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眠れない夜の羊たち
番号を与えられ順番に沈黙に浚われていく
まるでアウシュビッツの塀の中で
私の孤独は刃の欠けた短刀
羊たちの羊毛を剥ぎ取ることも叶わない
そして絶望も錆びれて
....
時々思考が靴擦れしてしまって
開いた口が痛い痛いと叫んでしまう
時々思考がふやけてしまって
歯ごたえのない口になってしまっている
時々思考が気化してしまって
きかない筈の口も ....
表意文字同士で手を繋ぐ駅裏の小路
休んでいいかいと言った少年の姿はもうない
弦楽器の音合わせに
五本の指は小さな画面の上をひた走る
青年は手を自由にし煙草に火をつける
再び繋ごう ....
平坦な生き方しかしてこなかった
それでいいと思っている
薄っぺらなままだった
それでちょうどいいと思っている
しかし
味はいろいろ覚えてきたつもり
甘めの醤油味みたいな
ざらざら ....
独房の堀で羽を休めるアゲハ蝶
憐れみの蜜を吐き出す
黒い光沢に光りが反射して
影だけ先に飛んでいく
十七歳の部屋では少女が
明日を憂えていた
それでも敏感に影を捉えて
不意に彼女 ....
何処にも見つけることは出来なかったはずだ
そう訴えているかのように
私の視覚を証言台に立たせ尋問する
画家であれば画材は其れまでに蓄えてきた感情の十色
上手く言葉を塗り付けようとするが
もう ....