すべてのおすすめ
ああ サンタマリア 僕は
あなたが神様であることしか知らないけれど
あなたは私を知っているでしょうか
ああ サンタマリア 僕は
あなたを信じるほどの希望も忘れたけれど
あなたは私 ....
少し鼻をあげながら
彼女はハミングする
大きく手を振って
人の目なんか気にしない
悲しいことがあっても
彼女の歩く通りには花屋さんがあって
小さな花がところせましと咲いてい ....
書かれた言葉と
書かれなかった言葉を挟んで
あの日記は閉じました
喜びが込み上げてくる日には
書かれた言葉が読めるのですが
悲しみが込み上げてくる日には
書かれなかった言葉が読 ....
真夜中、ロボットは
痛めたうでをかばいながら
他のおもちゃの手当てをする
文句を言いたそうな
他のおもちゃをなだめるように
タイヤのとれたスーパーカー
支えの折れた宝箱
首だけになったお人形
....
まるであなたの
唇のような色でした
10月
神様のいない月に
願い事は増える一方で困ります
去年きれいに咲いた
シクラメン
冬に灯りをともすようにして
春先まで ....
兄、あるいは姉と呼ぶべき
生まれなかった命にむけて
もしかしたらこの時代は
貴方たちの手で変えられたかもしれないと
そんな期待を寄せるわたしは
我が侭だとわかっています
....
季節はずれの花粉のせいなのだと
説明する僕のことを
受話器のむこうで
君がくすくすと笑っている
きのう雨の中でけんかして
雨なのか涙なのかわからなく濡れたふたりが
いまはこうして傘 ....
聞こえるはずもない
花のつぼみがひらく音
それが優しい歌に聞こえて
蝶がちゅるりと
その花の蜜を吸うとき
それが優しい歌に聞こえるから
ぷーんと飛んできた蜂が
そ ....
その小さな身体には大きすぎる
僕の白いYシャツを着た君を見て
窓に浮かぶ思い出
ある日ならんで歩いた海岸で
せまってくる白線をとびこえては
水しぶきをあげてはしゃいでいた
....
台風が近づいてくるという
天気予報通りに降りだした雨に
慌てて部屋の窓を閉めました
(淋しさというものは
そんなささいなところに隠れていて)
窓の外から聞こえてくる雨音を
半歩遠 ....
僕はきっと虫なのだと思うありふれた夜。
その理由はいくつかあるのだけど、つまりそれは虫であるはずもない僕の外見からは想像もつかない。たとえば横断歩道をわたろうとするとき、わき腹のあたりがむずむず ....
つくんと
ときおり胸で感じる痛みを
悲しみのせいだとは
思いたくないから、僕らは
うたおうとする
好きな歌を
思い出せないフレーズで
立ち止まってはいけないと
覚えてるとこ ....
あの日
僕はふらっと出かけたそうだ
何処にも行けない身体で
何処に行けるはずもないのに
何処かへ出かけてしまったそうだ
(言葉を忘れるということは
そんな遠い旅に出ることに似てい ....
あなたの白いスカートが
ひととき夏色に見えたのは
うすぐもりの雲の切れ間から
気まぐれに顔を出した
あの眩しい日差しのせいではなく
あれはそう
道をさえぎるようにもたれかかる紫陽花に
語 ....
悲しい夢を見たあとに
声を上げて泣いてしまったのは
その夢が悲しかったからではなく
その夢が現実にほど近い
記憶だったからかもしれません
昔のことですから
もう数えきれないくらい繰り返 ....
(ぽとり)
点滴1本3時間
(ぽとり)
ペンとノートがあったら詩の一つでも書けそう
だけど悲しい詩になりそうだから書かない
(ぽとり)
透明なビニール容器から
半透明 ....
毎日たくさんのものが
あなたから生まれることを知っている
それは言葉であったり、声であったり、感情であったりする、けれど
それらはあなたの分身でしかないことも知っている
そのことをあ ....
なんだか嬉しくて
嬉しい詩を思い浮かべました
なんだか悲しくて
悲しい詩を思い浮かべました
書いていると
まったく違う感情なのに
まったく同じ色の涙が流れてきて
それは嬉しさ ....
いろんな気持ちを煮込んでいたら
すっかり煮詰まってしまった
僕はふつふつと夜にとけてしまいそうになる
お腹もすかない
最後に口に入れたものは何だったか
そんなことを思い出す気力もない
....
草木が色を変える速さで
過ぎ去ろうとする四月
桜前線はまだ北上を続けているのだろうか
何かを引きずるようにして後ろ手をのばせば
はっきりと感じられる
温度がある
それは
得たもの ....
痩せた身体でうつむけば三日月
足元を眺めれば
いくつもの自分の欠片が光を失いかけている
日々削られてゆくいろいろが
音もたてずに
まるで始めから無かったことのように
やりかけたパズ ....
いつの間にか春だった
去年の夏に出した
扇風機は秋を過ぎ冬の間も
僕の部屋にあって
まるで使い道もない無駄な存在として
小さく佇んでいた
僕は
冬の寒さに凍えながら
扇風機を回 ....
降り立つ場所を求めるように
あなたは漂っている
薄い羽は
強く吹かれれば千切れそうなほどで
少しの風でも
自分の思うようには進めないふうで
でも
そんな目には見えないような空気から
....
どんなに悲しいことがあっても
僕は生きてゆけそうです
昨日まで降り続いた雨は止み
久しぶりの陽射しをうけた草花が
深呼吸をするみたいに
みな空を仰いでいました
光と水と二酸化炭素か ....
頼りない指先で
ちょうちょ結びをしてみせる
羽の大きさをそろえようとすると
紐の長さがあわなくなって
悔しそうに
また結び直している
手をつないで歩くとき
からめた指がほどけない ....
ここに花が咲いているとして
その花を咲かせたのは
あなたでした
思い浮かべることで
薄れてしまう色があることを知っている
あなたは現実に咲かせようと
いくつかのきれいな ....
小学校4年生のとき
はじめて「せっくす」という言葉を理解した
小学校5年生のとき
クラスの女の子に
「ねぇ せっくすしよっか」て言われて
股の間をさわられた
赤くなって黙った ....
もしかしてしかですか?
いえいえ、もしかしなくてもしかでした
もしかしてかもしかもですか?
はいはい、もしかしなくてもかもしかもでした
もしかしてしかもかもしかもですか?
そう ....
君はとろけるくらいの未熟さで
むきだしな僕を包んでくれる
その優しい色は
あざやかでなめらかな感触
デミグラスソースの中に沈みそうになっても
小さな浮島のように寄り添って
深い味を奏で ....
僕は転がる
傷を負い
痛みに耐え
自分を抜け出せば
それで終わりにできるけど
まだ転がることができる
昼下がり
陽射しを避けて歩く公園の道
眩しさを縫うように進むとき
....