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春の花ほつれゆくまま雨模様
現し世のなべて二重の涙かな
雨の舌双つの蝶を行き来する
手のなかに生まれ滅びる己かな
留めおく術も失くし ....
価値のないわたしが生きて命を喰らふ
山の端にさそり座一つずつ昇る
釣り針の尻尾が銀河を吊り上げる
文字盤を重ねて二つの柄杓時計
麦と真珠 腕をそらせて指ししめす
冠をひとに贈りたがったひと
冠をひとに贈りたかったひと
....
年明けの雑煮は夏の尻子玉
君がため汲みし若水 皿に注ぐ
寒施行 狐と分け喰む小豆飯
そっと割る頭氷の鏡開き
水底は青女の朝より温かく
名護岳のキジムナーから花便り