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アスファルトの照り返しは穏やかではない
24号線沿いのひび割れた歩道を蹴って
いつまでも変わらない信号を見上げる
太陽がもうひとつ増えた気がした
雨と晴れの境目を見つけた少年時代の君を
....
くしゃみをひとつする、と
私たちは地球儀から滑落して空に溺れる
あの日グラウンドから送った影は
手をつないだまま鉄塔に引っかかっていて
捨てられたビニールのレインコートのようだった
バス ....
風になり、花になり
ずっとそばで―――
今日は街に雪が積もって
めったにないことだとニュースでも騒いでいました
わたしはそのことが少しばかり怖くて
あなたの手を握ったのです
やわらかく ....
白空のヒビは街路樹の冷たい手 聞け言の葉の声をココロで
外套の襟をかすめる単音のグロリア今宵は木枯らしのイヴ
「ブリザード」
梢吠え闇の怒りと共鳴し生を償う旅路震わす
零℃切るなみだ氷雨が張り詰めた世界の銀を裂くデリュージョン
ブリザード膝つき見上げる万華鏡身を刺す寒もい ....
霏々と降る、雨。黝いparanoia不協波紋よ咲かせ憂鬱
信号の点滅さえも響いてる月の爪痕冴え渡る夜
加速度をゆがんだ都会(まち)で確かめて スカイラインへ突き抜け ....
こめかみの銃口我に味方せり引くも引かぬもその強さゆえ
撃鉄を起こす刹那の走馬灯 涙とともに溢るる思い
悲鳴とも歓喜の叫びとも聞こえたが俺は応える「闘え、この ....
〜秋〜 水色揺々
「手折れぬは花言葉」
水色の細い曲線滑らかに夕を奏でる9月のフルート
コスモスの薄紅風とたわむれて赤トンボかわし鬼さんこちら
....
街煙るしのづく雨に{ルビ慄=おのの}いて誰を待つのか片方の靴
雷鳴と{ルビ海鳴=うみなり}の距離比べては真夏に返る銀幕のウラ
秒針0で息止める荒ぶ風緩まった気がした交差点
銀の糸指に ....
銀色のマストに映るまるい月甲板上に舞う{ルビ四重奏=カルテット}
月と地の逢瀬は今宵ひとたびのカレイドスコープ闇は緋色に
紅い海ガレオン船が進んでく鞭打つ波に叫ぶ号砲
....
星島 〜タカラジマ〜
銀の帆の船は拒まぬ「可能性」ムゲンのココロ映せるものは
指で作る望遠鏡に反転のスカイオーシャンさよなら地球
広すぎる世界 ....
「エナジー×ブルー」
群青がはじきかえした陽の弱み それでも翼奪える熱射
まどろみの窓に映った海岸線 打ち寄せる青い波の憂鬱
波あらく感傷拒絶せし海よ 昨日 ....
「目にはさやかに見えねども」
二の腕に日向の匂い残りおり 気付けば日暮れ夕風の立つ
秋来ぬと告げんばかりの午後六時 風鈴の音も耳に違へて
水を踏む頭上に蓮の花が咲く ....
「蒼い旋律」
記憶の中から抜けて舞う譜面一枚奏でてみれは゛半音の思い出
セロを抱え閉じた目の中咲く花の絡む紫苑は夕闇の弦
放課後の音楽室でくちづけを交わ ....
奪われた約束までの昇階段 枷を片{ルビ瞳=め}に数え続ける
君の名を叫ぶ周波にふらついて砕けた硝子は星の模細工
慰めで引き剥がされた青のフェイク{ルビ鎖状=さじょう ....
「ツイン・ブルー」
エヴァー・ブルー恋に名前を付けるなら見つめあい回す地球儀の色
夏休み残りの日々を数えつつ青ばかり塗る絵日記の色
「おやす ....
「海恋し潮の遠鳴り・・・」
瑠璃の雨洗いざらしのシャツを染め忘れえぬ日の海へ誘(いざな)う
夏座敷懐かし祖母の生家にて薄き格子のかげとまどろむ
逆光に揺れる向 ....
「観月橋」
せせらぎの音は
いつのまにか、ざあざあと鳴り
錆び付いた欄干が
しとどに濡れる紫陽花の、夜
ここには愛づる月もなく
ただ名ばかりの橋が
通わぬこころの代わりに、と ....