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雨上がりの
仄白い、広い、ひとつの湿度が
冬の夜の終わりに、ふ、と
灯る


夜明けだ
空はひとつの肺となり
冷たく湿った冬の朝を呼吸する
細やかな鳥の霧を含んで
 ....
プラットホーム
薄青く透けた空白へ
真っ直ぐに冴え立つ
色の無い脊椎の林の
プラットホーム


始まる
冬の朝の微細な輪郭線は
薄荷のことなど忘れた振りをしよ ....
どく、どく、と
森と、甲虫を熱くした樹液の脈拍の
どく、
夏の最後の一拍、
の響き終わったあとの静けさが
そっと割れて、孵る、
リ…、ひとつ、
生まれたての、震える鈴が
震 ....
小さく折れ曲がり
玉蜀黍畑にうずくまる
光と共に、空から
夥しく剥がれ落ちる玉蜀黍の葉の
激しい葉脈を見上げる


光、
青、深緑、
夏、
という、灼熱
 ....
あなたを睨む

眼が痛む


守り隠すように
あなたは柔らかな腹部を下にして
その為に息苦しい眠りの上表には
あなたの背が波打っている
私は扇風機を止める
 ....
あなたが夕刻を告げると
わたしのお遊戯が
奇妙な形で切り落とされて
真っ暗になって
ぽた、ぽた、落下する
わたし
という無数の子供たち
の見上げる、灯り
に群が ....
淡く
夢にいた人は水彩でした


*


(あ、)


こめかみとシーツの間に
かすかに染み入り、そこから
まぶたに明けてゆく一筋の朝の滲みに、すっと
打 ....
混じり気のない東から
広い、まばゆい氷が溢れる
吸うわたしは、吐く
愛おしい、正しい、愛おしい、
ひゅう、ひゅう、
吸う、吐く、わたしは
空気にキスをしている
ああ、だからこの肺 ....
くちびるの
置き場所を間違えた、夜明け
あなたへと無音で震える春が
無音で体温する春が
祈りを湿らせるので
耐え切れずに申し上げた春が
ぬくく、痛く、ここに
滲み始めるの ....
ガードレールの
かすかなすり傷から
少しずつ、ずるり
赤錆と化してゆく
そこを避けて触れた人さし指の
さらさらの、その
真っ白に乗じて、何も
何もかもわからな ....
音も無く
特別な体温は過ぎ
今は、ここは
「ふゆ、」
という
息と


(さよなら、)
という
息と





ただの息
と化す。
 ....
通過電車が
高音の向こうに消え去り
どこまでも
正しいラインを描く傷跡のような
線路上の余韻を見やる


風と白線の内側に
残されたわたしは、ひとつの
丸められた ....
風の金属、高音域の。
線状の宙、引っ掻き傷の。
あなたの心が難しい
というシーンを走れば
眼を閉じてもなお白いスピード、


止まらない、
破けたように白いガードレール ....

瞳の目覚め
限る
あ、あ、
朝は、まず長方形
確定されてゆく窓枠の朝
薄青の東、もっと東の
薄青が
チチチチチッ
微細な鳥を組成してゆく


ああ
次 ....
手と、手が
触れて
砂埃でかすれ切ったあらゆる地面が
夕刻へ
厳しげに交錯するあらゆる細枝が
夕刻へ
落書きごと枯れているベンチのあらゆる褐色が
夕刻へ
夕刻へ、と
 ....
夜の雨の
斜線、斜線、斜線、





秋の真昼の真下
やわらかい一続きのわたしの輪郭は
ある一続きの輪郭の生きていることを
やわらかく深く知ってしまった、そして ....
つ…
つ…


湿潤を終えた葉の首の付け根を冷気が断ち切れば
涸れた維管束の行く先が、風とされる
そしてその葉の薄い鋭い赤い輪郭が今度は
冷気を切ってゆく
ああ、切 ....
わたしたちの
夜の


