朝からむっとした湿度を感じていた。汗が出るか出ないかの瀬戸際の不快感と、速乾性のフィットした肌着が体に食いつき、不快感の相乗効果を呈していた。
 昨日、家業は妻に頼み、登山道除草の三つ目の山域にか ....
なんだっていいよと言いたかった
あなたがさえずるのが聞こえたから
音の羅列があれば
どんなことでも想像できたから
となりの部屋で
だれかにむかって
さえずる愛が
わたしにだけ聞こ ....
読点の無い散文詩のように
ひたすら遠くへ限りなく続くかのような山道を刈る
それは、その行為はいったい何なんだろうと
我ながら思ってしまう
幼い自分、青年期の自分、雑多な怨念、過去の病的な行いや ....
しらない街の
公衆便所の手洗い場に花が咲いていた
枯れてはいけないと思い
わたしは水をやった

小さな花だった
色はかまぼこの縁によく似た桃色で
仄かに石鹸の香りを放っていた

その ....
まぶたが閉じるのとたたかいながら
キャラメル箱の移動 ゆれる
向こう側の空 灰色
ほんとうは 終らない色

窓開けて あみどに
バッタの子ども
会いに来てくれた
また自分らしくいられる ....
してほしいと思うことは大体していただいてるんですけどね、と医者は言う。診察室の四角いデスク、細長い指でたたかれるキーボード、しめっぱなしのブラインド。
体重は減っていますか?と聞かれて、ええとゆるや ....
 腰は骨を再生でもしない限り良くはならない。だが、ここのところストレッチなどで腰痛はほぼ無い状態と言える。つまり、私は連日勤務で森に分け入っている。山林の灌木や小径木を刈り払っていく除伐と呼ばれる作業 .... 夜更け
あなたは名前になる
わたしは耳を澄ましている
身体に触れるように
呼んでみる
息だけが漏れていく
言葉は庭に埋めた
どこに埋めたのかわからなくなって
その庭も無くなって ....
満たない
思いの
集積場へ

続きからはじまる
夢を折り
からだを畳んで
終わりまで
引きずる

ただ、これは
すりばち状の夢
終わりは広く
広く広く見えるが

 ....
びしょびしょの翅をふるわせて、せみたちが木々の間を抜けていく。街は恋を消費して育つ、夏のせいで深い森になってしまった。
あなたの頬はかたく、髪はつめたく、息はせつない。わたしたちの時間は狭く、言 ....
張り裂けた夏の青空の向こうから
ミンミンゼミの声がしている
エアコンの水滴が窓の外側に滴り落ちて
きっと外はまだ暑い

小さな町の病院の診察室で
まるで終わりの始まりのような説明を受けてい ....
あなたはくちびるを固くとじて
わたしは
かみなりをきいていた
無人でない駅のひとごみ
ベンチに残る
前のひとの温度

夏 情欲とみまがうほど
はげしい雨が降って
わたしは乱雑な鞄のな ....
ぼくは
(サルトル『一指導者の幼年時代』中村真一郎訳)

花びらが
(カミュ『異邦人』第一部、窪田啓作訳)

海に落ちてゆくのを見つめていた。
(ナボコフ『ベンドシニスター』4、加 ....
何か落としたぞ、ほら、きみのだ。
(ナボコフ『ベンドシニスター』1、加藤光也訳)

たしかに、
(ラディゲ『肉体の悪魔』新庄嘉章訳)

僕のものだった。
(ラディゲ『肉体の悪魔』新 ....
一匹の猿が
(リルケ『マルテの手記』第一部、大山定一訳)

花に見惚れている。
(ゴーリキイ『レオニード・アンドレーエフ』湯浅芳子訳)

夢を見ているのだ。
(リルケ『愛と死の ....
 満月を

 追うように走る

 夜の快速電車



 いとエモし



 おなかすいたから

 つぶあんぱん頬張りながら

 窓ガラスに映る

 ぼんやり景色を眺 ....
底抜けの淋しさにあてるために
壊してもよいおもちゃを探してました
そこへ来てあなたが、
きちんとあたたかいものをお食べよ。などと言えば
てきめんに恋をおぼえます

