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カーテン開ける
東の窓辺は柔らかな
柳の芽吹き おもわす光
三度目に
鳴っていた携帯のアラーム消して
私を 執拗に抱きしめるコットン毛布から
這い出してきた脳みそが
....
JR線の駅が近い。線路の上にかかる橋の上から通過していく電車の音を聞きながら歩いていた。
もしかしたら余命幾ばくもないかもしれない私の命。
人間の寿命なんて人それぞれに違いがあるけれど一世紀を ....
車に轢かれて数メートル飛ばされる
身体が宙に浮いて、アスファルトに叩きつけられるまでに
時がモーションをかける
記憶の走馬灯、セダンの前を、目の前を、走り抜ける
大事なあの人に ....
齢(よわい)48にして、
うんこを漏らした。
通勤途中、他の社員と顔を合わせるのが嫌で、
いつも、遠回りして会社に行くのだけど、
途中、時間合わせで、コンビニで週刊誌でもめくっていたら ....
南の窓から朝日が差し込んでくる
簡素な食卓 トーストとコーヒー
妻と私は向かい合い 何気ない会話をかわす
あたりまえの事に幸せを感じる
ふたり別れて暮らすこともあったけど
今は一つ屋 ....
眠り方をまた忘れたみたいだ
夜は早く過ぎる
向こう側の空が白んでくると胸騒ぎがする
否
単純に不安なだけだ
一睡もせずに過ごす夜に
どれだけ耐えられるというのか
いっそ
耐 ....
胸が ギューッ と 苦しくなったりすると
恋をしたのかって 思っていた
そんな時代が
ゆっくりと
されど
確実に 過ぎ去り
こんな 事態に なりました
例えば ....
戴いた去年の賀状を
眺めながら
一枚 書くたび
次々に
押し寄せてくる
記憶の波に
浸るのではなく
溺れるでもなく
むしろ
耐えている
再生多発する 複数の痛みに
懐かしさな ....
焼きそばが食べたい
マルちゃんの焼きそばがいい
キャベツをザクザクきざむ
ピーマン モヤシ ニンジン 豚肉を投入する
慣れない手つきで炒める
ジュージュー炒める
お ....
ぼ~と日が暮れていく
西のお空を真っ赤に染め上げ
暮れて行く
澄んだお空に星が瞬き
東のお空にお月さまが昇る
恋しいよ
あったか団欒恋しいよ
烏もお宿に帰るころ
家路へ急ぐ ....
日がな一日中
気付けばエロサイトばかり観ていた
我ながら他にする事は無いのかと
無いのか、ならば仕方が無い
まとめサイトを巡り
アンテナサイトで目を滑らせ
リンクからリンクへ飛び回り
....
ただただ時が過ぎるのを待つ
果報は寝て待て急がば回れ
急いては事を仕損じる
だからこうしてのんべんだらり
デジタル時計は不連続の時を刻む
情緒もへったくれもありゃしない
空は朝から薄暗く
....
秋になってから
一番最初に
彼岸花が咲き乱れる
畦道や田んぼの周りに咲く
毎年ほぼ同じ場所に咲く
ニュースになるほど有名な
場所が三次市にある
辺り一面に彼岸花
紅葉が始ま ....
リビングデッド
ここはどこ? なに?この狭いところ?
この狭さ 暗さ もしかして 棺桶?
そのことに気付いてから
どれくらい経ったかしら
暗い 暗くて 狭い棺桶の中
....
彷徨い、戸惑い、流れて、漂う、私の内なる魂よ。
疲れ知らずだったあの頃を知る者はもういない。
だからこそゆっくり進めばよいのだ。
人生半ば過ぎにして恥をかくのもいいじゃあないか。
....
ひんやりと
風がくちびるを
撫でてゆく
秋の初めの
宵のなかで…
アリサ、バツ2なの
ヘエー、それは大変だったね
(ゲッ、そうだったのか、知らなかった)
一人目は結婚半年で毒殺でしょ
ふーん・・・、えっ⁉
二人目は2年もったんだけど
結局 ....
いつも通りの町を、いつもとは違う時間帯に散歩してみたら、夢みたいに、いつもとは違う現実みたいに見えて、何年かぶりに詩人になれたような気がした。
金木犀が香る午後
陽射しがきらきらと
金色の帯を散らしている
コーヒーにミルクを入れて
スプーンで陶器をこする音
きみの声が
褐色の液体にミルクとともに
くるくるとかき混ざられて
やが ....
わたしは病気になりました
なにをしてもさびしいのです
車にのっても
窓をふいても
コロッケ食べても
あなたといても
いなくても
さびしくてたまらない
どうすれば治るのでしょう
方法は ....
庭に穴が開いた
直径五メートルほどの大きな穴だ
思いのほか深く底が見えない
家人は怖がって埋めたがるけれど
まあ待て、何かに使えるかもしれない
主人はそれを制止する
試しにいらないものを
....
いかように熱かろうとも
喉元を過ぎると忘れるように
腸が煮えくり返るほどの怒りを
今はもう忘れようとしている
こんな自分に嫌気が差す
どうにかして嫌味の一言も告げてやろうと思う割に
....
母は金曜日に 毎週 カレーを作る
金曜日の夜はカレーだ
食べても
食べなくてもいいからだと
母は言う
その夜から日曜日の夜まで
鍋の中はカレー
カレー一色だ
我が家の匂いもカレー一色だ ....
古い温泉街の
しめやかな抜け道を思い出す
真上から照らされる焼けた道は
傾いた屋根の
濃い影ができている
つぶれかけのタバコ屋の角に
赤茶けた古いポストがあって
その手前を曲 ....
視線を奪われた白いカーブ
狭間のプールの匂い
青かったはずの人工的な水の塊も
夏が終われば緑色になってしまう
とてもしなやかに弧を描いて
滑り落ち、そのまま飛び込んで
水しぶきが舞う
....
この気持ちの悪さを
医師に伝えられる自信がなくて
今日も病院からは足が遠ざかる
左側の肩甲骨の少し内側、背中寄りが
熱を持っている
そんなことを言って信じてもらえるのだろうか
....
ベッドの中という
わたし一人分の天国から
のそりと抜け出し
あくびをしながら迎えた朝
カーテンを開け 光を浴び
青空を見上げながら
残りの眠気を
はらい落とした
シャワーの様な ....
遠くとを結ぶ飛行機
短い時間で移動が出来る
出逢いと別れ
数え切れないほど
繰り返してきている場所
飛行機好きの人々
飛び立つ姿を見て
遠くに想いを馳せる
みんな何処へ向か ....
大きく息を吸って
止める
止めたまま
しばらく
まだ
止めたまま
我慢ではなく
痩せ我慢ではなく
自分を試すのではなく
限界を知るためでもなく
まだまだ
もう少し
止めといて
....
西の空に希望を背負った夕日が消えてゆく。
黄昏た公園で私は老人を見た。
ベンチに腰掛け自分の両手を見つめている。
その時初めて私にも皺だらけの掌があることに気が付いた。
深 ....
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