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人は誰もが
{ルビ完=まった}きできそこないであり
どこへ行っても人の輪へ入れば

金曜の夜の飲み屋では
ぶーすか ぶーすか {ルビ愚痴=ぐち}っており

海の向こうでは今もなお
 ....
{ルビ時間=とき}の無い惑星の
始発駅で発車のベルは鳴り
無人の汽車は走り始める
満天の星空の下
砂丘の果てへと続く線路の上を
男は車窓から夜空に小さく瞬く地球を見ている

「無限の宇宙 ....
弱気の虫がうじうじと
しめった胸の内に這っていたので
気分を変えようと散歩に出かけた

公園には木の幹の周りを
丸い木目のいすで囲んだ優しい木陰があったので
荷物を降ろして腰かけた

 ....
3歳の{ルビ姪=めい}が
遠視矯正めがねを初めてかけて
鏡に映る見慣れない顔とにらめっこ

「似合うよ」

後ろから見守るママが言うと
にっ と{ルビ微笑=ほほえ}む君の目は
人よりも ....
老人ホームの送迎車から
半身{ルビ麻痺=まひ}で細身の体を
僕に支えられて降りたお婆ちゃんは
動く片手で手押し車のとってを握る

傍らに立つ僕は
宙ぶらりんの麻痺した腕と脇の間に ....
霧雨の降るぼやけた朝の向こうから
「夢の国行き」と{ルビ記=しる}されたバスが近づいて来る

後部座席の曇りガラスを手で拭くと
数ヶ月前に世を去った
認知症のゑみこさんが住んでいた{ルビ空家 ....
私は今まで通り過ぎて来た
広大な荒地の上に黒い血を吐いた
無数の遺体の傍らを

倒れかけた木造の家の
ベランダに干されたシャツが
突風に身をよじらせ
空に飛んでいく様を見ては
鈍い心 ....
あてもなくふらつく夜の地下道
家の無い汚れた列が うようよと 笑ってる
バケツに入った配給の{ルビ雑炊=ぞうすい}を待ちわびて

地上への階段を登る
雨に濡れた新宿ミロードの傾斜を
危う ....
親愛なる詩友へ

友よ、あなたが今心から愛する{ルビ女=ひと}と出逢い、
日々幸せに包まれていることを、
僕は嬉しく思っています。

僕なりに感じることですが、
「芸術家」「詩人 ....
よく晴れた昼過ぎ
満開の桜の木陰にすいよせられて
黒い幹に{ルビ凭=もた}れ腰を下ろしていた

桜の花々は音もなく風にざわつき
ふと 辺りを見わたすと
桜の{ルビ蕾等=つぼみら} ....
鈍く光る銀色のドアノブをひねり
といれに入ると
窓辺にはうす桃色の{ルビ薔薇=ばら}が咲いていた

水色のすりっぱには
背中合わせのふたり
男の子は贈る花を背に隠し
女の子は四葉のクロー ....
窓辺のてーぶる
並んだふたつの影を朝日に落とす
じゃがいも・いちご
似ても似つかぬ後姿の影を背に
似た たましいの まなざしそろえ
窓の外に光のたまる
明るいほうへ   *

 

 ....
職場の同僚と{ルビ口喧嘩=くちげんか}して
{ルビ凹=へこ}んでいたハートに{ルビ靄=もや}がかかっていた夜
やり場のない気持を抱えたまま、散歩に出かけた

家を出て、ひとつ目の角を曲がると ....
立ち並ぶビル群の幽霊
ビル風が吹き抜けると
敷かれゆく風の線路の上
滑らかに空中列車は行き交う

乗客は皆視線を落とし
日常に見つからぬ出口を
携帯電話の画面に封じ込める

 「 ....
もう何年も前のこと
ある夜のブラウン管の中
孤高のステージで
赤毛を振り乱して歌う{注ジャニス=アメリカの歌手}

夭折した彼女の生涯を
ナレーターが語り終えると
闇の画面に
白い文字 ....
*(この文章は、ジュテーム北村さんから、「同時多発朗読」の連絡を受けた後、
  行った朗読と、過ごした時間についての個人レポートです。
  なお、ジュテームさんからの連絡は「21時に」とのことでし ....
土曜日の夜
賑わうレストランの
窓越しに一本のポプラが
誰にも気づかれず 
静かなものごしで
あるべき場所に立っている

時折吹く夜風に
大きい緑の葉を揺らしながら
今迄にどれほどの ....
こしごえさんの服部 剛さんおすすめリスト(167)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
深淵に響く足音- 服部 剛自由詩8*05-7-16
夢の汽車に乗る人- 服部 剛自由詩3*05-7-12
木陰のひととき- 服部 剛自由詩3*05-7-3
旅先の夜の灯火- 服部 剛自由詩6*05-6-29
手像の指- 服部 剛自由詩9*05-6-26
消えた背中- 服部 剛自由詩8*05-6-23
時の無い都市- 服部 剛自由詩7*05-6-20
心ノ種- 服部 剛自由詩6*05-6-13
詩人の幸せ・不幸せ_〜詩友への手紙〜- 服部 剛散文(批評 ...9*05-5-26
桜の蕾を手のひらにのせて- 服部 剛自由詩10*05-4-30
といれのかみさま- 服部 剛自由詩6*05-2-24
早朝の青空に消ゆ_みすずノ星の_澄んだ瞳に見守られ・・・- 服部 剛自由詩12*05-2-1
「腰越_Z_」の野球帽- 服部 剛自由詩6*05-1-3
空中列車- 服部 剛自由詩25*04-10-3
白い文字- 服部 剛自由詩12*04-7-4
同時多発朗読・個人レポート- 服部 剛散文(批評 ...7*04-4-14
ポプラの木- 服部 剛自由詩2*03-10-26

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