テーブルの上で
蜜柑が燃えている
そのふところにたたえた水を少しずつ手放しながら
冷たく燃えている
つやつやとした
ともしび

坊やが食べこぼした
アルファベットびすけっとのかけらたち ....
丸い皿は丸く 四角い皿は四角く洗えと言われた
白い皿は白く
深緑の皿は深く深く果てしなく緑に洗えとも言われた

少しも汚れていない水盤のような皿たちに
水流をあてると
どの皿も垂直にしか洗 ....
世界一標高の高い駅に着いた
車掌以外は観光客で皆
酸素マスクをつけている

空気が薄いので皆
紙のようにペラペラになる
喜びも哀しみも薄くなるので晴れ晴れとする

風が吹けば
空高く ....
これは独白ですよ。たぶん。嘘は混じり込んでいるとも。もちろん。想像してみたくなる。いや、自分の死なんて想像してもつまらないものですね。幾ら考えたところで当たるわけないもの。なあんて、しかし捨ておけない .... 幻のステージに、
昭和を生きた女がいる

鳥の羽根で飾られた衣装を纏って
ジャズとロックンロールと演歌を混ぜた
──アジアンであり、
──洋風でもあり、
戦争に負けた戦後の日本みたいな
 ....
詩らしきものを書こうとするとつい指先が躓いてしまう
あたまのなかで指先を動かせばそうじゃないよと笑ってしまうものもある
誰かの詩らしき言葉の綴りを読んでは逆立ちのふりをしている自分がいる
  ....
冨の神を崇める教義では、
あなたの身体と魂は誰よりも清く
その清い身体のために、
毎朝オレンジジュースを飲む

また、あなたの美貌のために
幼い夢を祭壇で屠り、鮮血を啜る

既に世界は ....
半熟玉子のような弱い存在が握り潰され
報道は状況だけをテロップで流している
ぼくができることはマンスリーサポートくらいなもので
あとは早期終結を祈るだけ

月並みだけれど人はみな兄弟姉妹だ
 ....
ぼくが帰るとき
いつも停留所ひとつ抜かして
送ってくれたね。
バスがくるまで
ずっとベンチに腰かけて
ぼくたち、ふたりでいたね。
ぼくの手のなかの
きみの手のぬくもりを
いまでも
ぼ ....
1.ジャンク・フード・メモリ


冷蔵庫にババロアがあるから
と言って仕事に行ったけれど
それが本当のことなのか
過去のことなのか未来のことなのか
わからなくなってしまった

残業を ....
 壮麗な科学技術の夜明けまえ
ボクとあなたが苺の関係だったということ
 そのことが不可解な生き方に付加価値を付けてボクの証明につながり
つなぎ合わせのリボンを引きちぎる獣たちの姿を予見し ....
いぬを飼いたいな
でもいきてるいぬは
死なせてしまいそうで
かなしいし
かわいそうだな

だから
いぬの幽霊を飼いたいな
いぬの幽霊を飼ったら
最高の名前をつけて
毎晩おなじ布団で ....
青い川の写真をみた
あなたの引き出しにこっそり隠してあった
どこに流れているのかわからない
冷たい夜明けの川だ


(どこか遠くでそれとも耳元で汽笛が聴こえた気がして)


あなたは ....
  かの女は亡くなった
  たとえばの話 飴玉を 歯でくだいた

  あらい生地の 喪に服して
  いななこうとする肌の
  ごく健康な寒気

  葉かげでつぎつぎ破擦する 秋の ....
夜風に紙垂がゆれる

 一文字だけの汗

斜影のない自転車を追いかける

       金星はいつも金星で

見上げれば笑う檸檬の月

御前三杯酢をと乾く舌から 季節は巡り
 ....
  火葬場で
  親しかったものの焼失を
  ただ待つことの夏に似ている
  そのイーゼルは ほどなく
  別の出来事に似ていく

  喚ばれて
  追憶をなめらかな塊のように撫 ....
冬のへその緒が春に巻きついて夏が死産した。父からの電話はそんな内容だった、ぼくは耳を疑った、それはミミが何かを画策したからに違いないと、ミミは実家の隣に住んでいる島崎さんちで飼われている九官鳥の名前だ .... 秋は仏頂面のヒゲ男を察知してイヌやネコも傍らに近づいては来ない

積み石で寝仕度を整えているのは巣を閉じた青蛇の一団だろう

まあるくそれでいて刈り取られた雑草の刺々しさがのこる畦道
 ....
世界のことなんて
次でいいよ
つよくなる夢と濡れてく体
寝そべって目をあけて思い出を忘れていく
いい感じに傾いた
記憶を引き剥がしてさ
錆びた鋏みたいな
つまんないものばかり目に ....
1.蜂蜜

