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 これは きのう
 こっちは きょう
 どうしてこんなにささくれが多いのだろう
 ぼくの
 サキソホンから
 そんな
 ぼやきの声がきこえてくる

      *

  ....
{引用= こがらししとだえてさゆる空より
 地上にふりしくくすしきひかりよ}


 埠頭の水たまりに
 月がこごえはじめている
 真夜中には
 かげもまた針のようにゆっくりと ....
 気難しい顔で、本を読んでいた
 犬が
 ニッと笑った。
  ――それには訳がある。

 犬の気難しさより
 笑いの
 その意味の落差のほうが
 カクッと おもしろかったのであり
 ....
{引用=

 つめで
 つめを切った
 むしり取るように千切った
 千切られたつめは
 たちまち丸まって
 干からびて
 ちいさく萎びて不要なものになった

  ――そのようにして ....
 しぬなんておもいもしなかった
 ひとが
 海をみていた
 くっきりカゲを増した
 夕映えの
 不知火干潟で
 たぶん夢中で
 ファインダーをのぞいていたにちがいない
 もえのこる ....
{引用=



 掠れた息をつくように
 ベッドにそっと
 言葉にならないものを吐いたとき
 その言葉にならないものはすぐ露のように朝の陽にきえた

 あの日のあの雲にはもうであえな ....
 褪色したかこはモノクロ
 セピアのくすむ
 鉄錆の
 あかがね色

 ふくざつに入り組んだそら
 四角い工場群がある昭和のはじめは卵の
 ちいさな箱
 筒状のえんとつ
 ....
 ゆきちゃんは あさ
 かさをさし 長靴をはいて
 雨のなかの花にあいさつする
 話しかける
 おじぎをする
 おはよう さようなら
 きょうなにたべるってたずねている

 ....
   樹木の幹を截ち割って
   樹木がうまれてくる

   ひとを截ち割って
   ひとがうまれてくるように

        *

   きょだいな
   ウ ....
 空にはハエがいる

     *

 ナベブタでハエを捕らえようとする

     *

 からっぽだから空なんだ

     *

 からっぽのなかにはなんでも ....
  耳をすますときは
  手と足が
  とまる


  だれにしたって表情が凝固して
  仮面になる
  手配写真のようにだ


  音がするほうに
  むける
  ....
  猛々しい
  雲の峰々をぬってながれるその川に見覚えがあった
  なぜか
  その子に見覚えがあった
  林の奥の僻地の村へは行ったことないのに
  そのおさない者の笑顔に
 ....
  非定型な雲は生硬な定型でしかない
  ぼくを尻目にとりとめがない

  ぼくのO市
  かのじょのN市
  どちらも雲と坂が多い街であるから水っぽい
  川が
  なにか ....
  蘇生のイキをするように
  そっと虚空に
  言葉をはなったとき
  言葉はすぐにちりぢりになってきえた

  あの日の
  あの青空には
  二度とであえはしない
  ....
  そんな老朽化した家屋の
  偲ぶ場所
  なんて
  もうこの世の
  どこにもなくっていい
  壊れてしまってもかまいはしない

  ぼくの
  わたしの
  想い ....
 日本海にしずむ
 落陽は
 おおきくて美しい
 と、ラジオでだれかが言った

      *

 かつて
 五島灘にしずむ
 落陽を
  ―― オレンジ色のおおきな
 ....
 この先は川でいきどまりのはずなのに…


 帰ってゆくオランウータン
 帰ってゆくパンダコパンダ
 帰ってゆくオットセイ
 帰ってゆくコアラ
 じてんしゃにのって
 はた ....
 あんなところまで
 かけあがってゆく脚力があった
 なんて、知らなかった
 あれが
 かけのぼってゆく波のペニスだったなんて

 美しい波形
 コバルトブルー
 夏の日に ....
 胴体に日の丸をつけた飛行機が
 滑走路から飛び立ってゆくのを見送っていた
 まるでデジャヴュでもあるかのように

 ものを書き
 考えることをしてきた
 だのに、なにも残って ....
 川面で光の魚がはねている
 春と霞を点描で描くのはぼくではない

 土手の並木の樹勢のなかを
 グングンふくらみ育ってゆくもの
 ふくらみみもだえて勢いを増してゆくもの
 樹 ....
 棚が倒れて割れた窓ガラスや試験管
 フラスコやビーカーが床に散乱している
 海水に浸された真綿が入るシャーレが傾いて静まっている
 実験室の椅子にすわるかれの顔をおぼえていない
 ....
 ゆうべはねむれないまま舟を漕いだ
 ねむれないまま舟を操り蘆を払って湖沼をすすんだ

