年老いた男爵は死を待っている
食べることもせず飲むこともない
身に纏うラビットファーだけが艶やかに光り
半開きの眼からは輝きが消えている
牢獄のような部屋の中
彼はその時を待っている

 ....
ある日のディナーは
皿に憎しみが盛られていた
ナイフとフォークを器用に使って
切り分けてみる
憎しみは固く怖気がするような酷い臭い
一切れ口に運ぶと毒の味がした
私は一切れ分の怨念となり
 ....
夜明け前に目が覚めてひとり
時間の狭間に取り残されたような気がする
眠りの妖精は去り
愛と憎しみと天使のことを考える
日が昇るまでの時間をもて余して

暗いうちから起き出し
働き者のふり ....
あなたが嫌いだから
あなたとは距離を取りたい
あなたといると
私が私じゃなくなる
あなたと一緒にいたら
耳が聴こえなくなった

あなたは私を支配する
あなたのために微笑むことはもうない ....
花咲く頃に天使は旅立ち
氷の大地に降り立った
寒い寒い北の果て
天使は何を見つけるだろう

残された人々は
嘆き悲しみ
咲き始めた花さえ枯れてしまう
止める声も聞かずに
天使は氷の大 ....
雪に閉ざされた街で
何をすることもなく
ただ雪見風呂に入る贅沢
貧乏性の私は
そんな生活を忌み嫌う
雪に閉じ込められて何もできないこと
ただ歯痒くて
ただ悲しくて

雪国に舞い降りた ....
旅に出るなら
天使と一緒に
そこには平安があるから
気ままな1人旅
退屈も楽しもう
お喋りの相手はいらない
ただ深く自分の中に沈んで

雪の中を行くなら
天使と一緒に
不安を抱える ....
波の音が聞こえる
私の心はざわつく
どこかで天使の泣き声がする
安らぎはこない

無茶な要求ばかりを押し付けられて
すっかり嫌気がさした頃
どこかで天使の泣き声がする
平安は何処?
 ....
暗くなる前に帰ってきて
そんな願いも空しく
無情にも日は暮れる
私の期待は尽く裏切られ
白い骨しか残らない

はらはらはら
白い骨は崩れて落ちる
どうか私を探さないで

夕闇に包ま ....
眠りに落ちるまでの
時間を持て余す
今夜はどんな夢を見よう
眠れない夜は更けていく
不眠と過眠を繰り返し
私の日々は過ぎていく
王子さまのキスでは目覚めない
目が溶けるまで眠っていたい
 ....
野菜を切っていて
指まで削ぎ落とした
あまりにもスッパリ削いだので
痛くも痒くもなかったけど
時間が経つにつれ
痛みと真っ赤な血が押し寄せて
ああ、やっちゃったと改めて思う
私にも赤い血 ....
理不尽に向けられる言葉の剣は
想像力の欠如
以前ならば傷付いていたかもしれない
でも、私は知ってしまった
怒りの感情
静かに燃える負の感情
怒りは隠しておいた方がいい

誰もが不機嫌の ....
運転手のいない車の助手席で
心細さを感じてる
エンジンはかけたまま
独りぼっちは悲しい
目当てのものは買えなかった

独りぼっちだから
静かに明日を待つ
運転手はいないから
この車は ....
こんなに怒っているのは久方ぶりで
自分自身の感情をもて余している
昇華できない恨みの念
殺意さえ覚えるほどの
赤黒い怒り
荒れ果てた大地に立つような
荒んだ狂気

この怒りを忘れてはな ....
背骨がぐにゃりと歪んだ私は
いつも体が右に傾く
立っていても座っていても
どんどん右に頭が落ちる
曲がった背骨は治らない

落ちた頭を拾っては
嘆き悲しみ背骨を恨む
泣いても喚いても
 ....
湖まで続く長い道を
杖をつきながら歩けるわけもなく
途中でギブアップするのが目に見えている
命の賞味期限はもうすぐ切れて
私を置いて旅立ってしまう人
あんなに愛していたのに
おそらく涙も流 ....
ミネストローネは嫌いだと言い出せなくて
目の前の赤いスープをかき回した
浮き上がってくるショートパスタをつついて
どうしたものかと思案する
食べ物を粗末にするのは憚られて
無理矢理口に含んで ....
文句だけなら誰でも言える
それなら、あなたはどうするの?
やってみてから文句を言って
それなら納得できるから
口先ばかりで何もしない
本当にうんざりしてるのよ

