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今日も額に汗を滲ませて
門前払いは覚悟の上
蝉の鳴き声しか聞こえない
住宅地のあちらこちらを歩く私は一匹のありんこ

無数のピンポンを押して
ようやく玄関のドアは開いて
満面の笑みと話術 ....


「柴又ぁ〜、柴又でございます」

京成の電車を降りて{ルビ瓦=かわら}屋根の駅を出ると
前方には旅に出てゆくとらさんの像が{ルビ凛=りん}と立ち
柴又の町を振り返り、みつめている
 ....
右手にもったきゅうすを傾けたら
青い湯飲みの底に花が咲いていた

一瞬にして
そそがれた緑のまどろみの下に
花は消えた

この湯飲みで
数百杯の茶を飲んでいるというのに
知らなかった ....
立ち並ぶビル群の幽霊
ビル風が吹き抜けると
敷かれゆく風の線路の上
滑らかに空中列車は行き交う

乗客は皆視線を落とし
日常に見つからぬ出口を
携帯電話の画面に封じ込める

 「 ....
さびしさに
ひざをかかえて
タオルケットははいだまま
「る」の字でねむる

あの{ルビ娘=こ}は今頃
遠い空の下
今夜も誰かに抱かれて
求めあう「る」と「る」を
くみあわせてる

 ....
「お先に失礼します」
の言葉を交わしあう金曜の夜
今週もなんとか無事に働けた自分に
「おつかれさん」と一人つぶやいても いい

自分の肉を
飢えた{ルビ乞食=こじき}に食べさせ ....
汐見ハルさんの服部 剛さんおすすめリスト(6)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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風の寅次郎- 服部 剛自由詩12*05-2-21
顔のうらがわ- 服部 剛自由詩10*05-2-13
空中列車- 服部 剛自由詩25*04-10-3
「る」- 服部 剛未詩・独白31*04-7-9
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