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蔓長い水草の絡まりついた 手を叩き
水をたらふく吸って膨れ上がった 足を踏み鳴らす
「丘の裾野に咲き誇る
キンポウゲの群生から
花房一本嘴にくわえ
夜露の空を飛び渡り
あなたの ....
おみなごは 瞼を伏せて
差し出した 手の先の
細く長く しかし
硬く乾いた 指の淵 私を 呼び止めないで
縦に小さく 裂けて たとえ 私の
深い紅 滲む ....
降り積もったばかりの雪に覆われた萱野高原には
裸の岳樺木立 透き通る雑木林
冬季閉鎖された板張りの茶屋の建物
道路沿いを着かず離れず蛇行する山犬の足跡
足跡に平行しながら 私の歩みは心の向く方 ....