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台所の窓から見下ろす 校庭が白く染まって
摘みとった記憶まで見つけてしまいそうだ

ふとももにあたるスカートの襞 湿り気を帯びた木の匂い
犬走り 紋白蝶 遠くのポートタワービル
木漏れ日が  ....
半月がころがった
夜の{ルビ帳=とばり}に
埋れたふたり
冬の星座は
オリオンしか知らない
道すがら探して
明日は晴れるね、
大体毎日言う
大体毎日
同じ相槌を聞く

手袋が欲し ....
一匹の{ルビ蜻蛉=とんぼ}が
脚の間をすり抜けて
小さくさざ波立つ水田
暮れ翳り始めた空に
フラミンゴの色の雲

エミール=ガレの作品集を
撫でる指で繰っていた
男のこと

苗のき ....
もう読みたくはないのだ
わたしは明るい光のもやもやと
たゆたうなかに身を落とした
ここでは視界も聴覚も澱んで
生温くて居心地がいい蜜液のような

見詰め過ぎたのだよ秒針の動く早さとたど ....
 
赤色の電球が落下して
横たえた体の真上で破裂する
透き通って赤いガラスの破片が
ゆっくりと飛散し
白い二の腕の内側や
{ルビ粧=めか}した鼻のてっぺんや
潤んだ眼球に降り注いで
わ ....
長い陽も沈むよう
医院の外灯が付いて
傘の影が三つにひらく
バス停にひとり

何も捉えぬ目で
車道の先に見た夢も
呆気なく流れて
ちっぽけで哀れな足を
ざぶざぶと濡らす

雨粒は ....
風なんか
これっぽっちも吹いちゃいねえのに
鳴るんだよ
軒下によ
無理矢理引っ掛けて傾いた
風鈴が
ちりいんちりん となあ

おれは晩飯も早々に
枕につっ伏して
煎餅布団握り締めた ....
気付きを渇望していて
それは同時に恐怖でした

目を閉じれば蛙の鳴き声が
聞こえます
顔を覆う手に雨が降ります

砂漠の真中に 街灯の隅に
泥まみれのまつげが
ひとり世界を睨むとき
 ....
一杯のレモン水が
少女の潔い清らかさを崩壊させる
振り払ったはずの
輪切りする手のぬくもりを
思い出す指が水滴に濡れて

この苦悩は
億千と繋がる母らのつらみ
そうであるなら耐えてみせ ....
兎の心臓の動きをする
くびすじの隣で
粥が水を含みすぎることを
心配している
おんなは
せわしい寝息に
少し欲情して
見慣れた顔の
見慣れない瞼に
舌を滑らせてみる

欲するのは ....
一、

せんせい、と
あたしの声が響くたび
澄んだ空気が
ゆらり
あでやかに揺れる
それに気付いて
目の奥のどうようを
れいせいな
おとなのまなざしで
隠すひと

その距離は ....
お前との間には
いつも渇いた隔たりがあり
少し上向きの
幼い口びるに舌を寄せても
私の熱はひんやりと
遮られる

お前の泣き顔が好きだ
ほうけた赤い目と
くずれてしまった化粧が好きだ ....
猫が疑問符を撒きちらし
夜がいくらか賑わいを増す
その髭の長さぶんの内容を
ひとつはそっぽをむいた月へ
ひとつは笑い揺れる木々へと
夜が明けるまで
あくびする間もなく語りかける

永遠 ....
石瀬琳々さんのかやさんおすすめリスト(13)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
白い記憶- かや自由詩5*08-2-24
半月- かや自由詩7*08-1-18
予感- かや自由詩23*07-6-1
詩人たちへ- かや自由詩8*07-5-8
贖罪- かや未詩・独白10*07-1-11
待つ- かや自由詩6*06-8-13
風鈴- かや自由詩6*06-7-21
ある夜- かや自由詩2*06-5-29
少女- かや自由詩6*06-5-5
風邪と日常- かや自由詩3+*06-1-20
少女舞台- かや自由詩13*05-11-14
さびしい愛情- かや自由詩7*05-10-20
私と、猫の夜- かや自由詩14*05-8-8

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