透明と漆黒の間
無限階調の青い温度を
滑らかにはばたく
マンタ
重力は知らない
裏返り、途絶えてゆく
浮力の哀しみだけを
白い腹に秘めて

辿りついた系譜は
争い合う知識ではなく
 ....
東京と東京のあいだは
やはり
びっしり東京だった
銀色のパチンコ玉で{ルビ犇=ひしめ}いていて
覗き込めば
ひとつ、ひとつ
{ルビ歪=ゆが}んだ顔を映す

冷たい光の反射に
じっと身 ....
?.

ああ
オルテンシアがほんと楽しそうだ

あんなの日本語だとね、てんこ盛りって言うんだよ。
ひひ、てんこ盛りだって、おかしいね。
まあ、要するに、昨日の俺たちのパスタだ。あれが ....
?.

(脱皮中の大蛇が、ぐるぐるするめまいのなかで想いました)

 眉間のあたりがパキパキいってらあ

 白黒の国にいこうかな それとも
 クリーム色の国でやさしく暖かく生きてゆくか
 ....
 海を見下ろす高台の公園には、昔この国の王侯貴族が避暑地の別荘として利用した赤レンガ造りの建築がある。現在は音楽大学として使用されており、小春日和のお昼時に、セロ学生の太く若い旋律は白い玉砂利を撫ぜ、 ....  

 昨晩の友人とその妻きたりて
 私と妻と4人で囲む団欒に
 花も喜び猫は寝たふり

 お日様が玄関口までやってきた
 ポカポカポカポカ
 うれしいな
 ワクワクするな

  ....
?.

 隣の丸っこい車と空と
 くぎりもつかんわ おい
 
 馬にまたがったのが一昔
 鉄にまたがったのよ人ごみで
 血の暖かささあさあさあ
 ペトロールでパトロールでロッケンロール ....
 


 青みがかる灰色の空
 春の若葉も静かな会話
 横断歩道 赤に変わって
 僕は止まる 息を吐いて

 思うことはたくさんあるが
 思っても仕方のないことばかりで
 晩御飯の ....
 穏やかで風もやさしい日曜の午後
 予定もなくて
 気持ちも安らか

 まだ開かぬ未来へのドア
 定まらぬ航海のいく末

 ただ漂う
 時間の波に揺られて
 
 心の目に映るの ....
君に


 君の心と僕の言葉が反対を向いてどうしようもない時は
 僕のことをへちまのちんちくりんと見なして
 うっちゃってくれればいいよ

 僕は少し酢とかにんにくとか
 鼠の尻尾とか ....
四つの脚をたて
温度の低い床に
椅子が停泊している
いつまでも出航しないのは
その方法を忘れてしまったから
ではなく
航行すべき海が
椅子の内に広がっているからだ
水が溢れ出さ ....
 足りないよ
 心もとないよ
 切ないよ
 さびしいよ

 弱音や不満が渦巻く部屋で
 深夜に振り返る 振り返る

 人でなしと母に言われた夜は眠れない
 味方なの? やつ当たりの道 ....
一枚ずつはがれてゆく沙漠から抜け落ちる温度に眼の奥を洗われて、新しい沙漠が水上に浮かんでは映発する様をいくつもの角度から剪断する。つぶらな音覚が限りなく前転してゆくその先では泣くことになるだろう。手の .... ぐんにゃり ぽっぽ
雪の草原を 女は
赤い着物着て
歩いたのだ
ちらほら雪は降ったのだ
女は倒れて
吐いたのだ
赤い血を
青白い空が覆いかぶさる
女は血を指先でなぞりながら言った ....
ここから
逃げ出したくて
とても
逃げても
そのさきからまた
逃げるのだと
知っているから
私は


だから


ただ抱かれたいだけ
その腕に
つよく
それだけ
それ ....
皮肉なことに
ここ最近で一番肌の調子がいい


あのあと初めて
まともにつくった食事は
美味しくて残せなかった


まだなにも終わっていないのだと
思い知らされた
神経質な夜に
まじないではなく
欲しいものは
精神安定剤と
ただ話を聞いてくれる人と
主の祈りと
虹の記憶と
腹をかかえて笑うカエルと
あの人のやさしさと
壮大なうねりの如き黒潮と
 ....
   少女達は


    マグマのように


     やっぱりキレるのかしらね


      ヒラヒラと白陶器のような指を燃やしながら


       美しいアチチュー ....
 




   膝をたたみ 目を伏せて
   思い出すのは
   折りたたまれた空に見つけた夏のかけら
   黒髪が 風を誘った雨上がり

   わたし ここで猫が飼いたいの
 ....
幸せな手ほどき 幸せなあなたの
春の手ほどき


日当たりの良い場所で発芽した幼子たちが
小さな口を尖らせて
黄色い山火事を起こします
霧散した空気があらゆる涙袋を膨らます
それは ....
ふりつもる夜の殻が
ふみしめるたび
かわいた音を立てて
砕ける
名前を思い出せない花の香りが
密度を増した湿度となって呼吸を
奪う
夜の果てにたどりつく
手っ取り早い方法は
眠りなの ....
第一章 権利

 君をみたす酸素分子はさだめられた方角を見失うとき、霧となる。池のおもてで朝日が砕かれてゆくのを、君は燃える指でなぞる。どこまでが記憶なのだろうかと、問うこともしない。背後にあいた ....
 あなたは、荒れ狂った、広大な砂地に足を埋めて、飛ばされないように、大時化で、ドロドロとした朝の、ドロドロとした波に打たれて、気絶する、泥土の景色のようだと、あなたは言うから、ねえ、あなたは帰 ....  誰かの記した言葉を読むとき、自分自身がそっとその言葉の傍らに寄り添っているような気がすることがあります。詩集に頬を寄せるわけではないけれど、言葉のひとつひとつに愛しささえ感じるような想いで、その .... 夕暮れに
ひめりんごの花弁が
雪のように散ってゆき
落ちた先は
あの子の眠る
寒い土の上でした


最期の言葉も
交わさぬまま
突然
冬空へと消えた
一つきりの ....
消えていく記憶の
映像はやがて
色あせた
一枚の写真になって
避けられない風に
彩りをながしてしまうの


くるくると
回る
地球儀の おと


重ねた手のひらの微熱 ....
夕闇に
かみひこうき
投げて

どこまで
飛んでいって
くれるのか

思い

馳せる

季節は春めいても
頬を撫でる風は
まだ
冷たい



ふと
隣に居な ....
てのひらに降らせたカラフルなキャンディの雨
気前よく景気よく弾けるクラッカーの紙テープ
そんなふうに

グリンピース
ぐらぐら沸き立つナベの中に
  グリンピース
放り込むのは何故この両 ....
■宮澤賢治

 さて、先日図書館で宮沢賢治を借りてきたのです。ネットで詩をはじめた自分にとってあんまし本てのは食指が動かんかったわけです!!!!(ダメすぎ)面白いくらい詩を読んでないわけなのですが ....
90%知りたい
だけどそれはやめておく

死ぬのはいくつの歳か
それを聞きたいけど
聞かないことにする

と、57歳のおじさんが言った



ぼくの座る
駅前の公園のベンチの前 ....
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