「わたしたちは
 夜のアスファルトに
 アルコールの溜息から順に
 音も立てずに
 わたしたちを、落としている」



体中で受け取って故意に ....
ごらん
はらはらゆく、
あれは、
空気から砂地へ
落下してゆく、あれは、


公園の
あらゆる輪郭をなぞる夕刻の光の
限られた範囲をなぞられればいい
限られた範 ....
アスファルトにいて、
わからない、
夏、激しい群青で遊び過ぎ、その果てに、
すっ、と発狂するようにしてひどく青く、
遠ざかる空、その秋の為なのか、
或いは ....
プラットホームを行き過ぎる風
の形をした夜、の度に剥離する熱
を見送ってわたしたちは
さらさら、
最後の車両の跡地で長引いて
蛍光灯の微かな痙攣音とも分離しながらわた ....
ちらつかず
そ、と留まっている、あれは
振り払えぬ外灯を振り払わず
硝子に帯びたままの、あれは
蛾だよ
その在り処では
既にひとつの夏が締めくくられている
夏ではない今となっ ....
秋の風の宙へ
何処か遠い指のピアノが示す
美しい階段を、わたしの指は
駆け上がることが出来ず
小さく折った、愛しくて、


そうね、耳があればピアノは聞ける、けれど、
つたない ....

午後が
千枚のツツクホウシで耳に触れる
この、耳、
もっと奥へと誘う迷路を装って実は
透明のものにたやすく沿う為の形状の
この耳が、悦びに震える、嗚呼、午後よ、
午後 ....
すう…、と
夏が引いてゆくにつれ
風に乾いた砂が
自ら風になる
砂に埋められていた
右の素足と左の素足が
柔らかに打ち明けられるのは一瞬
直ちに、衣服へ、衣服へと仕舞われ
 ....
日々の果ての
朝、(辛うじて未だ夏の、)
誰よりも先に、空が
窓で泣き出している


日々、とは
ひとつづきの熱風だった
その果ての、床と素足に
夏だったものが生温か ....
夏の
体の
着衣のまわりくどさを
一枚、一枚、可愛がるように
指でしか剥ぎ取れぬ熱を
一枚ずつ剥ぎ取ってきました


あ、
そういえば、
非常階 ....
夜のアスファルトと
それに密着してゆく夏と雨とへ
車の落とす赤が付着しては
ひゅっ、と
離れてゆく一秒一秒、その風に
肌寒くなれる体の、少女である体の、わたしが
 ....
合いたくて
合いたくて
閉じ篭る傷のような胸、を震わす、脈拍という水音は
水面に似た、例えば窓に合いたくて
合いたくて
開きたての傷のような喉、を震わす、息という泡は
水面に似 ....
数千粒の眼球が弾け
灼熱前の
朝、の
宙を浮上し
愛おしい、を探り始める、
夏の
何処かの


数千粒の
愛おしい、を探ることの
パチパチする明るいソーダ水のような痛み
 ....
かおるさんのA道化さんおすすめリスト(92)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
呼吸器系の季節- A道化自由詩908-1-17
薄荷時間- A道化自由詩2108-1-10
水深浴- A道化自由詩707-10-18
微粒子- A道化自由詩1407-7-19
初夏の人- A道化自由詩18+07-7-9
ぽた、ぽた、する- A道化自由詩1407-6-26
水彩の夢- A道化自由詩2907-4-24
心呼吸- A道化自由詩1307-2-14
種子の祈り- A道化自由詩1707-2-5
赤錆わずらい- A道化自由詩1507-1-7
息の降る、- A道化自由詩1606-12-27
ラブレター- A道化自由詩1406-12-14
白いスピード- A道化自由詩806-12-8
プライベート・ブルー- A道化自由詩1006-12-3
恍惚願い- A道化自由詩1206-11-22
斜線時間- A道化自由詩1206-11-18
絶え間ない体- A道化自由詩1006-11-7
ゆらゆらするなら- A道化自由詩706-10-23
逃亡曲線- A道化自由詩1106-10-13
遠い(頬、遠い)空、- A道化自由詩1206-9-26
- A道化自由詩1106-9-20
輪郭期- A道化自由詩1206-9-14
ピアノ未満- A道化自由詩806-9-8
震える耳- A道化自由詩1006-9-3
夏だった- A道化自由詩1006-8-23
柑橘系の太陽- A道化自由詩1306-8-17
脱衣録- A道化自由詩2506-7-27
体の暦- A道化自由詩1406-7-18
薄荷飛行- A道化自由詩406-6-30
眼球たちの夏- A道化自由詩606-6-14

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