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  夕暮れ色の飛行船、
  たくさん空に浮かんでいたけれど
  空と一緒の色だったので
  誰にも気付かれないままでした。

  *

  毎朝、起きたらすぐに顔を洗います。
   ....
   黒縁の眼鏡をかけた教授の講義が一段落すると
   スクリーン上に映し出されたままの
   夏の星座がゆっくりと回転し始める


   古びた校舎の窓側を覆う暗幕は
   その歳月 ....
   月ではまだ
   冬の初めで季節が
   止まっているようだった


   浅い眠りの合間に
   この頃よく、夢を見る
   凍えたままの月面で
   あなたをこの腕で抱き ....
  真夜中に、
  嵐の音が怖くて目を閉じたジーナ
  だけど嵐の音じゃなかったみたい
  目を閉じている間に、
  季節が変わってしまって
  途方に暮れてる小さなジーナ
  ふれる ....
  ガリレオよ、宇宙をソラと呼ぶ人の名前を君は覚えているか 


  天地の神話が始まるまではあなたもわたしも素粒子だった  


  くるくると回る土星の輪っかから天体オペラが流れて ....
  
  わたしの中に森が生まれたとき
  その枝は音もなく広げられた
  指先から胸へと続く水脈に
  細く流れてゆく愛と
  時おり流れを乱す悲しみ



  わたしを立ち止まら ....
   暗闇の中に、
   わたしはあなたの
   横顔を探したい
   満たされて静かに微笑む
   十六番目の月のように
   もういいのだと言った
   あなたの横顔を、
  ....
{引用=八月の月で海鳴り
それでも僕らは響く波音を知っていた}


  僕は今、紺碧の{ルビ海=マーレ}を閉じ込めた窓辺から
  君に宛ててこの手紙を書いている


  {ルビ ....
  雨が降る日曜日の午後
  雨宿りをした金木犀の木の下で
  電線に連なって揺れる雫を見ていた
  耐えるように震えながら
  世界を逆さまに映した雫が静かに落ちる
  君はその小 ....
  暖かな雨に追われて迷い込み君と出会った六月の町


  徒に花びら数え占った恋の行方を君も知らない


  花は花やがて綻び散るものの定めの前に花鋏有り


  裏庭でか ....
    
   だけど君は駆けていったんだ



 思い出の丘を、雲の影が滑る
 丘の緑はかわることなく風に揺れ、
 遥か彼方に、夏の海を臨んでいる
 ごらん、あの細い坂道に
 僕ら ....
   風に揺られていたね
   僕らはなにも選べずに
   別れの言葉を強いるのは夕風
   信じることも疑うことも
   選べずにいた
   僕らを置き去りにして
   地球 ....
  {引用=今も変わらずに花の名である人へ}


  きっと気紛れに入れたのでしょう
  桜の花びらが
  はらりと、
  不意に零れ落ちたので
  もうどうしようもなく立ち尽くしてしま ....
塔野夏子さんの嘉野千尋さんおすすめリスト(13)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
幻視顕微鏡- 嘉野千尋自由詩61*07-5-27
プラネタリウム・アワー- 嘉野千尋自由詩26*07-5-21
月面観測- 嘉野千尋自由詩16*06-8-13
ジーナの一月- 嘉野千尋自由詩13*06-1-5
千夜一夜に星の話を(こっそり短歌祭)- 嘉野千尋短歌10*05-11-11
森の風景- 嘉野千尋自由詩36*05-8-12
十六夜- 嘉野千尋自由詩11*05-8-3
八月の海鳴り- 嘉野千尋自由詩16*05-7-2
六月の二人- 嘉野千尋自由詩13*05-5-27
紫陽花ヶ丘- 嘉野千尋短歌16*05-5-12
夏、少年- 嘉野千尋自由詩10*05-4-24
青、そして青- 嘉野千尋自由詩14*05-3-27
桜便箋- 嘉野千尋自由詩13*05-2-25

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