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朝ぼらけかすみし山の冬木立
鼓膜に残る響き息の跡
ときはかねときあかねさす井戸端の
夕餉の支度暮れのにおいは
山の中静かに凍る湖が
数億年の冬眠を守る
暖冬に明日、明後日と大 ....
はじまりのおしまいのはじまりのおしまいのは(じ)まりのゆくえ、わかりませんとか云わないで
ゆくえ稜線のかなたまで染まってゆく、葉緑体のベンゼン環おしまいのは(じ)まりへ
まりみたいな月はど ....
投函された手紙のような
つつましい
アメージンググレイスは
手紙それ自身が読まれるまで封をされ
言葉ありき、a、α
胎の中でなくしたまま産まれ
ここが家だと、わかる
教えてくれたもの、人 ....
赤
夕空と海の混じり合うそのすきまに
すべり込むうみどりの影のさみしさ
赤い包みのキャンディーをポケットから取り出すと
口に入れる間もなく
風景に溶ける
橙
”ちかみちは ....
仮定された
塩化ナトリウムの潮解性と
マッチをする黄リン
炭素をはんだごてした
フラーレン
機能性と海底ケーブルと飛行機
仮定された二つの箱の中で
鏡合わせに崩壊する2匹の猫 ....
帰路は
新月にしずむやみのはし
こと座に一服
リリ、
(きこえた?
(ああ、きこえたよ
(鳴いてるのかな
(鳴いてるのかもしれないね
夏を野辺送りし秋がやってくる
猫 ....
いなくなった人へは
何も書けないから
妻へ
前略
草々
としたため
渡した手紙は
洗濯されて
入道雲の下に干してあった
立ち上がる
背伸びをした
その、もっと上に ....
向こうがわによく似合う
それは
眠るまで明日を意識させ
沈んでゆく
畦道
そこここからする鳴き声について話そうと
すっぽりと抜けた数日前の言い訳に
突き動かされ明日を生きる
今 ....
蝉の殻いましたたる
日付変更点がここだとしたら
日曜日というやつは
木の幹に刻まれるより
撤去された砂場に埋もれたままどこへ行った
真ん中のあなぼこ
その、まわりばかりを見ている
掘 ....