濡れた雨が体に浸み込んでくる。浴びるように天の恵みに身を晒していると、やがて重みを増した黒髪がしとり、と肩を滑り落ちた。濃い土の匂いが全身を突き上げ、雲を叩く雨音の余韻を響かせていく。うねる草原に慈 ....
1.Berry(大好きなベリー)
ベリーを摘みに行きましょうよ
どこへって?
うふふ、秘密の庭へよ
雨の土曜日に見つけたの
お洗濯の日だったもの
濡らした服で帰っても、怒られなかった ....
紅く熟れた石榴の実を一粒
与えられ渡る虹の橋
暗い坂道這い降りて
辿り着くのは夜の国
たまご
霊の子
河を流れて
七色に光る砂礫の粒に
照らされて積むは
骨の破片よ
三百五十の ....
小さな目
小さな手
枯れた指
伸びようとする背の
愛おしさに
震える腕で筆を持ち
涙の雫で絵の具を溶いた
土喰子らのみせる笑顔を
描き留めるただその為に
ああ
....
人間を止めたい日には
零れそうで零れない
流れない涙に黙祷を捧げる
風にゆれる彼岸の花を見ながら
遠い彼の地の人々を思い出す
無償の愛に包まれ生まれ
無償の愛に育まれた
....
白い、石の森を歩いていた
ただ独り
カラリ、と乾いた砂が足元で鳴る
立ちはだかるような巨木の肌に手をあてると
コポリと幹を伝う水の鼓動を感じた
どこからか
私を呼ぶ声が聴こえる
....
神よ 我らに翼与えかし
汝 如何なる思し召しか
その御姿を隠さむ
神よ 我らが翼地に落ちぬ
我らが翼 地に落ちて
黒き色に染まりたり
神よ 我らに翼与えかし
我らの{ルビ嘆き=こ ....
リンと
鈴の音鳴るやうな
シャンと
玻璃の砕けるやうな
ピンと
水の凍るやうな
切なく淡き
音に誘はれ
我が魂は迷ひ出で
我が魄は舞ひ出づる
リン
シャン ....
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