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おやすみ、あなたの黒髪にまだ青い葉をからませ
おやすみ、蔦は赤く、赤く血の色のよう


あなたの血のように赤く 私の血のように赤い
蔦を体に這わせ 木の葉の雨の降りしきるなか
そっと夢みる ....
いつか飛んだ空をおぼえている
風を切ってどこまでも青い玻璃の岸辺
さかしまに映る幾千の森 草 花の密度
いつか鳴いた声をおぼえている
朝靄の彼方から裂けた絹糸のような
あれはなつかしい 切な ....
あなたのくちびるから海がこぼれる
塩からい水が胸を濡らすから
わたしは溺れないように息をする
そっと息をする


空の高みが恋しいと指先をのばし
両手を広げてみるけれど
あなたの海が追 ....
いくつもの光の輪が揺れている
緑の{ルビ踝=くるぶし}が踊り私を誘うだろう
風は耳うちして秘密を告げた
胸うちに痛みに似た喜びが広がり
そうして唇から歌がこぼれ


ごらん
静かな火が ....
(夢を見た)


ひた、ひた、ひた、
静かな輪を描いて波紋が幾重にも広がる
光だけが生きているように満ちて来る
ひた、ひた、ひた、
夜の岸辺に足先を濡らして
何ものかが生まれるのを見て ....
なつかしい声がする
し、と、す、のあいだ
あなたが人差し指で押さえた
かすかなつぶやきのように


わたしの中で目覚める
し、と、す、のあいだ
声にならない言葉があふれて
あとからあ ....
あなたは書かれた事のない手紙
いまだ出された事のない手紙
封を切られないまま
大切に言葉をしまい込んで


わたしはそっと考える
その言葉がどんなに心を震わせるかを
わたしは夢を見る
 ....
忘れてください
と、口にした時から忘れられなくなる
ふいにこぼした言葉も
思いつめた頬の感じも


忘れてください
忘れたものは戻ってこないと知っている
ある日ふとまざまざと
風に揺 ....
雨をひらいて いくつもの声のその中へ
飛び込んでいければいいと思った
軒下からしたたる雫が はねて、
とりとめない心に降りかかる
泣いているの、とたずねる人の
声がしたような気がして
振り ....
駆けて来る
駆けて来る
薄氷を割るように
静かなギャロップで
はるかの足並みで


銀のたてがみをひるがえし
地上へと駆けて来る
お前の目の中で火が燃えている
お前が見つめると
 ....
この手の林檎が可愛いので
少し齧ってみる
この手の林檎が可愛いので
もう少し齧ってみる
この酸味はもう秋なのね
喉元に風が吹き過ぎて


秋はどこからやって来るの
秋は私の心から
 ....
祭りの夜は渦巻く貝殻
空はずっと青かった
水の流れをずっと聞いていた
草を噛むとたちまち苦みが
口なかに広がって 星が銀河が
水のように押し寄せて来る


あれは
ケンタウルスのきら ....
裏木戸を開けると
ひぐらしがないている
あの木の下
薄暗い桜の木の下で


闇間に鼻緒が見えている
そり返った白い足の指が
細い脛が折れそうにのびて
あの時もひぐらしがないていた
 ....
何もかも徒労だったと誰が知る
心がはぐれそうな夜は
ただあてもなく歩くのが世のならい


街の灯りがあんなに遠い
くたびれた足で石を蹴り上げると
どこか見知らぬ闇に呑み込まれていった
 ....
仲の良い姉妹がいた
双子みたいだったけど
双子じゃなかった
同じ髪型をし同じ目をし
同じ口もとで笑った


寝る時も食べる時も一緒だった
片時もはなれた事がなかった
花が咲く時も
 ....
なつかしい猫
いつか啼いていた気がする
私だけの思いが影を引いて
路地を今曲がってゆく


そんなに淋しい瞳で
私を見つめないで
やさしく撫でてあげたくなる


さしのべた指先を ....
夕暮れ、薔薇は香っていた
まだ残る夕光の中で
私は花びらをそっとむしりとる
指先がいとしくて
何かを待ちわびて


ふっと夏の透き通る波が
心に押し寄せて来て足先を濡らし
すべてを呑 ....
あなたは泣いています
あなたは泣いています
緑の雨にずぶ濡れて
ただただこの世がいとしいと


あなたの頭上に垂れ下がる
電線の雫がぽとりと落ちて
ひとつひとつが世界を映してる
あな ....
木もれ陽のランチョンマット広げては
    鳥がついばむ野のピクニック


朝どりのトマトはさくり陽を浴びて
    ただ召し上がれめしあがれ今


ふかふかの森は日向の匂いする
  ....
夜のドレープに裂け目が入る
夜明けが裾にそっとくちづけると
私はすべてを脱ぎ捨て
一羽の鷹になって飛んでゆく
まとわりつく冷気を翼で切りながら
あなたを求めて飛んでゆく