 朦朧とねむれないままもとの舟着場にもどる
 と、先がみえない霧のなかを漂流していたことがわ ....
{引用=



 満月の夜には
 外にでてはいけないと老婆はいう
 ふらふらと外にでて
 川を遡上
 青い山に囲まれた
 いちばん星空に近いその湖に行ってはいけないと

 ゆらめ ....
{引用=



 こんなにもかなしくさびしい目をした
 青い犀は
 かつてみたことがない

 霜月はじめ
 いや
 ぎりぎり瀬戸際のこの師走のおわりの
 月さえ凍える
 しろい ....
 カゲがひとつ減った
 またひとつ減ってこれでは
 カゲの家族が家族ではなくなってしまう
 カゲの家族の個々のカゲすらなくしてしまう

 とつぜんの惨劇ではなく
 しのびよって ....
 冬のあま雲に
 のぼってゆくように
 クルマで雲に
 わけ入っていった

 国道の
 あま雲のなかは
 濃いキリが視界をさえぎる世界で
 アスファルトに刻まれたセンターラ ....
 冬の断崖にたつ理由は
 自殺か
 他殺か
 イノチを落とすためばかりではない
 のこされた者が
  ―― その
 波濤を眼下にする行為に釣りあう不条理感の
 くるしみ
  ....
 抽象画家が描いた
 うつくしくはりめぐらされた運河
 本流が支流になって
 クモの巣状の千の川になる
  ―― そこに
 ジェルマン
 という街がある

 静電気をおびた ....
 いくつもの
 ヒルとヨルとを重ねあわせた
 一枚の都市の風景画と
 そこのみで生きる人物が描かれているとして
 かれは
 どこのマチカドを
 いくど
 折れまがり
 バス ....
 すれちがったトラックには
 零れるほどのいのちが
 ひしめいていた

 通勤車両ではこばれる
 ひとみたいに
 いっせいに体をゆらしていた

 くろい体毛
 くろい顔
 ....
北大路京介さんの石川敬大さんおすすめリスト(33)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ぼくのサキソホン- 石川敬大自由詩10*14-4-5
《冬の星座》にあのひとをさがす- 石川敬大自由詩16*13-3-1
本のチカラ- 石川敬大自由詩14*13-2-26
すてるものはすてられるもの- 石川敬大自由詩1113-2-10
さいごの一枚- 石川敬大自由詩17*13-2-6
失語症から- 石川敬大自由詩28*12-9-12
フリーハンドのくろい線- 石川敬大自由詩15*12-8-10
ダウンズタウン_is_freedom- 石川敬大自由詩17+12-6-23
千年樹- 石川敬大自由詩13*12-5-1
断章*空はからっぽだ_- 石川敬大自由詩10*12-4-2
たまの春- 石川敬大自由詩27*12-3-11
K氏の戦場にて- 石川敬大自由詩1712-2-5
雲と坂道のデッサン- 石川敬大自由詩13*12-1-27
失語症から- 石川敬大自由詩2212-1-23
きみの歌声を忘れない- 石川敬大自由詩1611-10-5
洛陽は落陽の果てにあって- 石川敬大自由詩19*11-8-7
城址公園の傍らの川沿いの道は通学路なのだった- 石川敬大自由詩14*11-6-2
地勢が、波の舌、波の騎馬で…- 石川敬大自由詩18*11-5-14
終末論の週末にくるものは- 石川敬大自由詩15*11-4-20
春に酔う- 石川敬大自由詩22*11-4-13
廃校に立つ未来の子どもたちに- 石川敬大自由詩19*11-4-2
舟を漕ぎおわって陸地にたつと- 石川敬大自由詩18*11-2-11
青い湖畔のシカ- 石川敬大自由詩24*11-1-7
雪の往還にたつ青い犀___ーー_堀晃の絵画を観て- 石川敬大自由詩19*10-12-30
飛翔するカゲの家族- 石川敬大自由詩10*10-12-23
キリにわけ入る- 石川敬大自由詩13*10-12-21
「ゼロの焦点」その擬態のしんじつ- 石川敬大自由詩6*10-12-19
架空の街のロビーにて- 石川敬大自由詩17*10-12-17
戦場の外れにあるコーヒーショップで- 石川敬大自由詩13*10-12-16
運ばれた先で待っているもの- 石川敬大自由詩19*10-12-2

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