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お供えのような小さな菓子を買う
あまくてすぐに溶けてしまう
ころんとしたなまえの。
傘を開くとボンと音がして、腕に吊った菓子箱が少し跳ねる。
タカタカタカと安定したそぶりで行き ....
きみのいない午後は
あたたかいけど うつろで
コーヒーの湯気が のろのろ移ろうのを
ぼんやりと 眺めている
こんな感じ 音もなく葉陰が揺らぎ
窓枠に
淡い緑が染みこんでゆく
....
液晶のなか目覚めたように
数字が淡く点滅する 淡くて少し掠れていて
なぞる 指がつめたい
わたしはまたほどけようとする
全部がいちぶ いちぶは全部のごとく移ろい
そうか海は個と全の明 ....
ことばは、はっした時点で幻になる。
よくも悪くも。
ね、みみをもつってそういうことだよ。
幻のみみは幻を受けとれる。
昔、にんげんのみみがとても好きな王様がいて、
その王様は ....
昼間だけど電気をつけないといけない昏さで
どうということはないけど
しみじみと低いこころをつくえのうえに載せている
あたまの向こうには
昔からずっと同じ時計があって
何時かわかるとい ....
陽のあたる場所がすこしずつずれてきた
おとのないふゆ
そらの色はぜんめつし、
、、、
青なんていわないでいいのだ 透明のかさなりであろうと、
もうそれ以外のな ....
街1
好きでもないまち、でもきらいとまでいかないまちに
好きなきみがいるのはたしかなことだった
きみは本が好きで
きみに好かれている本をわたしはちかいうちに読もうと思っている
風とか、ご ....
私は手提げ袋をぶらぶらさせながら
坂をのぼっていた
そうしながらよく似た家々の
それでもはっきりたちのぼってくる個性のひとつひとつに
ていねいなあいさつをしていく
首をわずかに動かす程度 ....