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小人たちが落ち葉に掴まり
空の浅瀬で波乗りしている
深い眠りに沈んだ夏を
呼び覚まそうとする者はいない
さらさらと風は
思い出のほうから吹いてくる
小人たちは歌っている
こん ....
見よ 夕焼けを照り返すほの暗い進化の井戸に化石した都市はうずくまり
たわわな花火をしげらせ枝はしなだれて
反転する視界に渦巻く積乱雲のふもとの石の階段
奈落の淵にさえずる木の実の色のように君の思 ....
教育を受ける権利
発言する権利
投票する権利
を放棄する自由
国民主権
平和主義
基本的人権
を軽視する自由
歴史の途上で
辛酸と苦闘と犠牲の挙句
民衆が手に入れてきた
....
グリルの中の
魚のように
何度も
何度も
裏返され
生焼けのまま
今夜も
薄明かりの下を
彷徨う
行けど
行けど
見つからない
百目の案山子が
跳んで追いついてくる
ぬか ....
歯ぎしりしないよりは
するごまめでありたいと思う
井戸の底から出られなくても
空を見上げる蛙がいい
賢い猿になれずとも
見て聞いてものを言い
出ないより
出る杭でありたい
....
その虫は
どこからともなく現れて
花に潜り込んで喰っている
払い落そうとしても
逃げもせず
しがみついて
貪り喰っているので
憎らしい
しかもとても醜い虫で
気持ちが悪い
その虫の ....
心細さを擽る風が
お腹の底を吹いたかと思うと
今朝からは
おびただしい数の赤い蜻蛉が
突然現れたにしては
脅威的な確率の高さで
ペアを組み
次々に風を横ぎっていく
二匹ずつきちんと ....
父は今日
返事をしなかった
話しかけても
目だけはじっと
私をみていた
まゆみだよ
わかる?
といっても
黙っていた
聞こえる?
と聞くと
うなずいた
声は ....