すべてのおすすめ
  
  わたしの中に森が生まれたとき
  その枝は音もなく広げられた
  指先から胸へと続く水脈に
  細く流れてゆく愛と
  時おり流れを乱す悲しみ



  わたしを立ち止まら ....
  夏の最後の日差しが眩しくて
  何も言えずに目を閉じた
  晴れた空に向かって
  君は背伸びをして手を伸ばす
  それでも僕は何も言えない



  ひと夏が終わるたび
 ....
{引用=八月の月で海鳴り
それでも僕らは響く波音を知っていた}


  僕は今、紺碧の{ルビ海=マーレ}を閉じ込めた窓辺から
  君に宛ててこの手紙を書いている


  {ルビ ....
  雨が降る日曜日の午後
  雨宿りをした金木犀の木の下で
  電線に連なって揺れる雫を見ていた
  耐えるように震えながら
  世界を逆さまに映した雫が静かに落ちる
  君はその小 ....
    
   だけど君は駆けていったんだ



 思い出の丘を、雲の影が滑る
 丘の緑はかわることなく風に揺れ、
 遥か彼方に、夏の海を臨んでいる
 ごらん、あの細い坂道に
 僕ら ....
  
  *鉱石ラジオ


  暇をもてあました少年が、ふと思いついて鉱石ラジオを作った。
  黒猫はそのかたわらで目を細めてその様子を見守っていたが、
  いくらたっても何も聴こえてこな ....
  *三日月


  三日月の晩に、少年がふっと部屋から出て行くことを黒猫は知っている。
  塔の螺旋階段に響く足音が、とん、とん、とん、と続いて、
  てっぺんの窓を開ける音が聞こえて ....
 
  *蝶


  黒猫の気だるい微笑みは、いともたやすく蝶を虜にする。
  その静かに差し出された手の上に、青い翅の蝶がとまる様子を、
  少年は頬杖をついたまま眺めていた。
 「可 ....
 *夜半過ぎに


  夜半過ぎになって、その悲しい報せはもたらされた。
  そっと肩を寄せてきた黒猫が、
 「それは悲しいことだわ」
  と、うわごとのように何度か繰り返した。
  少 ....
  冬の木漏れ日の中で懐かしい歌を聴きました
  懐かしくてももう泣けない自分がいました
  それが寂しくてそっと瞳を閉じました
  太陽が淡く輝いた冬の日のことです


  太陽 ....
嶋中すずさんの嘉野千尋さんおすすめリスト(10)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
森の風景- 嘉野千尋自由詩36*05-8-12
君と九月と、あの空と- 嘉野千尋自由詩14*05-8-5
八月の海鳴り- 嘉野千尋自由詩16*05-7-2
六月の二人- 嘉野千尋自由詩13*05-5-27
夏、少年- 嘉野千尋自由詩10*05-4-24
黒猫と少年(4)- 嘉野千尋散文(批評 ...7*05-4-19
黒猫と少年(3)- 嘉野千尋散文(批評 ...5*05-4-19
黒猫と少年(2)- 嘉野千尋散文(批評 ...8*05-4-18
黒猫と少年(1)- 嘉野千尋散文(批評 ...10*05-4-17
十三月記- 嘉野千尋自由詩45*05-1-7

Home
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する