そんなにイライラしないで ....
秋晴れの日に大事なものを失くした
でも、優しさに救われて
生かされてることを改めて感じる
失くしものは見つからなくても
愛情は見つけた
大きな秋の収穫

時々、独りぼっちだと泣くけれど
 ....
うるさい
うるさい
五月蝿い
どうか私を放っておいて
今更、私に何の用?
枯れてしまった薔薇は蘇らない
捨てられ燃やされてしまうだけ
不機嫌な子供の無意識の悪意
自覚がない分、質が悪い
機嫌をとるのも疲れてしまう
自分の機嫌は自分でとるもの
子供にアドラーは通用しない

そもそも心理学なんて
100人いれば100通りの ....
若かった頃
自分を偽って生きていた
キャラを作って演じていた
誰も本当の私を知らない
恋人の前でも続ける演技
いい女を意識して
他人の言葉に踊らされて
私は私以外の誰かを演じて
自己嫌 ....
朝が来なければいいのにと眠りにつく
そして明日がやってくる
その繰り返しが毎日で
苦悩と嘆きは取り除かれない
だけど生きていることは奇跡
もう立ち上がれないと思っても
天使が手を差し伸べる ....
改ざんされて歪んだ記憶
真実がいつも一つだとは限らない
数式の答ではない人生には
数多の答がある
街に溢れるフェイク
自分の中にもフェイク
何が真実か分からない
難しく考える必要はないの ....
望んだのは平凡で退屈な人生
波乱万丈な日常はいらない
つまらない毎日と嘲笑されようとも
何も変わらない日々が1番の幸せ
食べるものに困らない
布団で眠れる
それだけで十分満ち足りている
 ....
不安という重荷をおろせば
溢れてくるのは感謝
恐怖という重荷をおろせば
溢れてくるのは喜び
危機は去り
つかの間の平安の中で
天使たちの声を聞いている

新たな火種がすぐに来る
死神 ....
恐怖が去って
生きていることに感謝する
何も出来ない私のために
天使たちが駆けずり回って
大きな慰めの中に囲い込んでくれる
外は冷たい雨が降り
悲しみが満ちているけれど

生きていくの ....
私は明日、泡になる
私は彷徨い露となる
希望の欠片拾い集めて
儚い夢を探し求める
ついに審判がくだされる時
私は哀しく散っていく

私は今日、泡になる
波に揺られて消えていく
すべて ....
私は不安を詩にする
想いを昇華させるため
愚痴といってもいいだろう
心のバランスをとるために
私は言葉を紡ぐのだ

私は怒りを詩にする
悲しみも喜びも詩にする
心が死んでしまわぬように ....
心も身体も薄ら寒い
まだ、10月も半ばだというのに
秋の長雨はやむことを知らず
晴れの日は忘れ去られた
傘をさすのは好きじゃないから
濡れそぼって歩こう
この道は闇へと続いている

明 ....
無限上昇のカノン(166)
タイトル カテゴリ Point 日付
死を待つ男爵自由詩221/4/13 20:13
憎しみという怪物自由詩721/3/31 20:34
うすのろな生活自由詩421/3/22 9:08
私の嫌いなあなたへ自由詩521/3/12 22:59
天使は踊る自由詩321/3/7 10:09
自由詩120/12/19 9:28
天使と一緒に自由詩220/12/14 12:16
天使の泣き声がする自由詩320/11/27 17:12
晩秋の日に自由詩320/11/27 17:11
眠り姫自由詩320/11/19 9:32
血が流れてる自由詩120/11/11 9:27
隠しごと自由詩420/11/10 9:57
独りぼっち自由詩820/11/4 9:07
この怒りを忘れてはならない自由詩420/11/3 9:21
背骨自由詩420/10/31 23:23
現実自由詩320/10/31 23:22
ミネストローネ自由詩220/10/27 14:33
今日の感情自由詩120/10/26 20:04
収穫自由詩520/10/26 12:05
五月蠅い自由詩120/10/25 20:08
機嫌をとる自由詩420/10/24 23:39
自分に帰りたい自由詩320/10/24 8:51
その1歩が明日を繋ぐ自由詩420/10/23 18:57
都合のいい真実自由詩220/10/21 20:21
私の欲望自由詩220/10/20 0:16
平安の中で自由詩620/10/18 19:04
我儘自由詩120/10/17 18:59
泡になる自由詩220/10/16 16:31
私の詩自由詩220/10/15 20:02
復讐劇自由詩320/10/15 9:25

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