋もれて
蒸し焼きになる。

ガンジス川に
たまごが一つ。
僧侶の足に
踏まれて割れる。

冷蔵庫の中に
たまごが一つ。
中身は既に
くさっ ....
飛び散った
ブラックベリーの
赤い点々。

咲いて咲いて咲いて
咲きっぱなしの赤い花。

飛び散った
ブラックベリーの
赤い点々。

悲鳴みたいな
スカートのシミ。
晩秋は山の夕暮れ
山の子どもはその頬を
真っ赤に染めて
白いふとんが敷かれるのを
待っている

 また来る朝に
 目を醒ますため
 また来る春に
 芽を咲かすため

晩秋は山の夕 ....
 それは遠い夏の日の話である。
 
 それが正確にいつのことなのか、もはや敬三には思い出せない。その程度には昔の話だった。
 ただそれが夏の日だと確信できるのは、あの日の太陽がぎらぎらと輝いてい ....
図書館へ行くと
いつも
てのひらに
穴が空けばよいのに

思う。

エラリー・クイーン

京極夏彦
に挟まれながら
金子みすゞ

アラン・ポー
に挟まれながら
真新 ....
ポピーが手をふる
あの頼りない花が
赤いてのひらを
ひらひらさせて

生ぬるく上がる気温に
山の空気が差し込む
一瞬の冷気が
五月の雨になる
吹き降ろす風と
じりじり上がる気温に
 ....
 生乾きの芥子の花が
 白い煙をもくもく出して
 修行僧のように黙り込んだまま
 燃えているときに
 わたしはただ
 真新しい注射器のことを思った
 腕に針が刺さるとき
 いつもわたしは ....
冬の立つ前の最後の雨です。
サルビアの花が燃えるように赤くなる。

 (巷に雨の降るように)

  さびしいさびしい晩秋です。
  山ははらはら葉を落とす。

   (巷に雨の降るよう ....
{引用=
世界中の子が
いっせいに
赤い風船
飛ばしたような
お空です。}
世界中の子が
泣くでしょう。
こんな夕日の
赤い日は。


{引用=なくしたものを
思い出し
空 ....
遠く遥かな
おぼろ月
春の夜半なら
届くのか


一人で歩く
かえり道
ついてくるのは
おまえだけ
夜とおんなじ色の猫


うすぼんやりと
おぼろ月
猫とおんなじ
色の ....
山の一番大きな木に
ホウセンカズラの灯が燈ったら
お祭の合図です。
各々この夏手に入れた
一等綺麗な思い出を持って
おいで下さい。
カササギのアオ爺が
その質に応じて石をくれます。

 ....
露草の青は空へと溶けて消え

縞猫が寝床へ運ぶイチョウの葉

阿呆鴉柿の実一つ落とし行く
夜明けの空の色は
遠い昔に
見た標本の
大きな蝶の羽の色

{引用=赤い蝶はいないの?と
無邪気に聞いた幼子に
私は多分
嘘をついた}

白々と明ける夜に
いつかの朝へ
蝶の群 ....
真夜中に13回時計の鐘が鳴った
私はアリス
追いかけるべき白兎がいないので
仕方なく一人でお茶を飲む
すると呼んでもいないのに
引き出物のティーカップが顔を出し
喉が渇いた、と喚く
何を ....
ダーナー・トゥーナーは
燕になりたい
燕になって
王子様の目玉を抉り取り
幸せを運ぶ感覚、というものを味わってみたい

ダーナー・トゥーナーは
燕になりたい
そのことを話すと
彼の両 ....
高温の炎は
赤から青へ
青から無色に

ほら
空の端が
段々白く
なっている

きっと今頃
隣町は燃えているんだ
紫陽花は誰かのために色を変え

庭先に咲いた牡丹が欲しいか嵐

木瓜の花闇夜に燈る灯のように

足跡を残すが如く咲く菫

向日葵は子供の顔を覗き込み
聞いたことはないけれど
蓮は花がひらくとき
ポンと音がするらしい

聞いたことはないけれど
それはきっと
何処か遠くの暑い国の
砂に塗れた大きな仏像の前で
小さなやせた女の子が
そっ ....
大きな線香花火が
今日もゆっくり
海へと落ちていった
水に浸かる瞬間に
ジュっと
火の消える音がしないかと
耳をこらしてみたものの
カナカナカナと
聞こえたは
夏の終わりにすがりつく ....
未有花さんの亜樹さんおすすめリスト(25)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
カンパネッラ- 亜樹自由詩615-4-26
祖母の瞳は日に日に還る- 亜樹散文(批評 ...114-2-11
秋は色づく- 亜樹俳句512-9-27
かくれんぼ- 亜樹自由詩712-7-17
「僕等は何処に行くのでせうね」- 亜樹自由詩311-7-25
貴方はそうやって嗤いますけれど- 亜樹自由詩211-7-25
たまごが一つ- 亜樹自由詩1111-3-1
悲鳴みたいな- 亜樹自由詩210-10-21
晩秋は山の夕暮れ- 亜樹自由詩209-11-25
鰻の行方- 亜樹散文(批評 ...109-8-18
紙魚の眠り- 亜樹自由詩609-8-11
ポピーが手をふる- 亜樹自由詩109-5-25
なつのこどもはやかれてしまった- 亜樹自由詩209-5-17
ノスタルヂア- 亜樹自由詩208-10-23
赤い風船- 亜樹自由詩308-10-7
朧月夜- 亜樹自由詩308-8-25
ホウセンカズラの灯- 亜樹自由詩208-8-7
秋の散歩道_弐- 亜樹俳句107-10-18
朝の蝶- 亜樹自由詩207-9-25
13時のお茶会- 亜樹未詩・独白107-9-21
燕になりたいダーナー・トゥーナー- 亜樹自由詩107-9-19
あついひ- 亜樹自由詩107-9-18
優しい花々- 亜樹俳句1*07-9-4
蓮の仏- 亜樹自由詩107-9-2
夕日- 亜樹自由詩307-8-29

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