「カワイイネ」
今日も買い手は5枚の諭吉(かみきれ)で
私から春を奪う
幾重にも重なった諭吉に
「苦シイ」と書いては投げつけた
帰る家なんてない
ラララ、ラララララ ....
I君は言った
貴方の右目は本当だが
左の目は嘘をついている
I君 君は正しい
私が語ったことは
心底そう思っていることで
私が喋ったことは
受け売りだった
....
海が見たいって
人を愛したいって
お前はどこへ行くんだモンスター
自分の存在に
正義という悪夢に
あれほど傷つけられてきたのに
まだ、何かを信じるのか
砂漠を捨てて、 ....
過去と未来は繋がっているけれど
{ルビ現在=いま}はその間にあるわけではない
時間という見えない軸のまわりを
ゆうらりと漂いながら
思い描くものが未来であって
脳裏に焼きついているものが過去 ....
世界で最も美しいのは4度なのだそうだ
黄金比について熱心に研究しているという友人が
居酒屋で生ビールを飲みながら言っていた
モナリザの微笑みを温度で表せという問いに
4度と答えた人が統計の半数 ....
平面的な世界で
とりとめもない海に落ちて
塩酸の刺激を浴びて
それでもいいとおもった
あなたの右の瞳に残っているはずの
硝子のかけらが今も痛いので
海岸線に伸びるガードレールに供えたあ ....
俄然わたくしこそは詩ですとか
当然わたくしこそが詩ですとか
昨今、そんな詩も多うございますが
わたしは詩なんかではありませんよと
泰然と構えている
そんな詩の様子です>不詩然
日陰の風が吹き
白い鳥が集まる
曇の淵
まぶたの上
雨は上がり
陽は遠のき
もうひとつの熱の雨も
水たまりを去ってゆく
上からの光が届かない穴に
花が ....
ひいやりと冷たいメロン空に浮き
悩ましい夜見つめるだけの
物思いシロップの海に漂うか
救ってみたい桃のかんづめ
ごめんねとパイナップルの輪切りして
白 ....
排他的な女の子は空を所持している。
その底のほうには、白くてきれいな宇宙船や、手垢できたない算数の教科書、軍隊の格好をしたキューピー人形や、プラスチックのマニキュアの瓶が、ざくざくとはめ ....
「リトマス紙がなにでどうなるか」のように忘れてしまいたい夏がある
まだ明日を信じていたからサヨナラを 告げた渚にゆらぐ太陽
ケンケンで駆けた砂浜しゃらと鳴る 乾いた粒子、ただ熱 ....
さかなになって
星を見つめる夢を見る
波打つ界面のもっと上に
潜る深海を見る
手をのばすと
満たされない世界を掴む
息苦しい自由と屈折率
さかなのうちゅうに
虹はない
夜 ....
わたくしはきくのはなびらをかおっているのだった
霊園を照らす光に透けて
ただよう無修正の遠声はいつまでも増幅し
ゆくえ不明の足許を念じる
目的地はとうに過ぎた視線
まなざ ....
世界が生まれて消えるまで
それをはかる時ならばいらない
、どこまでいっても自分
それを刻む鼓動の美しい機械に
{ルビ内燃機関=エンジン}
{ルビ回転速度計=タコメーター ....
長い時間、丁寧に水切りをされた子どもたちを
洗濯ロープに干していく
きゃらきゃらと子どもたちが笑うので
ちょっとした火花が続いた
子どもたちから出たお汁は
大切に集められて牛舎へ持っていく
....
まわる裸足のステップ
流線を描く白い手
揺れるスカート
君の赤いスカート
純粋の赤
静寂の赤
孤高の赤
唯一の赤
まわるスカート
揺れるスカート
君の赤いスカート
少女服脱ぎ捨て君は駆けぬける
街角、インクの乾かない朝
追いかけて非常口ドア雨上がり
無邪気な青にだまされてゆく
水にうつる言葉も意味もないグラス
残 ....
見えない先から
ひさしぶりに糸を引かれ
私も
糸を引いて応える
紅い汗を流して彫刻のように削りだした核から伸びている、それは
時にたわみながらも千切れずに今も
在る、確かめ ....
現在を座標としてとらえると
それは常に原点であり
未来は北の方角になります
そうなりますと
過去は南の方角ということです
西やら東やらは
存在はするのでしょうが
詳しいことは不明 ....
虹を発見したら
「きれいだねきれいだね」
と騒ぐ君が嫌い
お願いだから
黙って見させてよ
君がバナナをくれたけど
「おいしいねおいしいね」
と言いながら
食べなけ ....
おもいでの形見
私にとってこれは
変わらないことのひとつ
ここには風は吹いてこないけれど
ほがらかなひだまりがぽうっとしている
いつまでも
微笑する宇宙のふちで。
私の子午線 ....
空色のアンブレラだけを携えて田んぼの中を無限に進む
図書館でお勤め始める母さんに「いち早く借りてきてよね 太宰の新刊」
赤い爪とそれが持つ黄ばんだ『人間失格』のコンビをずっとずっと ....
{引用=
いつまでも白でいたいと言ったから、代わりに黒でいようと思った。
熱にうかされて追いかけた影
幸せだったか思い出せない
金平糖を噛み砕く癖・紫煙を燻らせる仕 ....
ルーズな踝はいつのまにか姿を消し
タイトな紺色が街を闊歩する
こんな横並びを欲する時代だからこそ
曖昧なままでは許されないと言わんばかりに
膝上近くまで引き上げられた紺色に感じる息苦しさと ....
何もない空からゼロがふってくる
ならばいくらかマシだったかもしれないけれど
真っ黒な空からはマイナスがふってくる
はっきりとしたベクトル
明確な方向性を持つマイナスが
あたまのうえからふって ....
雨上がりの朝は
木々の葉の上で
雲が作った宝石が
きらきら
きらきらと
輝いている
空の上には
雲が忘れていった
たくさんの子供達が
朝日を浴びて
七色に輝いている
その ....
黄昏時
電信柱の影に蹲る夜を見つけた
勇気や希望 妬みや嫉み 不安や絶望
そんな物達
を飲み過ぎて気分が悪いらしい
大丈夫?
そう言いながら
背中を擦ってやると
出るわ出るわ 夜が ....
その少年は、少女で動いていた。
少年のどこかに少女が埋めこまれている。
少年はときどき吐き気がする。
そういうとき、たいていそれは夜だけれど、砂浜を思い描く。すると、少女が少年の砂浜を歩 ....
今ここに綴る詩も
膨大な詩の海の中の
一滴として
いつか人々の中で
忘れられていく
時代を超えて
口ずさむ詩を
綴れたらいいのに
詩は努力したからといって
....
なにも届かない
耳は犬にくれ
響きを伝える大気は吸い尽くした
知らない人がいる
その人は、歌を歌うらしい
地球の裏側か隣国か
私には知るすべもないセ ....
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