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風のなかで風を探して
気が付けばもう
誰も居ない
原っぱでひとり
終わることのない
鬼ごっこをつづけていた
少年はいつしか
風によく似た季節に
連れ去られ
四月になれば
アネモネと ....
テーブルの上に広がった海へ
そっと釣り糸を投げ入れる
古びたソファーに腰を深く沈め
ダージリンを一杯
それから
小さく溜め息をついて
今日一日分の孤独を釣り上げる
今日も
整備士が
街のいたるところに
油をさしてまわる
錆び付いていた風景が
滑らかに動きだす
時計台の時計が
ボーンボーンと音をたて
時間の螺子を弛ませている


 おはよう  ....
地面を掘り続ければブラジルに行ける
そんな話を簡単に信じる子供だった
なにひとつ疑うことなく
銀色のバケツに小さなスコップを入れて
近所の公園へと向かった
掘る場所といったら砂場に決まってい ....
*
澄んでいく記憶の端から
水色の汽車が走り出します
ため息や欠伸といった
水によく似たものたちを
揺れる貨車に詰め込んで
透きとおる空の下
滑らかなレールの上
どこまでも
どこまで ....
遠い山の向こうへと繋がる
七色の虹を
その人は背負っていた
重くないですか
と尋ねると
その人はすこし微笑んでから
紺色を私に手渡し
故郷の虹は六色でした
と寂しそうに呟いた

空 ....
水平線に帽子を被せている人を見た
世界と対等に向き合うということは
それほど
難しいことではないのかもしれない
子供たちに蹴飛ばされた波が
海の向こうで
砂浜に描かれた絵を消している
 ....
庭の土を耕して
人差し指で穴を掘り
ヒマワリの種を植えたのが五月

まいにち
土の湿り具合に神経を尖らせ
やがて
いくつかの芽が出ると
お気に入りの芽を一つ残して
あとは全部引っこ抜 ....
新しいページを開くと
本は一羽の白い鳥となり
窓の外へ
飛んでいってしまった
カーテンを揺らす
やわらかい風に吹かれながら
日曜日の公園へ集まる
たくさんの本たちのことを考えてみる
羽 ....
目覚まし時計が
三時限目のチャイムを鳴らす
慌てふためき玄関ドアを開けると
見慣れた砂漠が広がっている

決められた席にきちんと座り
勢いよく手を挙げてみたが
指さしてくれる人はいない
 ....
未有花さんのTsu-Yoさんおすすめリスト(10)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
アネモネ- Tsu-Yo自由詩608-4-3
ダージリン- Tsu-Yo自由詩408-1-28
醜いジュリア- Tsu-Yo自由詩207-12-20
ブラジルの穴- Tsu-Yo自由詩507-12-5
水色について- Tsu-Yo自由詩1407-9-3
考察_〈野原にて〉- Tsu-Yo自由詩907-7-4
考察_〈海辺にて〉- Tsu-Yo自由詩2007-6-4
バス停- Tsu-Yo自由詩1307-5-28
鳥かご- Tsu-Yo自由詩807-2-10
解答- Tsu-Yo自由詩406-12-3

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