すべてのおすすめ
天井を避けるように
空へと向かっていく
いつもは言えなかった言葉が
しゃぼん玉の中にたくさんあって
もしも割れたら秘密じゃなくなる
人の涙は美しく見えるから
綺麗なものほど壊れやすくて
....
夜に穴を掘るように走る
バイクの音が主役になるから
親密な青い空が震えた
テールランプと並んだ螢は
どっちも似たような光だけど
半袖と腕の隙間を作った
その部屋で遊ぶ短い命は
逃れながら ....
点と点を結ぶための線が
輪郭をはみ出していくような
新しい星を描いた夜は
手裏剣よりも遠くへ飛びたい
金平糖みたいな甘い星が
好きと嫌いとどうでも良いという
わがままなエゴリズムを作って
....
もう雪に飛び込むことはない
冷たくなるのを知っている上に
濡れたズボンの重さを引きずり
誰かが貫いた心臓みたいに
白い棺がひとつ並んでいた
とても寒いなと感じたけれど
眠るつもりじゃなかっ ....
ぱちん
爪を切る時に
一瞬で飛び出して
翼を持っていたことに気づく
指を離れた途端に
合図が伝わらない部品になり
何も掴めなくなったな
誰も笑わなくなったな
僕達この先どこまで行こうか ....
汚れた街を洗い流すような
雨、そして、歌
傘の中で開くコンサートが
信号機のライトに照らされて
レントゲンを撮っているみたい
真っ黒な肺に混ざる傘の骨
私はまだ本当に咲いてはいない
濡れ ....
ハチミツを垂らしたような首輪で
繋がっている空を眺めると
どこかで優しい声が聞こえる
月の砂漠に迷い込んでいた
あれが好きとかこれが嫌いとか
輪っかを投げるうちに出会ったから
正面を向 ....
都会に出た日は格好付けながら
踵を踏まれず歩きたかったし
一発で止まるタクシーが好きだ
車の窓に映る夜景は多分
いつか燃えなかった
花火のように明るい顔で
さよならを言うよ
飛び ....
珈琲の中に
城を作った
溶ける角砂糖
火傷する体
十個目の窓に
助けてと願う
白い粒子が
マグカップの色で
塗り潰されて
スプーンで
混ぜると
黒い海に光る
星 ....
透明な箱が
横たわっていて
埋めることも
奏でることも
触れることも
できない宇宙に
立ち向かうけれど
思い出や
CDの曲や
未来の夢さえも
空白の時間を
必要と ....
ベッドの上で
もがいてるだけの
スイマーだって
100メートル先に
目標があれば
進むことができる
気がするんだよ
自販機の点滅する光や
鈴虫の鳴き声の響きだとか
青の方 ....
風をよけながら
歩く空の下
誰かに守られるような
両腕のゆとりが愛しくて
袖を引っ張って
確かめる生地が
暖かさで伸びませんように
おろし立ての
秋のプレゼントを
か ....
君ならいつかは
耳を澄まして
遥か遠くに
置き忘れた夢を
取り戻すために
歩き出すでしょう
走馬灯のような
景色を煽り
ノンアルコールで
覚醒した未来は
喉が渇くほど
....
君に会えると
言った後で
君に会えないと
嘘付く花びら
たんぽぽの
輪郭が消える頃
夜はスカートの
下に潜り込み
君に会えるまで
数えた黄色の
長い爪を集めた
花占いが
....
赤い鞭が腕を滑って
削ろうとした生命線よりも
傷跡をひとつ手首に増やし
生きてることを感じられるために
私は今日も罰を受けています
剥き終えた林檎の皮のように
渦巻く心で毒を溶かす ....
遠すぎて不安になった心が
ポケットの外で鈴を鳴らした
助けてという言葉の代わりに
瞬きの音を残してゆくよ
りんりんりんと見つめる夜空に
リンリンリンと電話を掛けたい
あの人の番号を ....
聴かなくなったCDが増えて
心のバランスを保つ道具が
音も立てずに崩れてゆく日々
思い出に色を付ける作業で
音楽と共に生きて来たのに
時が止まってしまったかのように
この部屋は静まり返 ....