部屋を開けると

煮しめの匂い

ああ、そうだ

私が作ったんだ

この齢にして

初めて作る御節料理

母を真似て

視線が交わせづらくても

何をしていたかは
 ....
枯れた枝をゆする風が 
夢を失くした鉛色の砂を運ぶ
砂は吹き溜まりに積もり
赤いガラスの粒が、 
虫の死骸や 
いつかの木の実、 
藁、
埃や毛玉とともに絡まる 

やがて畦道を転が ....
三丁目二番六号付近の路上に林檎を置いた
いつか君と出会うための魔術だ

御堂筋を渡る、四丁目のあちこちに足跡を残す

南船場四丁目をさらに巡回する

反復は呪われた想いだ
破れた地図の ....
通りすぎていった雨にまだ濡れている。まだ舗装されたばかりの黒いアスファルトにもはやすっかりと晴れあがった青空が映りこんで、まるで磨き上げた曹灰長石(ラブラドライト)かなにかのようにその淡いみずいろを反 .... 買ってから
どれくらい経つだろう
黒色の電気ケトル

購入時は白が欲しかった
でも、在庫がなくて
この、いかつい黒を選んだ

最近は、沈黙することが多い
スイッチを押しても応えない
 ....
現代日本の専門詩誌における「難解さ」の制度的生成

――ブルデュー的フィールド論、エニックの制度的承認理論、新制度派同型化に基づく分析


序論

現代日本の詩誌・短歌誌はしばしば「難解 ....
散歩の帰り道

ガス会社のフェンスに
ひとさし指先ほどの
緑のサナギ
アゲハの類か

細い指先で畳まれた
葉っぱのようで、
その美しさを観察する

雨風を凌げるものなど
周りに ....
生きていたくないひとが
生きているだけで
エライと思う

死にたいってことばにするのは
ことばにしなきゃ
本当に死んでしまいたくなるからだ

死にたいって
ことばにするのは
本当は ....
ヘミングウェイが入ってきた。
(レイモンド・チャンドラー『さらば愛しき女よ』32、清水俊二訳)

元気そうじゃないか。
(チャールズ・ウェッブ『卒業』1、佐和 誠訳、句点加筆)

プルース ....
新しい住居は
川のほとりだ
川と言っても濁ったドブ川の色をしている
生き物の気配はなく
夏は悪臭を放たないか心配だ

近所のスーパーまで2キロある
コンビニと薬局が側にあるだけましか
 ....
なんだろうなぁ
この感情は

分析すると

遠慮
気後れ
申し訳ない
いたたまれない
もっと役に立ちたい
もっと会いたい

帰り道はいつも

なぜか

幸せな気持ちと共 ....
「籠モル化」という言い方はまだ一般化していないが、ここでは詩の現場で見られる閉鎖的な相互評価の力学を指す仮称として用いる。語源は特定のグループに「籠もる」ことを強調した俗称で、少人数の内輪に作風や価値 .... ドラッグストアでペプシゼロとヨーグルトを買った。
夜の店内は空調が効いていて、白っぽくて、乾いている。

手をつないだ恋人たち、メガネを掛けた会社員、綺麗な身なりの女の人。
みんな等間 ....
三粒ほど熟れてあじはふ青葡萄

初めての完熟いちじく急ぎ買ふ

フル装備して青柿を消毒す

どの友も傷み抱ふや盆の月
蔓草の{ルビ畑=はた}の花木を絞めに絞め

夏受診診察までの四時間待ち

塀越しの貸家に白き{ルビ百日紅=さるすべり}

西瓜に塩かけるなといふ眼鏡女医
死に
たかる蟻たち
夏の羽をもぎ取り
脚を引き千切ってゆく
死の解体者
指の先で抓み上げても
死を口にくわえてはなさぬ
殉教者
死とともに
首を引き離し
 ....
真夜中

自転車で無理矢理二人乗り

皆を出し抜いたみたいになった

どこでスイッチが入ったのだろう

タイプではなかった気がする

連れ去られるように走った尼崎の街

我 ....
海の轟が寄せ還る寂れた街を彷徨った
街灯がぽつりと点り羽虫を寄せていた
ヤモリが一匹それを狙ってヒタヒタと柱を登ってゆく

腹が減った

赤いちょうちんと暖簾が風に揺れている
魚介豚骨醤 ....
あっ
それ、何
引っ越し祝い?

