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1 + 1 = I Love You
2 - 1 = I Miss You
今年も古い母屋の軒先に
つがいの燕が巣作りしました
生まれたての可愛い雛たちは
親鳥の帰りをひたすら待っていて
精一杯の幼い首を伸ばして
甘えたような鳴き声あげている
(なんだか可愛いな
....
なつは名のみのあめばかり
紫陽花は爛漫に咲きほこり
つゆの雫をぽとり、ぽとり
樹々の緑も色濃く、ゆるり
夏はまだだと雨降り積もり
二人は戦場で出会った
砂漠の英雄は豪腕投手
森の英雄はホームランバッター
砂漠の英雄はボールの変わりに手榴弾を投げた
森の英雄は弾の切れた機銃を構えて全力でスイングをした
森の英雄は ....
わたしとしては早く終わって欲しいのに
あなたはまるで厳粛な儀式に望む
いんちきくさい司祭のような面持ちで
わたしのかたちを確めてみたり
わたしの知らないかたちで動こうとする
ふだんと違う表情 ....
魔王は 生まれるだろう
余人の吐息を嫌って選ばれた修道院の建つ
青空のように堅い岩塊の園から
誰もが逃れられぬ「人称」を彼もまた大気に放ち
口伝えの反復に摩耗したイコンも
魂の生き延びる道を ....
父の日に夢を見た
§
大地震があった
私は、すぐには故郷に帰れなかった
車も電車も無い
やうやく故郷に帰ると、或る男がかう言った
あんたの家は無いよ
全部盗られちまった ....
四本の腕の理由は
一本は
何かを取る為
一本は
何かに触れる為
一本は
何かを掲げる為
一本は
あなたを探す為
そして
想い募る度
この
四本の腕は
すべて
あなたの為 ....
深い眼差しを、
赤く朝焼けした巨木におよがして、
動きだすふたりの直きせせらぎが、
ふくよかな森の奥行きを高めて。
始まりは、乾いた無音を燻らせる、
茫々とした朝霧を追い越して、
あさ ....
ぼくは詩人
星は天空に従い
生は天命に従う
今日もまた
夜の散歩をしていると
月に出会いました
この国では{ルビ古=いにしえ}より
山の端から姿を現し
山の端へと姿を沈 ....
矢継ぎ早に
新月は降り注ぎ
縫い針がまたひとつ
遠雷に濡れている
吟醸の名を濁さぬ盆は
薬指だけの浸りに あかるい焔を映し
無言の岸辺を満たすのは
衣擦れの波
鈴なりの
....
しずくのことは
一輪、
二輪、と数えあげたく
青空ならば頷いてくれるだろうか と
躍らせた髪
真昼の月の通い路と
銀色乗せた浅瀬の流れは
中空で いま
十字を結ぶ
か ....
ただひとり 生き延びた僕に、
残された海。
激しく、荒れ狂った夜は 引き潮に連れ去られ、
空と海とをわかつべく 曖昧な区切りは
さも穏やかに微笑んでいる。
磯際を覗くと、ウミスズメたちが ....
お見合いしないの?
って、長いつきあいのおんな友達に聞いた。
「しないよ、どんなの来るかわかんないじゃん。」
いやなら断ればいいんじゃん。
きっとさあ、
銀縁メガネでさ。
市役所の市民 ....
モリアオガエルは
森のカエル。
木に登って
暮らしてる。
遠くを見つめて
風を食べてみたり
僕と出会っても
何も考えてないような顔をして
きょとんとそのまま
そこにいる
....
おれの聖なる童貞を、あんなクソ女になどくれてやるものか
おれのはじめての相手は小倉優子と、一万二千年前から決まってるんだ
おれの聖なる童貞を、あんなクソ女などにくれてやるものか
おれのはじめ ....
私に、その葉に落ちている、
甘美な雫を下さい。
私に、そのほのかで優しい花びらの
色を下さい。
音もなく燃える僕たちに
口はいらない
君を抱くこの腕に
月の光が唄う
始まりも終わりもなく
闇の世界に
ふたり
照らされながら
ハンディカムの
デジカメの
そして携帯の画面の中で
君は微笑みながらも
なんだか窮屈そうだ
僕は君の眼を見てるつもりで
君にはレンズを見せていた
写った君の数だけ
みつめ合 ....
空は 晴れて
緑が 萌えて
鳥は 唄う
どうしようもなく
春で
朝で
まぶしくて
どうしようもなく
私は
女で
せつなくて
風が「る」のような ....
私は今日始めて子供を生みました
長い長い道のりで初めてでした
想像以上に重く
想像以上に暖かいものでした
私は今日二回目の子供を生みました
とてもとても短い道のりでした
想像以上に軽く ....
猫ですもの
貴方が好きだと言ったから
頭に飾った紅玉よ
悪役で黒幕な貴方だけれど
お金を沢山持ってる貴方だけれど
そんなもの私が望まないのを善くご存知でしょう
ただ傍に
貴方の膝 ....
水の上に
君の名を書く
綺麗に流れて
心に染みた
涙溢れて
湖に
白く煙る想いは
音声を奪う
つないだ手に
刻(とき)は割れ
言葉はすべて
星になり
行く先を照 ....
叙情の彼方を探るように この岸辺にて
翼を休めるものよ 優しげな日差しと
聞こえ来る 春の訪れを告げる歌声
地に生けしもの総て 目覚めの刹那を夢想する
巡る季節の旋律は いつにもまして ....
悲しみを慈しむ
それは
生きてあることを悲しみ
老いてゆくことを悲しみ
病に倒れることを悲しみ
死に別れることを悲しむ
その悲しみに
打ち震える人を
慈しむこと
そして
....
お前さんが喧嘩をしないのは
誰かが傷つくのが嫌だからじゃない
取っ組み合いになったら絶対勝てないから
勝てない気がするから
弱虫ジミー
みんなはお前さんをそう呼んだ
戦う前から逃げ出す ....
一番弱いとか
使えないとか
言ってるけど
コイキングなんだ
コイキング
コイの王様だよ
鯉か恋かって?
鯉に決まってんだろぉぉぉ
全てのコイよ!
彼の前にひれ伏せ!
鰭(ヒレ) ....
私はとても小さいので
海を見れば
海でいっぱいになってしまう
私はとても小さいので
空を見れば
空でいっぱいになってしまう
私はとても小さいので
風を匂えば
風で ....
腰のものを赤く染めて鳥が鳴く。
うぶめ、と呼ばれる鳥である。
産の穢れに死んだ女は鳥となる。
ほう、と鳴くが聞こえるか。
生まぬとしても女は女と男は言う。
うぶめの悲しみを知らぬは幸福と ....