海のむこうの国から
はちみつを買うきみに
くたばれと思っても
しようがないね

トースト

冷めちゃって、

可燃ゴミにて
代謝する
えいえんに腐らない日々 ....
1.春霞

まだ見ぬ窓は
美しいだけで意味を含まない
詩集のようでした
干からびた紅茶のつじつまが合うころ
存在はただ
うすぼんやりとした夕暮れをむかえ
ときに遠ざけたいほど臭かっ ....
はなしを食べたおかあさん

おとうさんはまだ会社にいる

ボクは画用紙にクレヨンをはしらせる

えんぴつでなまえのつづきを書いている

いろはたのしい

赤や青や黄色

た ....
くだけちる
まえの、ひかりを
だまって
みつめていた


夏のおわりに
めばえをなづけたりする
そらは逃げ水になって
星をのみほす
みたこともないくらいに
あかい月を
 ....
1.invisible daughter

むきだしのいちじく
きみと呼ぶには
おこがましいほど
きみだった

季節は排水とともに流れる
今月もありがとうございました



2 ....
正直なところ、たしかに生活することは悪くない。湯を沸かし、布を洗い、床を磨き、花を飾る。娘の髪を梳き、夫の靴をそろえ、ときどき、外で花を売ることは。
どうしても今日死ななければいけないのに。とい ....
母は、
なまえはつけないほうがいいよ
と冷蔵庫にむかって
言いつづけた

寝ているときは
ずっと怒っている
車をひっくり返し
おとこを犯し
ベランダに放火し
エレベータ ....
テレビのボリュームを下げる頃には晩酌の酔いもすっかり覚めている。
眠気を通り越してしまう         小腹も空いてきたよ、なんて
     と思って近い台所をあさるのだ。 (すがやかほれば ....
このベランダにはほとんど雨が吹き込んでこない。建物が林立しているために風が入り込んでこないのだ。降っていても裸足で出る、湿ったタイルの心地、むすめが背中にぴたりと張り付いてくる。
咲いた蘭、いく ....
名前が
水たまりに落ちてて
のぞくと君が宿った
空のひろい方を
私は知った
 
「何処の誰だかわからないのでいらいらしてしまう。
何処の誰だよ、とわかればもっといらいらするかも知れないね

見慣れた表情で、毎度違う話を持ってくるのは狸たち
、狭い世界だな。とかいう伝 ....
タオルさんのおすすめリスト(75)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夜のテーブル- そらの珊 ...自由詩9*24-4-13
丸い皿は丸く- ふるる自由詩6*24-3-19
標高の高い駅- ふるる自由詩4*24-3-19
仮定/ひとつの言い訳(死を下見して)- アラガイ ...自由詩6*24-3-11
歌姫- atsuchan69自由詩13*24-3-7
お粥- アラガイ ...自由詩10*24-2-25
サクリファイス- atsuchan69自由詩16*24-2-14
祈り- レタス自由詩4*24-2-13
糺の森。- 田中宏輔自由詩18*23-12-25
産み辺のカルマ- 平井容子自由詩1023-12-13
雲母の究明- アラガイ ...自由詩20*23-3-11
いぬの幽霊を飼いたいな- 凍湖(と ...自由詩822-11-24
青い川は流れる- 石瀬琳々自由詩13*22-11-11
品性の喪- 草野春心自由詩122-10-16
晩秋- アラガイ ...自由詩16*22-10-16
火葬場- 草野春心自由詩322-10-10
ストップ/ザ/シーズン/イン/ザ/サン- ちぇりこ ...自由詩4*21-12-9
善師アキの空- アラガイ ...自由詩15*21-9-27
花の午後- はるな自由詩1121-5-13
ひとところにわたしのための愛をあつめる- 平井容子自由詩621-2-8
春、立つ- 平井容子自由詩721-2-2
色を食べたなまえ- アラガイ ...自由詩9*20-11-25
覆水- むぎのよ ...自由詩320-10-1
涙ヶ丘- 平井容子自由詩220-9-22
メモ(正直なところ)- はるな散文(批評 ...1420-9-21
コンデンス- 平井容子自由詩820-9-16
道すがら- アラガイ ...自由詩10*20-7-20
メモ(いくつもの呪い)- はるな散文(批評 ...1120-7-7
空が落ちてる- かんな自由詩13*20-5-20
幽霊たちとの対話週間- アラガイ ...自由詩10*20-5-13

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