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その人の瞳の内に 
永久の春が在り
遥かな昔から
桜の木が立っている 

冬の冷気を越え 
降りそそぐ春の日射し 
今にも開こうとする無数の蕾に 
こころは{ルビ軋=きし}む 

 ....
ひとりの人間の哀しみに
わたしは立ち入ることができない 

十日前に夫を亡くした同僚の 
目の前を覆う暗闇に 
指一本たりとも 
わたしはふれることができない 

( 背後から追い立て ....
見上げると 
ひらひらと北風に舞う 
たましいのかたちをした 
まあるい葉が一枚
落ちてきた 

{ルビ煉瓦=れんが}の{ルビ椅子=いす}に座ったぼくは 
腰をかがめてそれを拾うと 
 ....
夜寝る前に読書していると 
開いた本のなかから 
うっすらと光を帯びた手があらわれ 
わたしに差し出されていた 

その手を握ると 
不思議な想いが心に流れ 
明日に怯えるわたしの影は  ....
本を開くと
そこは遠い昔の日本のお寺 
お金持の人々が行列をつくり 
次々と賽銭箱に大判小判を投げ入れて 
ぱん ぱん
と手を合わす 

そこへ 
ひとりの乞食があらわれて 
薄汚 ....
一日の仕事始めにコピーした 
今日の日付けの書類には 
一枚の{ルビ付箋=ふせん}が貼られていた 


「 使ってください 」 


向いてなかった職場に{ルビ棄=す}てられて 
縁 ....
一日の疲れを 
シャワーで洗い流していた 

湯舟には 
二本の髪の毛が組み合わされ 
「人」という字で浮いていた 

水面でゆっくり回って逆さになり 
二本の毛の両端がくっついて 
 ....
照りつける夏の陽射しの下 
墓石の群を横切る私の地面に頼りなく揺れる影 
一瞬 頬に見えた{ルビ滴=しずく}は 涙なのか汗なのか 

( {ルビ嘗=かつ}て 一途だった少年の恋は
( 夏の夜 ....
ことうさんの服部 剛さんおすすめリスト(8)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
「_桜_」_- 服部 剛自由詩16*07-3-23
冬の車窓_〜二〜_- 服部 剛自由詩12*07-2-4
たましいの葉_- 服部 剛自由詩18*06-12-17
「__手__」_- 服部 剛自由詩21*06-11-20
幸福のパン_- 服部 剛自由詩13*06-11-13
付箋- 服部 剛自由詩6*06-11-6
「人」- 服部 剛自由詩11*06-10-29
渇いた夏_- 服部 剛自由詩26*06-7-26

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