   私は ....
しずかな時間に光がうまれた
わたしの心に映り形作られるもの
それは木もれ陽 それはうた
あたたかな陽だまりの中で
わたしを見つめるあなたの瞳
どこか遠いその瞳


あなたの眼差しに海が ....
わたしの頭にもやがかかってゆく
わたしの目に霞がかかってゆく


何も考えられず何も見えず
わたしはまはだかで歩こうとする
草がからみつき肌を切り裂くのもかまわずに
風になぶられる髪がど ....
あの古い家の二階の窓に
いつか見た雲が流れてゆく
雲はいつもあの窓に吸い込まれ
戻って来ない日を数える
そっと指折りをする


窓ガラスに昼の陽がさして
辺りはぱっと明るくなった
物 ....
たとえばいつか
時計の針が十五時を指したら
南向きの窓辺に腰をおろし
熱いミントティーを飲む
白壁とコバルトブルーのきらめく
シティ・ブ・サイドのカフェにいるように
乾いた風が吹いたら
 ....
小鳥を逃がした事がある
さみしい時に啼いてくれたのに
鳥籠にいる姿がかなしくて
僕の目の届かない世界まで遠くへやって
今もふとすると胸うちで啼いている
傷ついたその折れた翼で


   ....
雪のなかに立ちつくし
あとからあとから降り続く雪片を待つ
そうして私を埋める白いせつなさよ
ぼんやりかすんだ空を見上げ何を待つのか
あとからあとから降り続く雪片を待つ
黒い道がのびている
静かな{ルビ轍=わだち}が寄りそうように走り
道の上には白い雪が
粉砂糖のようにやさしく降り置いて


灰色の空には切り裂く翼もなく
肌を刺す冷たい空気ばかりが動く
 ....
日が暮れる
夕空に星が輝いた
大きな月ものぼった


満月だ


タワーに灯りがともった
家々の窓にも
お店のショーウインドウにも


月が追いかけてくる


黒い山の ....
心さえも{ルビ滞=とどこお}る
いつのまにか
何もかも凍てついて
時が止まったかのように
白い霜に閉ざされる朝
私の指さきも
じんと凍えはじめる


指に触れた薔薇の花よ
霜に降り ....
黄昏、あれは
{ルビ樹陰=じゅいん}に眠るあなた
穏やかな目鼻立ちに
風が吹きすぎる
私はそれを眺めるだけの


{引用=かげり
を知っていたでしょうか}

思い出、それは
静か ....
たりぽん(大理 奔)さんの石瀬琳々さんおすすめリスト(53)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ねむり- 石瀬琳々自由詩21*11-10-12
夏鳥へ- 石瀬琳々自由詩7*11-8-10
海のあなた- 石瀬琳々自由詩20*10-7-14
緑の踝- 石瀬琳々自由詩7*09-6-4
夜の鳥- 石瀬琳々自由詩8*09-2-25
雪に踊る- 石瀬琳々自由詩8*09-2-4
手紙- 石瀬琳々自由詩10*09-1-7
忘れるということ- 石瀬琳々自由詩14*08-12-18
雨をひらく- 石瀬琳々自由詩15*08-12-10
冬の馬- 石瀬琳々自由詩22*08-12-4
林檎と私- 石瀬琳々自由詩10*08-9-29
ケンタウルスの夜- 石瀬琳々自由詩18*08-9-10
日暮れの家- 石瀬琳々自由詩26*08-8-19
夜の鉄路- 石瀬琳々自由詩8*08-8-6
姉妹BOX- 石瀬琳々自由詩6*08-7-11
なつかしい猫- 石瀬琳々自由詩9*08-7-2
夏至- 石瀬琳々自由詩23*08-6-19
緑の雨- 石瀬琳々自由詩10+*08-6-5
ピクニック- 石瀬琳々短歌7*08-5-29
五月の鷹- 石瀬琳々自由詩16*08-5-20
しずかな時間- 石瀬琳々自由詩9*08-4-3
とらわれの春- 石瀬琳々自由詩10*08-3-27
- 石瀬琳々自由詩18*08-2-20
たとえばいつか- 石瀬琳々自由詩7*08-1-29
Loneliness- 石瀬琳々自由詩22*08-1-7
空を見上げて- 石瀬琳々自由詩9*07-12-27
絵本- 石瀬琳々自由詩18*07-12-19
夜のドライブ- 石瀬琳々自由詩8+*07-12-13
冬薔薇- 石瀬琳々自由詩8*07-12-4
黄昏、あれは- 石瀬琳々自由詩6*07-11-28

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