雨音が聴こえる。
風のない、さらさらとした雨が
ここではないどこかで降っている。
空は白く、空気は暖かく、とても静かだ。
遠くの雨音を聴く。
なぜなら、ここはとても静かだから。
ここに ....
消えてしまいたい と
わたしの心は嘘をつく。
死んでしまいたい と
わたしの表象に刻みつける。
心はわたしに嘘をつく
世界はわたしに嘘をつかない。
わたしの四肢が 動きを求める ....
落ちる蝉
溶ける氷
痛む指
何かに導かれたのではなく
それ自身が そう有る 不思議
次の瞬間
蝉はもう蝉でなく
氷は氷でなく
指は手に、腕に、体に、意識に溶けて
....
怠惰は甘く
勤労は塩辛く
苦痛は苦く
愉悦は旨い
憤怒は辛く
悲哀は酸っぱい
ご飯はうす甘く
お茶は苦く
漬物は酸っぱく
薬味は辛く
おかずは塩気が効い ....
僕は石の上に座っていた
あたたかい石の上に
トンビがぴーひょろと鳴いた
どこか遠くで
僕は何かを待っていて
それはいつからだったか
雲の模様を読んでいると
しばらく曇って ....
僕の愛したその窪みは
どこにも通じることはなく
僕の愛したその丘は
なにを眺めることもなく
ただ僕だけを映し返して
それでもいいよと微笑んだ
僕の愛したその風は
なにに阻 ....
3000年まえの昨日が
光子のひとしずくとなって
表象の湖の水面をゆらす
今日の日常は
いつかみた夢の果て
こはく色のあめ玉
今日の夢は
彼方の日の明日
永久にそそぐ流れの一滴 ....
なんでもなかった今日この日よ
こはく色の あめ玉になれ
3000年後に
ふりそそげ
紅く夕日の沈むとき
鍵の掛かった図書室で
いつかわたしは夢をみた
完璧な世界
無垢なわたし
澄んだ空気
その日はきっと満月で
わたしの心はねじれて混ざり
前後不覚に走 ....
白い雨の匂いが
空を泳ぐ
稚魚の群れのように
銀の腹の光るように。
雲のカーテンが
やさしく光を包む
私たちが
眩んでしまうを知って。
今日は雨がいい
少し冷たく
淡く白く ....
この世界は綺麗です
あなたはそう言って
どこかへ去って行った
この世界は綺麗です
あなたは泣きながらそう言った
この世界は綺麗です
あなたは痛みに顔を歪ませて言った
....
お世話になっております
お世話になっております
ありがとう
どうも
すみません
こちらこそ
よろしくお願いします
よろしくお願いします
うーす
おすー
寒い ....
私に触れて あなたの指で
私の痛みを 呼び起こして
癒しはいらない
そっと傷口を撫でて
やすらかな痛みをください
1218
いつか見えていたはずのなにかを見失って
何者でもない私は
何者にもなろうとしない
乾いた空のカップと
虚無を食らい続ける秒針が
私を生きることにあきらめた私に
無限に重 ....
0.07sec.