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瓶はこちらを向かなくていいのだ
羽をたたみ 地に降り立ち
夜のむこうの夜を見ていればいいのだ
窓際に横たわる巨大な魚
陽の光よりも白い肌
そばを通るたびに目が合い
目が合うたびに消え現れる
 




ひとすじの光が
発ってゆこうとするとき
振り返り
振り返り虹を解いた


階段に映る
薄い手紙
窓の水滴
昼から午後へ
めくられる譜


何かが閉まり
 ....
夜の二階の窓の外
自分に似たかたちが拍手している
何を称えているのか
窓を開けてみると誰もいない
閉めるとまた
拍手しはじめた










 ....
らうあ らうあ
翳りの帆
道を泳ぐ道を読む


悲しさになると
消える悲しさ
空と水をつなぐ坂


そばだてた耳が唱になり
影を踏まない影の足もと
ほころびをひとつ ....
羽のうしろに光がいて
羽が光を振り向いたとき



ひとつの石の眠りのなかに
数千万年の微笑みがあり



光だけが咲く庭の
短い歴史に埋もれたのだと



 ....
短く折れた細い炎が
他の炎のはざまから
怪物を見る目でこちらを見ている



燃え尽きるものたちに囲まれて
何かを断ち切る仕草の列が
煙のなかをつづいてゆく


 ....
バス停にライオンが伏せていた
バスを待っている人々が
たてがみや尾や背をなでていた
いろとりどりのバスが来て
ライオンはそれに乗り行ってしまった
人々は
去ってゆくバス ....
けして明日へつながるとはいえない
痛点の少ない あなたの指を
かたちも色も知っているのに
ふたたび降りはじめるそのときまで
ふたたび忘れているのでした
忘れることなく ....
音の一粒
音の一群
森のむこうに見える森
壊れた城も 偽りの城も
ほんとうの城も遠すぎる



風を浴びて立ちつくし
地図の上の文字に眩む
なんのつながりもなく
 ....
言葉の無い場所から
降るむらさき
雪になっていく雨



きらめく細い
棘の氷
原を埋める
雲と同じ色たち



誰かに向けられた心と
他者のための方程式
絵 ....
目をつむれば残る窓の{ルビ光=ひ}よ
あらゆる音が聴こえる
鬼の器のように
声は告げる
「風が少し強くなったような気がします」

問う前に答える
「岩と岩の間を行きましょう
枝で隠された路を」

独り言のようにつぶやく
「昔は水のにおいがしたもので ....
光もなく影はあり
暗がりの上ゆうるりと
さらに暗いものが映りひろがり
そこだけが薄く押されたように
夜の道にたたずんでいる


得体のしれない心が歌い
海辺をひとり歩い ....
まぼろしの重さと
重さのまぼろし
戸惑いと迷いと
緑のはざま
きらきらときらきらと
取りもどせないものの列
手のひらに 手のひらに
降り来るものたち


むらさきが
 ....
枕のなかに棲む魚が
ゆうるりとからだを波打たせている
何の音もたてることなく
ただ端から端へと動いている



わたしは魚が静まるのを待ち
左向きに頭をのせる
魚はい ....
嵐の夜
白と黒の町
{ルビ礫=つぶて}のなかの
廃屋をめぐるまわり道


螺旋階段に立つ人々
雨のなかの天使を見下ろしている
瞳から瞳へ落ちてゆく滴
水彩の ....
海 空 無
ゆっくりと夜のなかを
大きな鳥が通りすぎる
雨が空をかけのぼる
光が空にこだまする
夜に隠れた者の影が
木々の間を埋めてゆく



半身だけの囚 ....
長い時をかけて
風が風になってゆく
しげみから飛び立つもの
水の上をゆく光
壊れかけた庭に引き寄せられる
残された数本の木々に引き寄せられる


