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ところで
夕暮れはもう間近に迫り
みんな精一杯に迷っているので
その足元を照らす明かりも
その足で踏みしめているものも
記憶は近さも見せないくらいに
空で燻るものだから
こうやって今日も ....
十二番目で
いつも言葉を間違えてしまう君は
その次の交差点では
左折ばかりを繰り返している
東京
狭い夕暮れで
夢から覚めたばかりの抜け落ちた体を
ついでのような角度でドアの隙間に潜り込 ....
ここにあるものを
遠いことのように
海辺にはひとりで
いつも見る夢に
ひれ伏すようにして
倒れる
砂の積もっていく音
どこかから落とされる音
仰向けに空
口を開ければ世界が
飛 ....
忘れない
高い小さな窓から覗き込んだ時間を
校舎の隅、零れていた笑い声の隙間に混ざった寂しさを
夏だった
世界がゆっくりと溶けていくまでの時間を
知らない、知ることもない
あと少し ....
遠くはならない
それ以上はどこへも
窓辺に並んだ椅子は
白く塗り変えられていた
捕まえ損ねた手は誰のものか
白く塗られる前も
その前も
そこに在るだけで
忘れていくことばかりで
遠く ....
玄関のドアを引く
駆け込むようにして進入してくる朝は
少しだけ暗い白
今日も天辺まで積み上がった世界で
濡れたままの人たちが歩いていく
傘を忘れたわけでもなく
濡れることに気付かないわ ....
溶けるまで
眠れそうな遠くの日々が
溶けていくまで
深々と、動かない部屋で
指を折る
指を折る
ありきたりな言葉では
追いつけなくなりそうで
街灯がつくまでの時間を
静かに歩 ....
いつからか
いつだって
夕暮れにはどうしたって寒さを感じてしまうので
羽織るものを探して
溶けるようにして逃げ込む家並み
指先の冷たさで、触れると
いつだって君は飛び上がって
降りて ....
さようなら、晴れる人
暮れ際の暖かさ、名残、手のひらの名前を
呼んでいる、聞いている、思い出している
花びらの震える下で潜り抜けた門を
指先で触れるくらいの気配で通り過ぎる
一度過ぎた言 ....
今にも
空へ溢れていきそうな桜の花弁や
空へ昇っていくような雪柳の白さに
そろそろと背伸びをしながら
私も溢れていきそうな
春 です
南向きの坂道を
とんとんとん と降りていけば ....
ここは
風が強い
遮るものは何も無いから
私もざわざわと揺らいでしまうのです
花に昔の恋を重ねるのは
いつまでたっても抜けそうになく
風に揺らぐ花びらに
褪せた写真の中の誰かさん ....
細かい雨が明るい空から降っていた
私はそれを両手ですくい取ってみた
今この掌の上の雨粒も
毎日私から湧き出す想いも
どこか遠いところに染み込んで
いつかはまた私の前に辿り着くのだろう ....
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