見覚えのある言葉が
 ....
 ポットから熱い湯を注ぎ、インスタントコーヒーを啜る。ここ数日カルキ臭がする。とくに体がコーヒーの苦みを欲しているわけでもなく、便通を促すためだけに口にする処方薬のような感覚だ。疲れた時、インスタント ....  今となってはなぜ守衛室にいたのか定かには思い出せない。工場の守衛だった恰幅のよい年配のおじさんが、正門を出入りする人や車両をよそめに僕たちアルバイトの三人に聞かせた。とつとつと、 .... からだだけが覚えている水田の記憶は
ずっと底のほうに沈んでしまっていて
どうしてわたしはこの庭に棲んでいるのか
どのようにして生まれ 辿りついたのか
わからない おしえてくれる親兄弟もいない
 ....
この白い画面から
各々の人たちが夏の思い出に何色が入ってるかを見ている
あたりまえに過ごすこと 羨望で願望しかなかったこと
夏の思い出はすきじゃない

病棟へ出入りするぶ厚い自動ドアが、こど ....
愛って、皮を剥いた馬鈴薯だぜ
だから俺の故郷に愛なんかなかった
紳士録にも載ってねえ名前は
この街では沢山の愛の中のひとつだ

優しさは仕舞っておけ、
乱暴な拳もポケットに隠しておけ
奴 ....
愛の膝
まるく揺れる口づけをして
明日に向かおうとする小鳩たち

ひかって、まぶしいのは
どこにも触らずにまっすぐに落ちてきた光みたいな
きみの愛の膝
 冷蔵庫から取り出した
 ガラス小鉢の紅茶ゼリー
 ノンシュガーのルベウスに
 ちょっと多めにのせる生クリーム

 リビングには尖った葉を上向きに茂らせる
 アンスリウムが、柘榴石のような ....
まなざしの射程に入る
からだの一部。つまさき、へその緒、
暗い部屋をなめらかに浮遊する蛍を
捕まえようとしても、ゆびとゆびの間をすり抜け

まなざしの射程を抜ける
夜空のかけら。目を凝らし ....
ひととおりの夢。

長方形のオフィス、ガラスで仕切られた(ばかみたいな)会議室、行われない会議、冷やされ続けるペットボトル・ウォーター。
機嫌の良い男はそれだけで価値がある。女の子はどうかな ....
こもれびのなかであなたが笑うとき
世界はいつも正しくなった
 眠り草の花が開いて

 悲しみが萎れていく夜



「月が綺麗ですね」って言って

 比喩の中でかくれんぼする



 暗がりでにゃあって鳴く

 黒猫みたいな詩人に ....
正しくない朝は苦しい。正しくない夜よりもずっと苦しい
ごみ収集車が、駅前の店のごみを集めにきている、瓶が重なる音がする。
あと少し、ぜったいに、大丈夫、と思いながら、何度もまちがえた。

 ....
梅雨の明けない早朝、雨は少し降っていて
私は散歩するのをやめていた
できれば行きたくないな
という気持ちを後押しするように、小雨ではあるが
雨はひび割れたアスファルトに落ちていた
ふと昨日の ....
七さんのおすすめリスト(1477)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
午後からの雨- 山人散文(批評 ...4*24-9-15
さえずり- はるな自由詩424-9-13
のびやかに九月は流れていた- 山人自由詩10*24-9-9
手洗い場に花- 市井蒸発自由詩624-9-8
かたかたぐらし- 唐草フウ自由詩10*24-9-4
メモ- はるな散文(批評 ...224-9-2
それでも私は山に向かう- 山人散文(批評 ...6*24-8-31
夜更け- たもつ自由詩624-8-31
すりばち状の夢- はるな自由詩324-8-29
物語②- はるな自由詩224-8-20
午後4時- 山人自由詩6*24-8-20
- 完備 ver.2自由詩624-8-18
Interlude。- 田中宏輔自由詩12*24-8-18
Interlude。- 田中宏輔自由詩9*24-8-18
Interlude。- 田中宏輔自由詩7*24-8-18
夜の快速電車- おやすみ自由詩324-8-17
玩具- はるな自由詩424-8-15
初秋- 山人散文(批評 ...6*24-8-12
世間- 湯 煙散文(批評 ...5*24-8-11
雨を呼ぶ- 宮内緑自由詩7*24-8-5
しろく永い思い出- 唐草フウ自由詩11*24-8-5
暗黒街の馬鈴薯- atsuchan69自由詩12*24-8-4
愛の膝- はるな自由詩224-7-30
灼夏のいろ- リリー自由詩11*24-7-30
- 完備 ver.2自由詩624-7-24
メモ、庭のこと、イタリアの音楽に合わせて踊ること。- はるな散文(批評 ...224-7-24
こもれび- はるな短歌224-7-24
オジギソウ- おやすみ自由詩624-7-24
メモ- はるな散文(批評 ...224-7-18
ハナアブ- 山人自由詩9*24-7-17

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