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盂蘭盆会
暮れてゆきそうでゆかない
夏の空に
うすももいろに
染まった雲がうかぶ
世界はこんなにも美しかったのですね
なんども見ているはずの景色なのに
まるで初めて見たように思うの ....
冬のあいだに育った
ふわふわの毛に包まれてみる夢は
ねじ巻き振り子のようにかなしかった
(なんでアンゴラ山羊になどうまれついちまったのか)
けれど
春のひざしに
あたためられて
気化して ....
かつて風船には二種類あった
空気より軽いガス製と
人間の息製と
人間由来の僕らは
空を飛べないはずだった
小さな手ではじかれて
ほんの少し空を飛んだ気分になって
じべたに落ち ....
朝
おはようを云いたくない時にも
おはよう、と云う
ほんの少しほほえんでいたかもしれない
本意ではないし
嬉しいからではなく
茶柱が立っていたわけでもなく
それは
毎日の習慣だった ....
糸をつむぐ
それはかつて
繭だったものたち
それを産んだものは蚕という虫
それを育んだものは桑の葉
それを繁らせたものは桑の木
ふるさとを発つ時
小さなかばんに
宮沢賢治の詩集と
....