あはっ
ありがとう

でも
よくわかったね
ここが

それに
こんなに朝早く

休講だったの?
そう  ....
最初の出だしはこうよ。
ポプラ並木に寒すずめが四羽、
正しく話してると、
うつくしい獣たちが引き裂くの。
クレープが好きだと言ったわ。
魚座の男が好きだとも言ったわ。
鉄分の多い多汁質 ....
SNSを巡回する
愛していると綴られており
僕も愛しているよと
心で思い
満たされる

時に会ってみる
感想を述べてみる
「許さねぇからな、
初対面で好きと言ったくそ男!」
なぜな ....
己の欲せざるところ人に施すなかれ
これは真だろう

では、では
己の欲するところ人に施すべし
これは

やめたほうがいいだろう
なぜと言って
人が喜ぶとは限らないからだ

音楽を ....
寒さより不在の君のツイートよ 人生を捻じ曲げる、
まっすぐに終わりへとむかう
ひどく短絡的な直線を
乱暴にぐいっ、と曲げる

きっと皆は、この僕が
まっすぐ進むと思っていただろうな
でも突然、進路を捻じ曲げたから
 ....
雪明かりの中、ひさしぶりに散歩に出る
獣たちの足跡が点在し、ときどき走っては敵に怯えるように急ぎ足になったり、少ないながらもその痕跡が塗されていた
時折、小声で独り言で事を説明する私は酷く滑稽であ ....
芸能界ってすごいの?
すごい、かもしれません

すごい、ということになっているところのもの
虚飾の世界じゃないですか

芸能人が強者とは
全然思いません

人気商売なんてつらいよ
 ....
世界はゆめ
みてる
木々の上で
鳥が鳴いている
その光景を見ている
鐘の音が
どこかで聞こえる
耳を澄ます。

日々、


暗闇のなか、一日がはじまる どこか
に行こうと、 ....
底浅の透き通った水の流れが
昨日の雨で嵩を増して随分と濁っていた
川端に立ってバスを待ちながら
ぼくは水面に映った岸辺の草を見ていた
それはゆらゆらと揺れながら
黄土色の画布に黒く染みていた ....
はにかみも初雪のごとやがてとけ
白い夏
思い出の夏
反射光
コンクリート
クラブ
ボックス
きみは バレーボール部だった
きみは輝いて
目にまぶしかった
並んで
腰かけた ぼく
ぼくは 柔道部だった
ぼ ....
紅茶猫さんのおすすめリスト(33)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
煮しめの匂い- 花野誉自由詩13*25-12-31
つち色のうた- atsuchan69自由詩16*25-12-27
恋する林檎- atsuchan69自由詩17*25-12-19
日曜出勤- 本田憲嵩自由詩1525-12-12
まだやれる- 花野誉自由詩15*25-12-10
現代日本の専門詩誌における「難解さ」の制度的生成- atsuchan69散文(批評 ...7*25-12-10
越冬サナギ- 花野誉自由詩14*25-12-7
そのままでいいんだよ- りつ自由詩8*25-12-7
僕タチハ、ミンナ森ニイル。- 田中宏輔 ...自由詩1625-12-4
徒然- りつ自由詩12*25-11-2
子心- 花野誉自由詩16*25-9-11
詩壇における「籠モル化」とは何か_―_閉鎖性がもたらす評価の ...- atsuchan69散文(批評 ...13+*25-9-8
石鹸の匂いのする、八月の- ねことら自由詩2125-8-31
八月- けいこ俳句5*25-8-9
これはこれはの句- けいこ俳句5*25-7-29
蟻。_- 田中宏輔自由詩17*25-7-21
キツネ目の人- 花野誉自由詩13*25-5-23
ラーメン- レタス自由詩14*25-4-19
こんなふうに- 田中宏輔自由詩13*25-3-3
タコにも酔うのよ。- 田中宏輔自由詩15*25-2-24
悲喜こもごも- りゅうさ ...自由詩4*25-2-19
弁証法?- りゅうさ ...自由詩4*25-2-17
_- 落とし子俳句125-2-15
- atsuchan69自由詩24*25-1-14
冬のにおい- 山人自由詩19*24-12-31
ただ憧れを知る者のみが- りゅうさ ...自由詩124-12-28
- ryinx自由詩1524-12-27
高野川- 田中宏輔自由詩20*24-12-24
_- 落とし子俳句224-12-22
夏の思い出。- 田中宏輔自由詩17+*24-12-22

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