闇がさくさくと
冷 ....
    一枚の地図が置かれた

    薄暗い部屋のなかで

    手のひらに生えた双葉を

    見つめていた
    午後と夜の間の光の

    素描の街を

    行き止まりに至る道を求めて

    さまよっていた
 




    子供たちが
    暗い建物のなかを
    走りまわっていた


    氷の根  淡い目の宝石


    つながらないふたつのものをつなげようと
 ....
    他人のように眠るとき
    仮面のように眠るとき
    水の蛇はひたひたと来る
    狭い空を翼で覆い
    小さな夜を乗せて来る
どこまでも誰もいない
ぬれた灰色の道に
どこまでも空が落ちてくる
凛とした声が触れにくる
雨を歩むものの頬に
触れにくる


夜がひらく
さらに奥の夜をひらく ....
かがやく小さな雲の群れが
夜の白をすぎてゆく
河口に 入江に
小さな舟がひしめきあい
薄いむらさきのなかで揺れている
雨を照らす手のひら
雨に照らされる手のひら


 ....
数えきれないほど多くの
手首のかたちをした炎が
夜の空をまわりつづける
見える夜 見えない夜を
讃えつづける


原を越える雨
石の絵文字に咲く花
森をまとった遺跡の ....
 


雨の花
花の雨
目を閉じ
光をついばむ
ついばむことしか知らないくちびる


口うつしに渡される十字架に
光のめまいのようにうつる雨


花のつぼみを持ち
手のひ ....
 


海に近い砂の丘から
無数の骨が突き出している
かつてここで倒れた巨大な生き物の上に
浪に運ばれたものが積み重なり
石でできた枯れ木のような
蒼白い骨の森を造った
海からの風に ....
   広く浅い湖で
   互いの影を揺らしあうふたり
   幼い遊びを繰りかえすふたり



   太陽が一度も出ないまま
   午後がすぎ
   夜の蒼が来て
   ....
私は宙にいた
ずっと空を聴いていた
私を支えていたのは
ただ蒼い闇ばかりだった


ゆれる森
立っている人
言葉をめくる声
降りてくる色


暗くやわらかな
 ....
塔野夏子さんの木立 悟さんおすすめリスト(44)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ノート(瓶)- 木立 悟自由詩320-9-16
ノート(57Y,6・5)- 木立 悟自由詩220-6-17
去る日_遍歴_- 木立 悟自由詩615-7-1
ノート(46Y.5・27)- 木立 悟自由詩309-5-31
ノート(昼)- 木立 悟自由詩807-8-5
ノート(創鳴史記)- 木立 悟自由詩707-3-16
ノート(43Y.2・27)- 木立 悟未詩・独白407-3-1
ノート(43Y.5・16)- 木立 悟未詩・独白206-5-16
ノート(43Y.5・14)- 木立 悟未詩・独白406-5-15
Luciferised_One_Ⅳ- 木立 悟自由詩106-5-11
三華遠季節_Ⅲ- 木立 悟自由詩606-5-8
27Y.5・19- 木立 悟未詩・独白406-4-20
声(草と火)- 木立 悟自由詩906-3-1
未明とむらさき- 木立 悟自由詩406-2-21
むらさきの日- 木立 悟自由詩405-11-26
ノート(枕魚)- 木立 悟未詩・独白1105-11-1
円原視座- 木立 悟自由詩1005-10-26
ふるえ_Ⅳ- 木立 悟自由詩405-9-29
ふるえ_Ⅲ- 木立 悟自由詩405-9-28
ノート(36Y・11.21)- 木立 悟未詩・独白705-9-21
ノート(36Y・12.10)- 木立 悟未詩・独白505-9-20
ノート(37Y・3.6)- 木立 悟未詩・独白505-9-14
ノート(35Y・7.9)- 木立 悟未詩・独白405-9-2
そら_Ⅰ- 木立 悟自由詩305-8-16
遠い窓- 木立 悟自由詩805-7-28
天象儀と遊星- 木立 悟自由詩805-7-25
ノート(幻視)- 木立 悟未詩・独白205-7-21
調音- 木立 悟自由詩1105-7-19
ノート(37Y.12・26)- 木立 悟未詩・独白405-7-14
外の原へ- 木立 悟自由詩805-7-12

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