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ふと、迷うということをしてみて
揃わない手のひらで地図をなぞる
帰る時間になりました、と言われるけれど
本当はどこへ帰りたいのだろう
誰か
夕暮れに誰か
流れていく群れを、逆に擦り抜け ....
目が覚めると
広い窓の部屋にいる
鍵穴にくるり、と
鍵を差し込むのはもう何度目だろう
潮の香りがする
海が近い、ようで
不透明な窓から
青いはずの海を想像してみる
仕方が無い、のか ....
夏暮れ
そのようにして僕らは消えていく夏の肌をなぞるようにして
曲がることを許されない光の束に手をかざします
手のひらのどこか、真ん中から赤く発光していくので
吸い込んだものを返還するように
....
それは、いつだろう
遠くないかもしれない、毎日、かもしれない
水平線、その丸みが空に一番近いところ
大型船が突き抜けていくのを
海辺で、並んで、手を振って
ただ眺めている人たちの ....
ひらいた
真っ青な夏の花、の小さな朝のこと
誰も忘れていたそれは、僕の机にあったらしくて
迷わずに僕に返還される
空に混ざれば見えなくなりそうな
僕の目は青に染まる
誰もいない部屋のこ ....