勢い余って
君の胸にぶつかったとき
あんまり頼りない細い身体に
なんだか
自分が寂しくなったよ
この人は
ひとを護れる人じゃなくて
護られたい人
なんで
怒ってばかりいるのよ ....
あなたが好きです
そんな古臭い言葉に
今の犯罪くさい匂いを感じなかったのは
わたしが昔の人間だからでしょう
自分の詩を読み返して
泣いたこと
ありますか?
あなたの声の聞こえない場所へ
駐車場を照らすオレンジ色のライトが
とても
綺麗なものに見えて
夢をみてしまうんだ
そんなこと
迂闊に人に言えない
だからひそかに
ひとり歩き ....
わたしはただやわらかい
ふとんで眠りたいだけ
なの
に
文句言わないで
わたしを見ないで
あなたには
見えないものになりたい
わたしは
わたしのように生きては
あなたの不都 ....
ななかまどの実は優しい
目覚めるにはまだ早いの、と
種を包んで眠らせる
外は雪、小鳥たちには信号
わたしはここよ
赤く光って合図する
ついばまれる実
やがて種は
生まれた場所を ....
かっ、
かたん。
がさごそ、
がさごそそぞ。
ご。
ご。
ごっ、
物音がする。
隣人は今夜もお出かけらしい。
今月はこれで二度目だ。
こんな真夜 ....
この黒い塊に火をともせば
星空にくゆる灰色の煙で
ふたり。息苦しくて
思わず咳き込んでしまいそう
エンジンを切った
深夜の車内は。ことさらに寒くて
あなたの手のひらだけが
あたしの温 ....
頬杖ついて
「どっか、つれてってよ。」
って言う
「旦那につれてってもらえば。」
ってかえされたから
笑って
わらって
笑ってしまった
....
ひだまりに
たたずむ石
ひとりきり
あたたまり
地にのびる
まあるい影
気づいているだろう
あのときの
以来
僕らは
何もかも奪われる運命にあるのさ
気づいているだろう
身体もこころも
気持ちも何かを
剥ぎ取られるような
痛みを感じているって
....
なににも負けない柚子の香りにひかれて
家につれて帰った
冬なのに
ここには
まだ雪が降らない
一度も白を見ることもなく
この季節が過ぎてゆく気がする
寝ぼけた春を思い浮かべて
重たい気 ....
男は病気にかかっていた。
しかし、とっても幸せだ。
なによりも心が満たされている。
だって、家に帰ると大好きな人が待っていた。
だから仕事も辛いと思わないし、体も苦しいと思わ ....
秋風に揺られ
無数に実りゆく
夜の小さい太陽達
今にも落ちそうな実に
枝はしなる
自分らしく熟れるのを待つ
世界中の人々のように
ぶら下がる無数の実が
枝から離れる ....
ここでない場所で
君が薬を飲む
2週間分の安定剤を
今
全部飲んだとこって
君のメールが
ゆらゆら
世界は
一度しかないことが
悲しいねって君が
言う
ためらいながら伸ば ....
あのひとは
とうとう
「すき」
とは言わなかった
すき
が大切なことと考えるひとだったのか
それとも
舗装された道路は
どこまでもつづく
中央線
見つめて
音楽は
....
ぼくが
せいいっぱい
こつこつと
いきてゆくこと
は
きっと
きのうまで
こつこつと
いきたひとの
ねがいをかなえること
きっと
あしたに
うまれて
こつこつと
い ....
あなたといると
イオン
目に見えない何かが
私を包む
それがたとえば
川沿いの散歩道
ブティック
ピアス
かたりと置いた テーブル
私の輪郭が
角張った直線が
どこか
....
舗装された過ぎた道路は西に伸びる
隠された向日葵の種は
次はいつ芽吹けばよいのかと
首をかしげ
夏は立ち尽くしている
都会育ちの猫は
酷い体臭を払い除けながら
夜を寝床として
彼の恋人 ....
青空に
まっすぐ追いかけて
あなたを
揺れながら消えていく
ひこうき雲に
私は
なりたい
宿命でも運命でもなく
それはタンポポ
土手に降りそそぐ
季節の日差しに
僕は目覚める
旅立ちにはもってこいの日だ
風は南南東
ロウソク工場の煙から推測するに
風速は2メートル
....
ねえ
あなたがこころ
開いたのは だれ?
からだのように
一番支えてほしい人が
勇気づけてほしい人が
悪気もなく「空気でできたとんがり石」を
僕の胸に投げつけた
「グサッ!」と刺さる鈍い音で
傷ついたのに君を妙に気遣って
ひきつった 笑顔の ....
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