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雲ひとつなく秋晴れの空
父の運転で越えていた峠も
いまならば
自分の運転で越えられる
アクセルの踏み加減でスピードを調節
ブレーキなんか踏まない
でも
思いの外カーブは厳しい ....
まなこ に にちりん
もろて に こがらし
つち の かんむり しろ こだち
かぐわし みつ むし
たわわ の やま つき
かぜ の ふところ ....
さくら かんざし
あかねの 鼻緒
ねむりの いわおに
腰かけ
仰ぐ
ちり ち り りん
金魚の尾ひれが
風鈴を蹴る
ちり ち り りん
黄色の帯と
左手
....
わたしがむやみに数えるものだから
蛍はすべていってしまった
わたしが思い出せるものは
ひとつ
ふたつ
と
美しい光
いつつ
むっつ
と
美しい光
けれどもそこ ....
お嬢の小唄を
宙に放れば
おてんと様が照らしてくれる
小僧の小唄を
地に撞けば
根っこの隅々しらべてくれる
手毬唄、ひとつ
この手に優しい
中身かどうか
優しくこの手に帰 ....
星空の下では今日も
作業灯が明るい
掘り起こされる大地
積み上げられゆくコンクリート
道行く人は
まだか、と未来を吐き捨てる
けれども作業灯は
必ずの未来へと向かって
....
ねぇ、アリス
貴女が居なくなっても
この世界は続くと思っているでしょう
ここは
たまたま落ちた夢の国
だから
たまたまなんて
二度と起きたりしないのよ
ねぇ、アリ ....
もともと
あてになる眼ではないけれど
それでも
夕陽の色彩くらいは
心得ている
川辺は 減速を始めている
木立は 瞑想を始めている
鳥達は 安息を始めている
あきらかに夕陽の時 ....