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諦めて、抱擁を解いて落ちる。
蟻が衛星のように周囲を巡る。
端から欠けて地に一つ。
月が、満ちて笑う。
視力が弱り輪郭がボヤケタ月も美しい。
あの日、遺影のそば、泣いた女。
消えた気配。亡くなった子供。
あの日、頬に触れた赤。
伝う水は、裂め目から漏れ。
曇 ....
それはまぎれもなく、悪夢であった。
置時計は3時を指していた。
接吻で女は孕んだ。接吻の相手は鏡に映った自
分自身だというのに。
本棚の中で一番高価な辞書で「妊娠」を調べる。
....
日曜の休日、遮断機は私の手をとって踊る。
黄色と黒の手を肩にかけようとするがスルス
ルと抜けてしまう。誰もが寝静まったころに
始まった踊りはいよいよ激しさを増していく。
心音の高まりは ....