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真夜中の台所で 小さく座っている
仄暗い灯りの下で湯を沸かし続けている人
今日は私で 昔は母、だったもの、

秒針の動きが響くその中央で
テーブルに集う家族たちが夢見たものは
何であったの ....
四トントラックの背に鉄屑ばかり積んでいた
製鉄会社を回って非鉄金属ばかりを探して
使い物にならないモノたちを再利用しようと
かき集めていた、父の会社

工場の垣根になるほどの拉げたタイヤの群 ....
腕には 花の痕
ぬるくなった前頭葉から 真昼が滴り
効き目のないエアコンの風が
指先を 揺らしている
デコルテの青白い呼吸が 唇から漏れる
白熱灯の陰り 閉ざした瞼から
上手に笑う あなた ....
{引用=たくさんの本棚に囲まれた部屋に
一つのテーブルと 一脚の椅子
灰皿には薬の抜け殻と オーダー表
鳴らない黒電話、かける機会のない大型レコード
ここに来る人は饒舌の上にある沈黙を愛した
 ....
生協の宅配カタログと老女の一人暮らし
一週間生活するには一袋に四個入りで十分です
余るようなら
トイレットペーパーで鼻をかみ
水に浸けて汚れを落とす
それくらいは日常的

新聞だってクシ ....
山育ちの子が海を知った
知らなければその深さも大きさも
わからないまま死んでいく
たった一日の出来事を
赤い水着を着た縁取り写真の子が
記憶を差し出す、午後五時九分の日没

赤穂海岸で俯 ....
お腹が空き過ぎて、猫が踊る。猫が踊る。
トイレを我慢し過ぎて、猫が踊る。猫が踊る。
締め切り前に、猫が踊る。猫が踊る。
上司の駄洒落に、猫が踊る。猫が踊る。
   ((最近私は、猫の鳴 ....
ご主人様を探す野良、愛に渇いてしまう野良
赤い首輪も良いけれど、首根っこを強く掴んで欲しい
目を離す隙もないほど、息苦しいくらいの視線が欲しい
でも、ご主人様は優しくて、野良がご主人様を喰 ....
都会に行けば田舎に帰りたいと泣き
田舎に帰れば都会が忘れられないという
両親と恋人を秤にかけるくらいの、
推し量れない淋しさと重さを見ていたら
安住の地は無くなった

量り売りが ....
肉体の、
肉体の檻が邪魔だ
空間をよぎって その声は
いつも私を焦らせる

部屋を暗くして闇にうずくまる
部屋の心音と私の動悸が重なって
あらゆる、存在に理由を付けたがる私の思考が
膨 ....
あなたがトマトといえばピザやパスタが出てくるのに
わたしがトマトといえば三割引の見切り品を
手渡されるのはなぜだろう

あなたがケーキと呼ぶだけでバースデーケーキが出てきて
わたしが ....
母が母でなくなる時 母の手はふるえる
乗り合わせのバスは無言劇
親切だったおばさんは 母の乗車後には夢になる
向かう先はお山の真上の病院で薬をもらえば
また手が ふるえる、ふるえる、大量の薬を ....
「希望」が足りないね、と小さくレジで笑われた。
小銭の中には 絶望がびっしり入っていたので
安心していたのに、「希望」が足りないせいで今日
もごはんが買えない。
 てっとり早く生きるために、 ....
命のことなど問われれば
とってもエライ国会議員
「七十歳になってもまだ生きて」って 怒鳴ります
「七十歳になったら死ななあかんね」
六十九歳のお母ちゃん
淋しく笑って固まった 父の ....
空丸さんの為平 澪さんおすすめリスト(14)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
くりかえしの水- 為平 澪自由詩8*21-3-6
四トントラック- 為平 澪自由詩520-12-1
日蝕- 為平 澪自由詩218-8-19
コト、たりない- 為平 澪自由詩918-5-23
トイレットペーパー- 為平 澪自由詩5*18-4-1
赤穂の海はまだ満ちて- 為平 澪自由詩12*18-3-12
踊る猫- 為平 澪自由詩2*18-2-13
野良- 為平 澪自由詩6*18-1-23
おいてけぼり- 為平 澪自由詩5*17-12-3
家出娘- 為平 澪自由詩917-12-2
師走に鬼- 為平 澪自由詩217-12-2
ふるえる手- 為平 澪自由詩917-11-19
希望- 為平 澪自由詩317-10-17
いのちのことなど- 為平 澪自由詩10*17-8-13

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