すべてのおすすめ
頬を濡らすものを拭うこともせず
ただ手放しであなたは泣く
抱きしめても嗚咽はやむことなく
わたしの肩が湿り気を帯びる
体温の熱さが伝えてくるもの ....
朝目覚めると空のコップが
ひとつ置かれている
わたしは満たす
さわやかな空の青さ
もうすぐ咲くだろう蕾の息遣い
少し焦げた目玉焼き ....
あの日を境にわたしの中から
わたしがいなくなり
半透明な海月になった
荒ぶる海流に叩きつけられ
なす術もなく右へ左へ
痛みとともに流され続けた ....
わたしは帰る
猫の住む我が家へと
服も靴下も脱ぎ散らかし
ひんやりとしたベッドへ
もぐりこむ
鼻先の生温かなけものの匂い
....
こんなひは
ひんやりとした床で
寝たふりをするより
とったばかりのいんげんと
てんぷら油の格闘に
歓声をあげてみたり
....
蒼くて暗い水槽で
浮かぶ海月のそのさまは
まるでたましいのようなこと
ふうわりとぷかぷかと
あてどもなくぶらぶらと
行きつく先もわ ....